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昇降機等検査員とは?受講資格・講習・合格率と、資格を活かせる仕事と年収

昇降機等検査員は、エレベーター・エスカレーターなどの定期検査を行える国家資格です。取得には国土交通大臣登録の講習を受けて修了考査に合格する必要があり、令和7年度は修了考査を受けた971名のうち811名が修了しています(約83.5%)。

ただ、この資格の本当のハードルは講習ではありません。講習を受けるまでに必要な実務経験の年数が、出身学科によって2年から11年まで大きく変わることです。

この記事では、受講資格・講習の流れ・合格率を一次情報で整理したうえで、エレベーター業界の転職支援をしている立場から「資格を取ったあと、どう動くと年収とキャリアにつながるのか」までを書きます。

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昇降機等検査員とは

昇降機等検査員とは、建築基準法第12条第3項にもとづく昇降機の定期検査を行える資格者です。ビルやマンションのエレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機、遊戯施設の所有者・管理者には、定期的に資格者に検査をさせ、その結果を特定行政庁に報告する義務があります。この検査を行えるのは、昇降機等検査員、一級建築士、二級建築士です。

平成28年(2016年)6月の建築基準法改正で、それまでの「昇降機検査資格者」に代わって創設されました。求人票や会話では今でも「昇降機検査資格者」「昇降機検査員」と呼ばれることが多く、同じ資格を指しています。

定期検査は、建築基準法にもとづいて年1回程度、特定行政庁へ報告する法定の検査です。一方の保守点検は、保守契約にもとづいて月1回程度行う日常のメンテナンスです。保守点検は資格がなくても行えますが、法定の定期検査には昇降機等検査員などの資格が必要です。

出典:一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター「昇降機等検査員講習」、建築基準法第12条第3項

受講資格:出身学科で必要な実務経験が2年〜11年と大きく変わる

昇降機等検査員講習を受けるには、学歴に応じた年数の「昇降機又は遊戯施設に関する実務経験」が必要です。機械工学などの指定された課程を修めているかどうかで、必要年数が大きく変わります。

最終学歴 必要な実務経験
大学で機械工学などの指定課程を修了 2年以上
3年制短期大学などで指定課程を修了 3年以上
短期大学・高等専門学校などで指定課程を修了 4年以上
高等学校などで指定課程を修了 7年以上
上記以外(学歴・課程を問わない) 11年以上

出典:一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター「昇降機等検査員の受講資格及び受講申込で提出する書類(早見表)」。対象となる課程の範囲や、一級・二級建築士などその他の区分は早見表で必ず確認してください

同じ会社で同じ仕事をしていても、機械系の大学を出た人は2年で受講資格を満たし、指定課程以外の学科を出た人は11年かかります。この差が、エレベーター業界の採用で「機械系・電気系の学科卒」が強く求められる理由の一つです。

実務経験は「昇降機又は遊戯施設に関する実務」でなければなりません。申込時には勤務先による実務経験等証明書が必要で、申込後に一部の申込者へ業務内容を具体的に証明する書類の追加提出が求められることもあります。補助的な作業しか担当していない、昇降機以外の業務が中心、という場合は実務経験として認められない可能性があります。

講習と修了考査の流れ(令和8年度)

講習は一般財団法人 日本建築設備・昇降機センターが実施しています。令和8年度は、自宅で録画講義を視聴する「WEB講習」と、会場で視聴する「会場講習」の2つの受講方法があり、どちらも修了考査は会場で受けます。

項目 令和8年度の内容
申込期間 令和8年6月9日〜7月21日(インターネット申込)
WEB講習 9月11日〜10月1日に講義を視聴。初回は早送り・倍速不可
会場講習 10月6日〜10月8日(9:00〜17:00)
修了考査 10月9日(10:20〜12:30)。東京・大阪の会場で実施
定員の目安 東京:WEB講習460名・会場講習135名/大阪:WEB講習380名・会場講習125名
受講料 58,000円(税込・テキスト代含む)
合格基準 修了考査30問中20問以上の正解(令和7年度の基準)

出典:一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター「昇降機等検査員講習」(令和8年度)、同「実施結果」

申込は年1回で、令和8年度はすべての会場が受付を終了しています。受講資格を満たす年になったら、6月の申込開始に合わせて書類を準備しておく必要があります。実務経験等証明書には勤務先の証明者の署名・捺印が要るため、転職を考えている方は、退職前に証明を受けられるかも確認しておくと安心です。

難易度と合格率:講習の合格率は高いが、たどり着くまでが長い

令和7年度の実施結果は、修了考査を受けた971名のうち、修了者(修了証明書交付者)が811名でした。合格率に直すと約83.5%です。

講習と修了考査の難易度だけを見れば、決して高い資格ではありません。講習テキストと電卓(通信機能のないもの)の持ち込みも認められています。

それでも希少な資格とされるのは、受講までに数年単位の実務経験が必要で、しかもその経験を積める職場が限られているからです。独立系エレベーター保守の最大手であるジャパンエレベーターサービスホールディングスの開示を見ても、技術員数は1,452名(2026年3月期)に対し、昇降機等検査資格の保有者は約700名とされています。

