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電気主任技術者はやめとけ?電気主任技術者の適性や将来性について解説

インターネットの普及や夏場では猛暑が続き、冬場では寒さを凌ぐためにもエアコンが欠かせなくなっていると言え、私たちが快適に生活するために電力も支えています。

漏電が起こったり、電圧が高かすぎる状態が続くと機械の故障につながるだけでなく、電力不足につながってしまうため電気を必要としている場所に適切な量を供給する必要があります。

ですが、一般的な住宅〜大型ショッピングセンター、鉄道では扱う電力に大きく差があり扱う電力が高いほど危険があると言えます。

そのため、受電設備や配線などの保安監督業務を行う電気主任技術者は電験三種と第三種電気主任技術者から第1種までの3種類があります。

年々電気工事数が増加傾向にありますが、電気主任技術者の人数は減少しているため、建設業界では市場価値の高い人材として注目されています。

建設業界において欠かせない電気業界の資格として資格手当が給付されるなど年収が高いとされていますが、具体的にどのくらいなのか?電気主任技術者はやめとけと言われることもあるためなぜ?と思われる方もいらっしゃると思います。

そこで本記事では、電気主任技術者がやめとけと言われる理由や、電験三種の年収、電気主任技術者の適性、資格の情報について紹介していきます。

 
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電気主任技術者としてのキャリア構築に関心のある方や電気主任技術者の資格取得を検討されている方、電気主任技術者に向いている人がどのような人か知りたい方は是非最後までご覧ください。
 
目次

電気主任技術者とは?

電気主任技術者とは、「電気事業法」に基づいた国家資格に合格し免状を所有している方のことを指します。

発電所や変電所、工場やビルなどの受電設備や配線など、電気設備における保安監督業務を行う者として従事しています。

電気設備は数値の管理ミスといった管理の不備や誤操作によって火災や感電事故が起こる可能性があるため、設備の配線の仕組みや耐電圧など高度な専門的な知識が求められます。

電気主任技術者が取り扱うことができる業務は事業用電気工作物の電圧によって異なり、第一種・第二種・第三種に分けられ、第三種電気主任技術者試験は「電験三種」とも呼ばれます。

電気設備を持つ事業者は、工事や保守、運用の安全監督のために、法律で電気主任技術者を選任することが義務付けられています。

電気主任技術者は下記に示しているように、業務を行える範囲が種類ごとに分けられています。

電気主任技術者 種類ごとの作業範囲の違い
電気主任技術者 種類ごとの作業範囲の違い
 
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これらの専門知識がないと、電気設備が故障した場合に原因の特定と修理・復旧作業を迅速に行えず多くの方が影響を受けます。

第一種電気主任技術者(電験一種)

第一種電気主任技術者は電気主任技術者試験の中で最も難易度が高く、どのような規模感の事業用電気工作物に対応できます。

一般電気事業、卸電気事業、特定電気事業の3事業を営んでいる事業者が電気を提供するために必要とする電気工作物で、電力会社が一般住宅や施設・工場などに提供する電気を供給するために使用する大規模な変電所や発電所のことです。
第一種電気主任技術者が扱えるようになる17万ボルト以上の事業用電気工作物を取り扱う工事では、高い電圧・電力を取り扱うため、漏電や過負荷の管理を適切に行わないと大きな経済的・社会的な影響が生じます。

そのため、変電所や発電所、送電書などの設計、施工、運用においては高い安全基準が設定されており、電気工事に関する高い専門性が不可欠です。

 
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電気監督やメンテナンスを行うこともありますが、新たに建設する際の電気工事の仕様の決定など、これから使用していく電力の管理のための施設の仕様を決めていくことが多いです。
  • 特高電圧の電気設備の設計、施工、運用、保守
  • 一般的な発電所や変電所の管理
  • 電力系統の計画や運用に関する業務
  • 電気安全管理全般

また、工業施設の高圧設備工事やケーブル敷設工事では通常よりも高い電圧が使用されているため、第一種電気主任技術者が担当することが多いです。

電力の多い事業用電作物に関わ理、原発や水力発電などの発電工事に担当することも多く、制御システムに関する専門知識やタービンなどの発電所特有の知識も必要とされます。

第二種電気主任技術者(電験二種)

