電気施工管理(電気工事施工管理)は、ビルや工場、病院などの電気設備工事で、工程・品質・安全・原価を管理する仕事です。電気工事士の方や協力会社に作業を割り振り、図面どおりに受変電設備・幹線・照明・コンセント・弱電設備などが納まるよう現場をまとめます。
「やめとけ」と言われる主な理由は、建築工事の工程に合わせて動くため工期末に負荷が集中すること、1人で複数の現場を持たされやすいこと、図面・書類・検査の量が多いことです。一方で、電気設備はどの建物にも必要で、資格を取れば年収と転職先の選択肢が広がる仕事でもあります。きつさの多くは職種そのものより、会社の体制と担当する現場の組み方で決まります。
この記事では、電気施工管理の仕事内容、やめとけ・きついと言われる5つの理由、公的統計で見る年収・求人と資格の合格率、きつい会社と続けやすい会社の違い、向いている人、そして当社の成約データにもとづく転職の考え方までを解説します。
電気施工管理とは?電気設備工事の工程・品質・安全・原価を管理する仕事
電気施工管理は、建物の電気設備工事を計画どおりに完成させるために、工程管理・品質管理・安全管理・原価管理の4つを行う仕事です。自分で配線や機器の取り付けをするのではなく、施工図の作成や確認、資材の手配、協力会社との段取り、検査と書類の管理を通じて現場を動かします。
主に働く会社は、電気設備工事会社(サブコン)です。ゼネコンや発注者から電気設備工事を請け負い、建築工事の工程に合わせて電気の工事を進めます。担当する設備と現場の種類によって、仕事の中身と忙しさは変わります。
| 担当する設備 | 主な内容 | 特徴 |
| 受変電・幹線設備 | キュービクル、分電盤、建物に電気を送る幹線 | 停電を伴う切り替え作業があり、夜間・休日の工事になることがある |
| 照明・コンセント設備 | 照明器具、スイッチ、コンセントの配線 | 内装工事と工程が重なり、仕上げ前の調整が多い |
| 弱電・通信設備 | LAN、電話、防犯カメラ、放送設備など | 機器メーカーや通信会社との調整が多い |
| 防災設備 | 自動火災報知設備、非常照明、誘導灯 | 消防検査に向けた書類と試験が重要になる |
1日の流れは、朝礼と危険予知活動、作業の段取りと協力会社への指示、現場の巡回と写真撮影、ゼネコンや他の設備業者との打ち合わせ、夕方以降の図面・書類作成、という形が一般的です。新築か改修か、大規模か小規模かで、現場にいる時間と事務所での作業の比率が変わります。
設備施工管理全体のきつさは設備施工管理はきつい?やめとけと言われる5つの理由で、電気工事施工管理技士の1級・2級の違いは電気工事施工管理技士1級と2級の資格や仕事内容で解説しています。
電気施工管理はやめとけ?きついと言われる5つの理由
電気施工管理がやめとけ・きついと言われる理由は、①建築の工程に合わせるため工期末に負荷が集中する、②1人で複数の現場を掛け持ちしやすい、③図面・書類・検査の量が多い、④停電を伴う切り替えや改修工事で夜間・休日の作業がある、⑤ゼネコン・他の設備業者・協力会社の間で調整が多い、の5つです。いずれも仕事の性質から来るものですが、その重さは会社と現場によって大きく違います。
①建築の工程に合わせるため、工期末に負荷が集中する
電気設備工事は、躯体や内装の工事が進んでから本格化します。前の工程が遅れても引き渡し日は動かないため、竣工前の数か月に配線・器具付け・試験・検査が一気に重なりがちです。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、原則は月45時間・年360時間、特別条項を結んでも年720時間が上限になりましたが、工期の組み方を変えていない会社では工期末のしわ寄せが残っています。
②1人で複数の現場を掛け持ちしやすい
電気設備工事は、建物の規模によっては現場に常駐せず、複数の現場を移動しながら管理することがあります。小規模な改修工事を何件も同時に持つと、移動と段取りだけで1日が終わり、書類作業が夜に回ります。「担当現場が多すぎる」は、当社への転職相談でも特に多い理由の1つです。
③図面・書類・検査の量が多い
施工図や機器の承認図、工程表、施工計画書、安全書類、工事写真、絶縁抵抗や接地抵抗の試験記録など、電気設備工事で作る書類は多岐にわたります。官公庁の工事や大規模な建物ほど書類は増え、検査の前は確認作業に追われます。
④停電を伴う切り替えや改修工事で、夜間・休日の作業がある
稼働中のビルや工場、病院の改修では、受変電設備の切り替えなど電気を止める作業を、建物を使っていない夜間や休日に行うことがあります。改修工事の比率が高い会社では、夜間作業の頻度が働きやすさを大きく左右します。
⑤ゼネコン・他の設備業者・協力会社の間で調整が多い