出典:一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター「令和7年度 昇降機等検査員講習 合否判定について」、ジャパンエレベーターサービスホールディングス「2026年3月期決算説明会資料」

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昇降機等検査員の年収:資格そのものより「どの会社で何をするか」で決まる

昇降機等検査員の年収は、資格手当だけで大きく変わるわけではありません。年収を左右しているのは、メーカー系か独立系か、そして保守・検査・リニューアル提案・施工管理のどの職種に就くかです。

当社がご紹介しているエレベーター業界の求人(2026年時点)では、未経験〜経験1年程度で450万〜500万円前後、経験者で600万〜700万円前後が目安です。メーカー系の上位職では700万〜800万円台の求人もあります。

上記は建設ワークスが扱う求人の条件から見た目安で、業界全体の平均ではありません。実際の年収は、会社の等級制度・待機手当・地域によって変わります。

実際の転職事例では、施工管理の資格を持たずに設備工事の施工管理からエレベーター業界(メーカー系)へ移った20代後半の方が、年収400万円から486万円に上がっています。資格がなくても、現場経験と会社の等級制度で年収が決まる例です。

出典:建設ワークスの成約実績(内定通知書・労働条件通知書の記載にもとづく)。個人と入社先企業が特定されないよう伏せています

資格を取ったあと、どう動くべきか

昇降機等検査員の資格を持つと、転職市場での選択肢が広がります。ただし、どの方向に使うかで働き方はまったく変わります。

1. メーカー系の保守・検査へ移る

独立系で複数メーカーの機種を扱ってきた方が、特定メーカーの製品を深く扱いたいとメーカー系へ移るケースは多くあります。当社の面談でも「独立系では幅広い機種を触れるが、1つのメーカーの知識の深さでは劣る」と感じ、数年後のメーカー転職を見据えて経験を積んでいる方がいます。資格を持っていることは、その際の評価材料になります。

2. 夜間待機のない職種へ移る

保守の仕事で負担になりやすいのが、夜間・休日の故障対応の待機です。メーカー系には、既存顧客へのリニューアル提案や、工事の施工管理など、夜勤・土日勤務のない職種もあります。点検の実務と検査の知識は、こうした職種でもそのまま活かせます。

3. 検査・品質の専門職として残る

定期検査の実務を中心に担当し、検査の専門性を高める道です。検査員の数が限られているため、検査を担当できる人材は社内でも重宝されます。

いまの職場で受講資格を満たせない場合

受講資格の実務経験は、本人の努力だけでは積めません。担当業務が補助作業中心で昇降機の実務として認められにくい、会社が昇降機の業務をほとんど請けていない、という場合は、何年勤めても受講資格に届かないことがあります。

この場合は、昇降機の保守・点検を主業務とする会社に移り、実務経験を積める環境に身を置くほうが早いケースがあります。資格取得の支援制度(講習費用の会社負担など)の有無も、転職先を選ぶときに確認しておきたい項目です。

よくある質問

昇降機等検査員は国家資格ですか?

国家資格です。国土交通大臣の登録を受けた講習を修了し、資格者証の交付を受けることで昇降機等検査員になれます。

独学で取得できますか?

試験のみを受ける方式ではなく、講習の受講と修了考査の合格が必要です。講義は決められた時間をすべて視聴する必要があり、独学だけで取得することはできません。

電気科の出身でも短い年数で受講できますか?

対象となる課程の範囲は、日本建築設備・昇降機センターの早見表で定められています。ご自身の学科が該当するかどうかは、申込前に早見表で確認してください。

一級建築士・二級建築士も定期検査はできますか?

できます。建築基準法第12条第3項では、昇降機の定期検査を行える資格者として、昇降機等検査員のほかに一級建築士・二級建築士が定められています。

未経験からでも目指せますか?

目指せます。まず昇降機の保守・点検の仕事に就き、実務経験を積んでから講習を受けるのが一般的な流れです。未経験からエレベーター保守に入る方法はエレベーターメンテナンスに未経験から転職するにはで解説しています。

まとめ

– 昇降機等検査員は、建築基準法にもとづく昇降機の定期検査を行える国家資格
– 受講には昇降機などの実務経験が必要で、出身学科により2年〜11年と大きく異なる
– 令和8年度の講習は受講料58,000円、修了考査は10月に東京・大阪で実施
– 令和7年度の修了考査は受考971名・修了811名(約83.5%)。難しいのは講習より、受講資格の実務年数を満たすこと
– 年収は資格手当より、メーカー系か独立系か、どの職種に就くかで決まる
– 受講資格の実務経験を積めない職場にいる場合は、環境を変えるほうが早いことがある

メーカー系と独立系の違いはエレベーターのメーカー系と独立系の違い、仕事のきつさについてはエレベーター保守はきつい?で詳しく書いています。

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この記事の監修
建設ワークス編集部
建設ワークスは、建築・電気・管工事の施工管理や設備管理を中心とした、建設業界に特化した人材紹介サービスです。この記事の制度・講習・合格率に関する記述は一般財団法人 日本建築設備・昇降機センターの公表資料などに基づき、年収・求人に関する記述は当社が扱う求人と成約実績に基づいて作成しています。
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