第二種電気主任技術者は500kW以下の発電設備や3000kW以下の変電設備、受電設備の運用と管理を行えます。

第二種電気主任技術者は中規模の電気設備に関する業務を担当できますが、第一種電気主任技術者が担当する、17万ボルト以上の特に高電圧の設備には対応できません。
具体的には、工場や病院、大学などの大きな施設での受電設備の運用や保守を行ったり、風力や太陽光発電設備などの再生可能エネルギーに関する設備の設計や工事監督を行います。
【第二種電気主任技術者が行う業務内容】
  • 一般的な高圧電気設備(600v以上7,000k W以下)の設計、施工、運用、保守
  • 中小規模の発電所や変電所の管理
  • 工場やビルなどの高圧受電設備の管理

第二種電気主任技術者は定期的な保守点検と設備の維持管理など資格を活かしながら、第一種電気主任技術者とも連携をとりながら業務を行うこともあります。

第三種電気主任技術者(電験三種)

第三種電気主任技術者は5万ボルト未満の事業用電気工作物に対応することができ、500kW未満の発電設備や1000kW未満の変電設備・受電設備の運用と管理を行うことができます。

高圧から低圧に変換する変圧器や発電所から供給された電力を適切な電圧に変換したり各部に分配して使用するための、配電盤・分電盤などの設備の運用・保守を行います。

【その他、電験三種が担当することが多い業務】

  • 住宅用や小規模な商業施設の屋根に設置される太陽光パネルから構成される発電所
  • オフィスビルやショッピングセンター、ホテルなどの受電設備
  • アパートやマンションの共同受電設備
 
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第一種や第二種電気主任技術者に比べると、小規模になりますが日常生活を快適に過ごすために不可欠なオフィスビルやアパート、マンションといった建物の受電設備の機能を支えています。
 

電気主任技術者がやめとけと言われる理由

電気主任技術者は国家資格であること、現場で欠かせない人材であり手に職をつけられるため需要が高い職業です。

しかし、高い電力を扱うことが多く危険性があること・運用保守で何かあった時にすぐに駆けつける必要があるため勤務体系が不規則になる場合もあります。

さらに、建設業界全体が人手不足に悩んでいて、電気主任技術者が不足していることも影響を受けます。

 
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そのため電気主任技術者一人当たりの業務量が多くなってしまっていることが問題点として挙げられています。

電気主任技術者がやめとけと言われる理由

勤務体系が不規則になってしまう

電気主任技術者は電気設備の運用・保守を担っており、電気に関するトラブルや事故が発生した場合、即座に対応する必要があります。

電気設備のトラブルは、誤操作や経年劣化による故障、台風や地震などの自然災害など、昼夜関係なく起こる可能性があります。

照明やエアコンといった電化製品は24時間稼働しており、電気に関するトラブルは昼夜を問わず発生する可能性があり生活の快適さに影響するだけでなく、医療現場での電気トラブルは人の命に関わるため電気主任技術者による迅速な対応が欠かせません。

そのため、電気主任技術者の勤務形態は一般的な9時〜18時と異なり、週に何度か夜間の業務を行うことがあります。

電気主任技術者を目指す方は、このような勤務体系の実情を理解し、自身のライフスタイルと照らし合わせて検討することが重要です。
電力供給システムの安全性や信頼性を確認するため、意図的に電力供給を一時停止する計画停電は日常生活で支障が出ないように深夜に行われることもあります。
 
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24時間体制の監視や緊急時の対応に備えるため、シフト勤務を導入していることもあり、深夜勤務が多いかどうかを確認して企業を選ぶことも重要です。

事故があった際には責任を問われる

電気主任技術者は、電気工事における保安監督という重要な立場を担い事故が発生した際には「適切に安全が確保されていたのか」「判断や指示は的確であったのか」など事故に関する責任が問われます。
電力事故には台風や地震、雷といった自然災害に比べ、設備の操作ミスや過負荷といった人為的ミスによるものも多く人為的なミスを防ぐためにもチェックに関する規則が厳しく設定されていることも多いです。
漏電、感電、火災などによって死者や怪我人を出す可能性があり危険を伴います。
電気主任技術者は産業施設、オフィスビル、住宅、公共のインフラとしての電力供給において中心的な役割を果たしているため、今後の再発防止のためトラブルの責任が大きくなりがちです。
 