電気設備は、建築・空調・給排水など他の工事と同じ天井や壁の中に納まります。配管やダクトとの取り合い、工程の前後関係をゼネコンや他の設備業者と調整し、協力会社には作業の段取りを伝えます。立場の違う相手の間に立つことが多く、板挟みになる場面がきつさにつながります。
数字で見る電気施工管理:年収・求人・資格の合格率
施工管理の年収は全職種の平均より高く、求人も多い状態が続いています。電気施工管理だけの平均年収を示す公的統計はありませんが、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、建築施工管理技術者の平均年収は679.1万円、有効求人倍率は8.62倍です。参考として、電気工事士の平均年収は628.1万円、国税庁の調査による民間の平均給与は487万円(令和7年分)です。
| 職業 | 平均年収 | 有効求人倍率 |
| (参考)建築施工管理技術者 | 679.1万円 | 8.62倍 |
| (参考)電気工事士 | 628.1万円 | 3.84倍 |
| (参考)民間の平均給与 | 487万円 | — |
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)(年収は令和7年賃金構造基本統計調査にもとづく値)、国税庁「民間給与実態統計調査」(令和7年分)。電気工事の施工管理だけを集計した公的統計はないため、近い職業の値を参考として示す
電気施工管理で評価される資格は、1級・2級の電気工事施工管理技士です。元請として下請契約の合計が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上になる工事では監理技術者を置く必要があり、その要件に1級電気工事施工管理技士が含まれます。資格手当や昇格の条件にしている会社も多く、年収に直結しやすい資格です。
| 試験(令和7年度) | 受検者 | 合格者 | 合格率 |
| 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 | 24,821人 | 10,290人 | 41.5% |
| 1級電気工事施工管理技士 第二次検定 | 9,494人 | 6,607人 | 69.6% |
| 2級電気工事施工管理技士 第二次検定 | — | — | 51.8% |
出典:一般財団法人 建設業振興基金「令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 試験結果」、同 2級第二次検定の公表値
令和6年度から施工管理技術検定の受検資格が見直され、1級の第一次検定は19歳以上、2級の第一次検定は17歳以上なら、学歴や実務経験を問わず受検できるようになりました。第二次検定は、第一次検定に合格したあとの実務経験で受検します。電気施工管理を続けるか迷っている方も、資格は先に取っておくと、社内での評価と転職の両方で有利になります。
きつい会社と続けやすい会社の違い:応募前に確かめたい6つのこと
電気施工管理の働きやすさを決めるのは、1人あたりの担当現場数、新築と改修の比率、工期の組み方、書類作業の分担です。同じ電気設備工事会社でも、これらの体制が整っている会社は残業と休日出勤が抑えられています。応募前に次の6つを確かめると、入社後のギャップを減らせます。
| 確かめたいこと | 続けやすい会社の傾向 | 聞き方の例 |
| 担当現場の数 | 現場の規模に応じて担当数の目安がある | 「施工管理の方は、平均して何件の現場を同時に担当していますか」 |
| 残業時間 | 竣工前と通常期の実績を数字で答えられる | 「竣工前と通常期の残業時間の実績を教えてください」 |
| 夜間・休日の作業 | 改修の切り替え作業の頻度と、振替休日の取り方が決まっている | 「停電を伴う夜間作業は月に何回くらいありますか。翌日の勤務はどうなりますか」 |
| 書類・図面の分担 | CADオペレーターや工事事務の担当がいる | 「施工図と工事写真の整理は、誰が担当していますか」 |
| 元請か下請か | 発注者から直接受ける工事の比率が高い | 「ゼネコン経由と発注者からの直接受注の比率を教えてください」 |
| 資格手当・支援 | 1級・2級の手当と受検の支援がある | 「電気工事施工管理技士の資格手当と、受検の支援制度を教えてください」 |
当社の取引先企業との打ち合わせでも、電気工事の経験があり第二種電気工事士を持つ20代後半〜30代の施工管理は採用ニーズが強い一方、夜間作業がある求人では応募者が減っているという声があります。夜間作業の有無や頻度は会社による差が大きいため、求人票に書かれていなければ面接前に確認してください。
施工管理のホワイト企業の見分け方は施工管理は本当にブラック?ホワイト企業の特徴と転職方法でも解説しています。今の職場で辞めたい気持ちが強いときの考え方は電気工事施工管理がきつい、辞めたいと思った時に読んでもらいたい記事も参考にしてください。