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電気主任技術者を目指す方は、責任感を持って勤務することをしっかりと理解し、十分な準備と知識を持って業務に臨む必要があります。
 

人手不足でブラックな環境

電気主任技術者の人手不足は、建設業界全体の問題として顕在化しています。
電気主任技術者が不足している背景には、資格取得の難易度が高いことで新たな技術者の流入が限られてしまうこと、既に資格を持っている方の高齢化が進み引退する高齢者に変わる若手が不足していることがあげられます。
人手不足が深刻化すると、限られた電気主任技術者で既存の電気設備の保守・管理を行い、新たな施設の工事を担当する必要が生じるため、電気主任技術者一人一人が抱える業務量が増し、事故・ミスが起こりやすくなります。
しかし、電気設備は増加し続けており、高圧電力を必要とするビルや再生可能エネルギーの普及などが進み、保守・点検を必要とする設備は増加傾向にあります。
経験豊富な技術者が退職していく中、後継者である若手の技術者が不足しているという状況は将来的にも懸念される状況であり、電気主任技術者一人当たりの業務量の増加を招いてしまいます。
 
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電気設備の安全確保は、社会的な責任を担う業務です。電気主任技術者が不足する中、その役割はより重要性を増しています。

電気主任技術者は転勤が多い

単一の施設や限られた地域で業務を行う場合、転勤の頻度は低くなりますが、大手電力会社や大規模企業のように複数の事業所・施設を持っている場合は転勤の可能性が比較的高くなります。

大企業や大手電力会社は全国各地に事業所や施設を持っていることや、ベテランの技術を継承していくために人材の配置といった組織の活性化を積極化させていくために全国規模での人材移動を行っています。

今の生活を変えたくない方にとっては、全国転勤は嫌だと感じる方もいらっしゃいますが、

電気主任技術者は全国への転勤の可能性があり、現在生活しているエリアから離れたくない方には向かない可能性があります。

大企業のように管理している電気設備が広域にある場合では、転勤のリスクになる可能性が低くありません。

 
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転職をポジティブに捉えている人でも、大学・高校時代の友人がいないと地元に戻りたいと考える人も多かったり、そもそも転職をしたくないと考えている人も多いです。
会社を選ぶときに、転勤をがない会社を見つけることで対策できますが、転勤の可能性を孕んでいることから「電気主任技術者はやめとけ」と言われることがあります。

電気関連以外の仕事も多い

電気主任技術者の仕事には電気に関連しない仕事も含まれます。

特にメーカーでの設備屋として電気主任技術者として働く場合は工事監督をしたり、日程調整、故障対応など対応すべき仕事が多く、やることが多いです。

しかし、エンジニアのように定期的な点検や不良品の原因分析などは電気主任技術者の専門性を磨くために、離れているため、高圧保安のプロフェッショナルである電気主任技術者としての経験を積むことに繋がりにくいです。

「国家資格を取得したのに、専門性を磨けられない職場だった」ということも耳にするので、就職しようとしている企業では働く電気主任技術者の方に話を聞くなど実際の業務のイメージを持つことが大切です。

電気主任技術者の平均年収

電気主任技術者という資格はレベルに応じて3種類に分かれており、それぞれの資格レベルによって、保有者の年収にも違いが見られます。
一般的に高いレベルの資格を持つ者ほど、その専門性やスキルが評価され年収も高くなる傾向にあります。
 
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ここではそれぞれの平均年収について紹介していきます。

第一種電気主任技術者(電験一種)の平均年収

第一種電気主任技術者の平均年収は、およそ700万円であるといわれています。
月給にならすと55万円前後で、企業によっては資格手当が3万円ほど出るところもあります。
第一種電気主任技術者は事業用電気工作物の全てを取り扱え、取得難易度が高く有資格者が少ないことから重宝されます。

第二種電気主任技術者(電験二種)の平均年収

第二種電気主任技術者の平均年収は、500〜600万円であるといわれています。
月給に換算すると40万円前後で、実際の求人には600万円以上の内容も掲載されています。

第三種電気主任技術者(電験三種)の平均年収

第三種電気主任技術者の平均年収は、およそ450~500万円であるといわれています。
第二種と第三種を比較すると大きな差はありませんが、求人によっては第二種の方が年収が100万円以上高くなります。
電気主任技術者は全国の平均年収に比べ高い水準にありますが、多くの企業では担当する工事の規模感が大きくなるにつれ平均年収も高くなります。
ホテルや一軒家、町工場の電気工事よりも火力・水力発電所や変電所、都市開発に伴う街全体の電気インフラ設備自然災害による損傷を復旧するための電気工事では報酬が高くなる傾向にあります。
 
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電気設備だけでなく、空調、給排水、消防設備などの設備管理者であったり、工場や事業所の安全管理者、省エネギー法に基づくエネルギー管理の業務を兼任することで年収が異なるので参考として情報を確認し、実際の企業との面談にて確認してみてください。

電気主任技術者として年収を上げるためには

 

電気主任技術者の資格は難易度が高く、業界内での専門的な地位を示すものとして価値があるとされています。
しかし、電気主任技術者の資格を取得するだけですぐに年収が上がるわけではありません。
資格を基盤として、実務経験を積み重ねながら実践的なスキルや電気に関連する知識を継続的に身に着けることが大切です。
電気主任技術者は資格の難易度、人手不足の状況、労働環境を考慮すると「高待遇・高収入」であると断言できませんが、電気工事にまつわる総合的なスキルを身に着けることで、企業や上司からの評価が高まり、更なる年収アップに繋がります。
ここでは、電気主任技術者としての年収を上げるための具体的な方法を紹介していきます。
電気主任技術者として年収を上げるために

電気主任技術者としての実務経験を多く積むこと

電気主任技術者の年収を上げるための鍵として、多くの実務経験を積むことが挙げられます。
電気工事には新築の電気工事や改修・メンテナンス、通常の建設現場・居住環境とは異なる環境での作業もあります。
化学プラントや石油精製所など危険物質を扱う工業施設では爆発や火災のリスクが伴い、病院やクリニックでは医療機器の精密な電気工事が必要であり、中断することなく電力を供給するなど高い専門知識と活用、安全管理が求められます。
これらの環境での電気工事経験があると、安全意識が高く作業現場での事故防止に直接役立ちます。
保守管理や再生可能エネルギーに関する専門的な知識を持っていると、予知保全やリスク管理において設備故障を未然に防ぐことにつながったり、修理費用のコスト削減につながるため企業にとっても貴重な人材としてみなされます。
さらに、こうした知識をコンサルティング業務の副業として活かすこともできるため電気主任技術者としての年収アップを期待できます。
 
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電気主任技術者としてのキャリアを積む中で多くの実務経験を持つことは、自身のスキルアップや収入の向上に寄与する要因となります。

電気に関連する資格をとる

電気主任技術者の年収を上げるための一つの方法は、電気関連の資格を取得することです。
資格は、企業に対して電気関連の知識量やスキルを持っていることを明示的に示す有効な手段となり、電気主任技術者としてのスキルアップを目指す際、資格取得は大きなアドバンテージとなるでしょう。
電気主任技術者の他にエネルギー管理士など、法律によって資格を持つ人の配置が義務付けられている場合、資格を持つ人への需要が高いため、エネルギー管理士の資格も取得するとより希少価値の高い人材とみなされます。
電気は私たちの生活において欠かせないものとなっていますが、省エネといったエネルギーの効率活用も注目され、企業も率先してエネルギーの使用の効率化を図ろうとしています。
他には、電気関連の資格として「電気工事士」「電気工事施工管理技士」「電気通信施工管理技士」「電気通信主任技術者」などが挙げられます。
電気主任技術者の他にも、電気工事に関連する資格を取得することで電気主任技術者としての専門性や信頼性が高まり年収がアップする可能性が高まります。
電気関連の資格を取得することは、企業に対するアピールだけではなくお客様からも電気のエキスパートとして信頼を得ることができ年収アップに繋げることが可能です。
例えば、電気主任技術者の資格を保有しながら、電気工事の施工管理技士としても従事することで一度施工を担当した後に、設備に関わる保守・点検、劣化による設備を更新する必要がある場面などで顧客から電気主任技術者にしかできない相談を受けることがあります。
電気設備は安全に運用するために、設備に対して熟知した技術者による定期的なメンテナンスが必要不可欠です。そのため、設置の工程から保守・点検まで一気通貫で業務を担える人材は顧客からの信用を獲得することが出来ます。
そのため仕事の機会を得て、経験を多く積むことができキャリアアップに寄与します。