電気施工管理に向いている人・向いていない人
電気施工管理に向いているのは、図面を読んで段取りを考えるのが好きな人、立場の違う人と調整しながら物事を前に進められる人、資格を取って評価と年収を上げていきたい人です。反対に、予定の変更に強いストレスを感じる人や、夜間・休日の作業を一切避けたい人は、会社と担当する工事の種類をよく選ぶ必要があります。
| 向いている人 | 向いていない可能性がある人 |
| 図面を読み、納まりや手順を考えるのが好き | 机上の計画より、自分で手を動かす作業がしたい |
| ゼネコン・協力会社など立場の違う人と話すのが苦にならない | 人との調整より、1人で完結する仕事が好き |
| トラブルが起きても、段取りを組み直せる | 予定が変わることに強いストレスを感じる |
| 資格を取って、現場の責任者や年収アップを目指したい | 夜間・休日の作業を一切避けたい |
向いていない項目に当てはまっても、すぐに電気の仕事を諦める必要はありません。新築中心で夜間作業の少ない会社、担当現場数を抑えている会社、発注者側の施設担当など、電気施工管理の経験を活かしながら働き方を変える道があります。電気工事士として現場で働く場合の考え方は電気工事士2種(第二種)は「やめとけ」?で解説しています。
電気施工管理からの転職:成約データで見る年収の変化
電気施工管理の経験者は、同じ電気施工管理で会社を変える転職でも、設備系の別の技術職への転職でも、経験年数と資格が年収を左右します。当社が支援した成約では、20〜30代で電気工事の施工管理経験がある方は年収が上がる例が多く、最大は30代後半で2級電気工事施工管理技士を持つ方の+209万円でした。一方、現年収が高い方や60代では横ばい、または下がる例もあります。
| 年代 | 保有資格 | 前職 | 年収の変化 |
| 30代後半 | 2級電気工事施工管理技士・第一種電気工事士 | 電気工事の施工管理 | 600万円→809万円(+209万円) |
| 30代後半 | 第二種電気工事士 | 電気工事の施工管理 | 430万円→519万円(+89万円) |
| 20代後半 | 施工管理の資格なし | 管工事・電気工事の施工管理 | 400万円→486万円(+86万円) |
| 30代後半 | 2級管工事施工管理技士 | 管工事の施工管理 | 800万円→762万円(−38万円) |
| 60代 | 1級管工事施工管理技士・1級電気工事施工管理技士 | 非公開 | 1,000万円→900万円(−100万円) |
出典:当社の成約事例(2025〜2026年)。内定通知書・労働条件通知書の記載額
+209万円の方は、資格を持つ施工管理として、手当と賞与の厚い大手の電気設備工事会社に入社しました。資格がなくても、電気工事の施工管理の実務経験があれば年収が上がっている例があり、評価の中心は「どんな建物の、どの設備を担当してきたか」です。転職先の選択肢は、主に次の3つです。
1つ目は、同じ電気施工管理のまま、担当現場数や工期の組み方が違う会社へ移る道です。年収を保ちやすく、経験をそのまま評価してもらえます。2つ目は、発注者側(事業会社・不動産会社)の施設担当や、PM・CMとして工事を発注・監理する側に移る道です。3つ目は、ビルや工場の電気設備を維持管理する設備管理・電気保安の仕事です。工期に追われる働き方からは離れられますが、年収は下がる場合があります。電気主任技術者の働き方は電気主任技術者はやめとけ?で、施工管理からの転職先全体は施工管理から転職するなら?経験を活かせる転職先7選で解説しています。
なお、建設現場の電気工事士・作業員としての就労は、職業安定法により当社の紹介対象外です。当社がご紹介しているのは、施工管理・設計・積算・設備管理・発注者側などの職種です。
まとめ
電気施工管理は、電気設備工事の工程・品質・安全・原価を管理する仕事です。工期末の負荷、現場の掛け持ち、書類と検査の多さ、夜間の切り替え作業、調整の多さから「やめとけ」「きつい」と言われますが、その重さは会社の体制と担当する工事の種類で大きく変わります。
施工管理の求人は多く、電気工事の施工管理経験と資格があれば、会社を選べる立場にあります。今の会社を辞めるかどうかを決める前に、何が一番つらいのかを切り分け、担当現場数・残業の実績・夜間作業の頻度・資格手当を確かめたうえで、自分に合う働き方を選んでください。
| 年間面談数 | 約1,000件 |
| 累計支援者数 | 約3,000名(面談・キャリア相談を含む) |
| 取引建設会社 | 1,000社以上(2026年8月時点) |
| 支援領域 | 建築・電気・管工事の施工管理/設備管理/設計・積算/発注者側(施主) |