第一種電気主任技術者を取得する

電気主任技術者の資格は、第三種から第一種までの種類が存在します。
三種類ある中でも第一種電気主任技術者は、全ての事業用電気工作物の作業に携わることが唯一認められている資格です。
第一種電気主任技術者の資格を取得することで、作業範囲に制約されることなく、様々な現場に従事することができます。
第二種電気主任技術者では、17万ボルト以上の事業用電気工作物を取り扱うことができませんが、第一種電気主任技術者では一定の規模を超える発電所の運用・工事に携わることができます。
 
電気主任技術者としての専門性が高まることで、企業からの需要も増加し、結果として第一種電気主任技術者は高い年収を期待することができます。
特定の電圧や変量を超える受電設備を持つ工場やビルなどの施設は法律によって、第一種電気主任技術者の配置が義務付けられているため、専門性を示し、より高い年収を得るための重要なステップといえます。

電気主任技術者として独立はやめた方がいい?

電気主任技術者として働いている方、働こうとしている方の中には独立を考えて働いている方もいらっしゃると思います。

電気主任技術者として実務経験を積みながらキャリアを進めていくことで独立される方もいらっしゃいますが、正社員として働く場合と税金面や収入面において大きく異なる部分もあります。

独立は自分で仕事を選べるため楽しい?

電気主任技術者として独立すると、自分で仕事を選ぶことができます。

収入を増やしたいと考える方であれば、大変な仕事でも受注して収入を上げるよう取り組め、特定の分野や技術の向上を狙っている方だと独立により専門性を高め市場での競争力を高めることも狙えます。

さらに、電気主任技術者として技術を身につけるだけでなく、顧客管理・マーケティング・税務など、これまで電気主任技術者として関わることがなかったビジネススキルも身につけられます。

独立によって自分の希望に合わせた仕事を選ぶことができますが、会社経営にかかるコストや収入の不安定さなど考慮すべき点をまとめ、準備をすすめることが重要です。

多くの方は各地のフリーランスの電気主任技術者が所属する電気管理技術者協会に入り、仕事の斡旋をしてもらったり業界の仲間を作ったりします。

電気主任技術者として独立して失敗する人もいる?

電気主任技術者として独立して活動をしていく場合、すぐに案件を受け持って活動できる方もいらしゃいますが、なかなか案件を取ることができずに苦しい思いをされる方もいます。

そのため、電気主任技術者として独立して間も無い時期、一時的に派遣社員として働きつつ自分の会社での活動を行う方がいます。

派遣社員としての活動を行いつつ、徐々に案件を獲得できるようになればいいのですが中には独立後案件を取ることができないため、長期的に派遣社員として活動を続ける方もいらっしゃいます。

派遣社員はプロジェクトベースで契約されることが多く、建築現場ではプロジェクト単位で人員確保したいと考えることが多いことから、プロジェクト終了につれ次の仕事を探さなければならないことが考えられます。

派遣社員では企業による研修や昇進の機会が限られていることも多く、スキルアップやキャリアアップの機会が正社員の頃に比べ少なくなる可能性もあります。

 
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契約方法も時給・日給で雇用されていることも多いことから、経済的な不安定なことからも電気主任技術者として独立する際は派遣社員はやめとけと言われます。

電気主任技術者のフリーランスの年収

独立後にフリーランスの電気主任技術者の方は自分で仕事を選びつつ努力次第で仕事量を増やせるため、平均年収も600〜1,000万円と高くなっています。

先述の通り、電気主任技術者のフリーランスとして活動する場合は専門的な技術だけでなく営業スキルや顧客管理など様々な業務が増えるため会社員に比べ激務になることがあります。

年収1,000万円を超えるような一般的に高年収とされている基準には、中小規模の電気工事ではなく大規模な商業施設や特殊電気工事が必要な工場など規模感の大きなところから受注することを心がけましょう。

独立したばかりの頃や会社の立ち上げから事業が軌道に乗るまでは時間がかかる可能性があるため、電気工事のアルバイトや派遣社員としてダブルワークをして仕事を繋いでいく必要があることもあります。

電気主任技術者の1日とは

ここまで電気主任技術者がやめとけと言われる理由や年収・資格別による業務内容を紹介してきました。

電気主任技術者を目指している方や電気主任技術者としてのキャリアに興味がある学生やキャリアチェンジによって現在の職場から電気主任技術者への転職を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 
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自分にあった職種か判断するためにも、1日の始まりから終わりまでのタイムテーブルやそれぞれの業務内容について確認しつつ、残業時間や休日出勤の有無についても確認していきましょう。

1日の流れ

電気主任技術者の勤務する業界や職場、担当するプロジェクトの種類などによってその日のスケジュールが変動しますが、一般的な電気主任技術者の1日は次のように進むことが多いです。

8:00~8:30 朝礼&仕事内容の確認
8:30~12:00 現場での電気設備の機械の確認&保守
12:00~13:00 昼休み
13:00~15:00 電気の使用量の確認&異常がないかの確認
15:00~17:00 会議+必要であれば新しい設備の設計
17:00~18:00 1日のまとめ

電気主任技術者の具体的な仕事内容

朝礼後から夕方までは現場で電気設備の異常がないかの監督業務、新たに建てる建物の電気設備工事を担当し、会社に戻ると必要に応じて、報告書・図面、見積書などの事務作業を行います。

監督業務以外にも、発電される電力量と消費される電力量のバランスが取れているかの電力供給バランスの確認も行います。

電力供給バランスが偏ってしまい、電力不足や電力の過剰発生が生じると停電や機器の損傷などの問題を引き起こす可能性があり、電気主任技術者の重要な業務の一つです。

その他に、1日に複数の企業の電気設備の点検を行うため、各現場で必要だろうと考えられる時間を見積りながら時間を割り当てていく必要があります。

 

電気主任技術者に向いている方

電気主任技術者という職種は、危険が伴う職種であり、電気技術の深い知識と経験を持って工事現場にて指導・監督する役割を担っています。
そのため、電気主任技術者として働くためには単に技術的なスキルだけが必要というわけではありません。
では、電気主任技術者に向いている人とはどのような特性や適性を持っているのでしょうか。
ここでは、電気主任技術者としてのキャリアを目指す方々に、その適性や必要な資質について2点にフォーカスして紹介します。

責任感がある方

電気主任技術者は、インフラとして欠かすことができない電気を整備します。
電気は生活を快適にするだけでなく、医療施設においては人の命に関わるため、電気設備の不具合は人命に直結する重大な事故を引き起こします。
社会の基盤となっている電気は経済活動を支えており、電気設備の故障や停止は企業の生産活動に直接影響を及ぼし、経済的損失を生む可能性もあります。
電気設備において不備が発生し、万が一電気が止まってしまうことがあると、原因の特定や復旧作業、安全確認で夜中に対応が求められることもあります。
電気工事におけるミスは、重大な事故に繋がり人命に関わる可能性があるため、電気主任技術者は常に注意深く、責任感を持って業務を進める必要があります。
 
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電気主任技術者の立場は、工事現場において安全と品質を守るためのキーパーソンとも言えます。そのため、責任感のある人は、電気主任技術者としての役割を果たす上で適しています。
 

縁の下の力持ちとして働くことにやりがいを感じる方

電気主任技術者の業務は決して派手なものではなく、縁の下の力持ちとしての存在感を持っています。
電気は実生活において欠かせないものですが、日常生活において提供されて当たり前のものとして認識している人も多く、電気が途切れた時に重要性が認識されることが多いです。
しかし、定期的な保守・メンテナンスによって老朽化に伴う故障や事故を防ぎ、問題がなければ電気主任技術者が貢献していることに気がつかない方も多いです。
電気主任技術者が普段から安全基準に基づき、信頼できる電力を供給しているため、当たり前のものとして認識していますが、普段から支えてくれている電気主任技術者のおかげです。
陰で何かを支える立場に対してやりがいを感じる方は電気主任技術者が向いていると言えるでしょう。
電気主任技術者が行う業務にはインフラの点検や保守、トラブルの解決などが含まれており、日常の生活やビジネス活動をスムーズに進めることに寄与します。
 
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電気主任技術者の専門的なスキルや知識がなければ私たちの生活は不自由になるため、社会に重要な役割を果たす仕事であるといえます。

コツコツ頑張れる人

先ほど「電気主任技術者がやめとけと言われる理由」の部分でも紹介したように、電気主任技術者では高圧保安以外にも担当する業務が多々あったり、責任感が重い環境で働くことになります。

時期によっては残業や休日出勤が続くことがありますが、年収・キャリアアップのため上位資格を取得するためにはコツコツ勉強して知識・経験を積んでいく必要があります。

電気主任技術者は第3種〜第1種までおありますが1種は電気主任技術者の中で最も難易度が高いとされ、中途半端な気持ちでは合格しにくいことも事実です。

日常の業務で疲れてしまうかもしれませんが、第1種電気主任技術者の試験を取得するためには常に勉強して吸収し続ける姿勢が不可欠です。

電気主任技術者としての将来性

冒頭では、「電気主任技術者はやめとけ」といわれている理由を紹介してきました。
しかし、電気主任技術者は人々の生活を作り出している社会に必要不可欠であり、建設業界においても需要が高く重宝される存在です。
ここでは、電気主任技術者としての将来性について紹介します。

市場価値が高いため企業にとって貴重な人材である

電気主任技術者は、国家資格の一つであるほど資格取得の難易度が高いため企業から貴重な人材として重宝されます。
難しい試験を突破した電気主任技術者は、その専門的な知識と技術力が高く評価されるのです。
さらに、作業現場に規模によっては国によって電気主任技術者の設置を義務付けられることもあり、リスク管理・安全・法務管理の面から貴重な人材としてみなされています。
加え、自家用電気工作物の増加にともなり電気主任技術者の需要が高まりつつあります。
経済産業省から発表されている資料によると、自家用電気工作物は毎年0.6%のペースで増加しており、この増加傾向は今後も続くと予測されています。
高度経済成長期やベビーブームに建てられた住宅・建築物の老朽化も進んでおり、建て替えや都市開発に伴う保守点検の業務件数も増加しつつあります。
 
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企業は、電気主任技術者に対しての市場価値が高く認識しており、電気主任技術者は今後も需要や価値を高め続けることが期待されています。

AIに職を奪われる可能性が低い

近年、AIの進化に伴いこれから人間が行う仕事がなくなる可能性があると耳にした人もいるのではないでしょうか?

野村総研が2015年に実施した調査によると、「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等によって代替可能になる」とされています。

確かに、電気主任技術者が行っている設計・試算といった一部業務をAIが取って代わる可能性もありますが、電気主任技術者しかでしかできないとされる業務もあります。

AIよって電気の監督を行った場合、万が一事故が起こったら誰が責任を取るのか明確に示されていません。

電気主任技術者は現場、機械・材料、天候など総合的に判断して業務を行うだけでなく、現場での情報共有によって人間関係の構築も行います。

電気主任技術者の資格は、技術的知識や経験を持つ専門家が持つべきものであり、保安規定の遵守や誠実な業務遂行は、状況に合わせて柔軟に対応できる人間の判断と豊富な経験が必要不可欠です。

 
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AIの技術進化により、業務の一部が効率化される場合があるかもしれませんが、電気主任技術者の存在価値は揺るがないとされています。

電気主任技術者の2時間ルールが緩和されている

2時間ルールとは、電気設備を扱っている事業所等で電気トラブルが発生した場合に、電気主任技術者が2時間以内に現場に駆け付けなければならないルールのことを指します。

この2時間ルールに関して、令和4年4月に経済産業省の電気保安グループ電力安全課から見直しをする方針が発表されました。

参照:経済産業省「主任技術者制度に係る見直しについて」

5万ボルト以上を扱う電気設備では第2種の電気主任技術者の選任が求められる一方で、特に地方では第2種の保有者は大きく減少してしまい第2種以上の資格保有者の負担が大きくなるといわれています。

大規模な再生可能エネルギーの発電設備は、今後山間部海上でも開発される見込みであるとされており、アクセスの悪さから駆け付けるまでに時間を要することが課題として挙げられます。

そのため、アクセスの悪さや電気の保安人材が不足している現状を受けて第2種電気主任技術者の監督下であれば、資格を取得していない担当技術者(第3種電気主任技術者、認定校卒業者、電気工事士等)でも対応を可能とする制度に変革されました。

 
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人手不足ということもあり必ずしも働きやすい環境であるとは言い難いですが、この規制変革によって電気主任技術者それぞれの負担が分散されつつあるとされています。

電気主任技術者の合格率

電気主任技術者の資格取得には、年齢制限、実務経験の有無や年数、資格に合った学歴などが全て不要でどなたでも受験することができます。
建築関連で国家資格の施工管理は実務経験や学校で専門的に学んでいるかどうかが求められるため、
電気主任技術者の資格取得は下位の資格から順番に受験する必要がなく、最初から一番難易度の高い第一種を受験することも可能です。
ここでは直近3年間の電気主任技術者の合格率について紹介していきます。

電気主任技術者 第一種の合格率

一次試験

(単位:人,%)

  受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 1,508 759 50.3
令和3年度 1,225 379 30.9
令和4年度 1,436 442 30.8
3年間の平均合格率は、約37%でした。
二次試験

(単位:人,%)

  受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 933 134 14.4
令和3年度 899 72 8.0
令和4年度 685 143 20.9
参照:一般財団法人電気技術者試験センター 「令和4年度第一種及び第二種電気主任技術者二次試験の結果について」 3年間の平均合格率は、15.1%でした。

電気主任技術者 第二種の合格率

一次試験

(単位:人,%)

  受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 6,235 1,695 27.2
令和3年度 5,979 1,539 25.7
令和4年度 6,189 2,178 35.2
3年間の平均合格率は、約29%でした。
二次試験

 (単位:人,%)

  受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 2,512 701 27.9
令和3年度 2,407 413 17.2
令和4年度 2,904 698 24.0
参照:一般財団法人電気技術者試験センター 「令和4年度第一種及び第二種電気主任技術者二次試験の結果について」 3年間の平均合格率は約22%でした。

電気主任技術者:第三種の合格率

(単位:人,%)

  受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 39,010 3,836 9.8
令和3年度 37,765 4,357 11.5
令和4年度上期 33,786 2,793 8.3
参照:一般財団法人電気技術者試験センター「令和 4 年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について」 3年間の平均合格率は、約9.9%でした。
第三種の合格率が少なく難易度が高いのではないかと感じた方もいるかもしれません。しかし第三種は電気主任技術者の中で1番易しいことから第一種や二種よりも受験者の学力の幅が広いことが考えられます。そのため合格率が低い結果となっています。
電気主任技術者三種では受験だけでなく、認定といった方法でも電気主任技術者の資格を取得することができます。
  • 指定校を卒業
  • 実務経験を積む
  • 認定取得の申請を行う

認定では受験する必要がないため、勉強が苦手な方でも取得でき、実務経験を豊富に積んでいる方であれば、試験の勉強をし直す必要がないメリットがあります。

しかし、指定校に通い卒業している必要があるため、0から始める社会人には向いていないです。

 
建設ワークス
合格率の低さに圧倒されることなく、基礎を固めるためにも第三種電気主任技術者の試験から挑戦することをおすすめします。
 

まとめ

  電気主任技術者は技術者は人手不足によって一人当たりの業務量が多くなってしまい、過酷な労働環境下であると予想されていることから、「電気主任技術者はやめとけ」と一般的にいわれています。
しかし、本記事で紹介してきたように電気主任技術者の将来性や需要は高いとされています。電気主任技術者の資格を取得し技術者として経験を積むことで、将来的に重宝される人材として従事することができます。
電気主任技術者の資格を取得することは、他の電気系の資格試験に比べて合格率が低く難易度が高い傾向にあります。
しかし、将来性や高い専門性を誇る資格であるため取得する価値は十分にあるとされています。
 
建設ワークス
資格取得を検討している方は、本記事を参考にしてご自身のキャリアを構築する参考にしていただけたら幸いです。