電気工事士はビルや工場、一般住宅内での電源やケーブルを配線し、電化製品が利用できるように整理します。
電気の配線工事など国家資格が必要で独占業務でもあることから、電気工事士として独立して仕事をする方も少なくありません。
これから電気工事士として独立しようと検討している人も日当の相場はどのくらいなのだろうか?これから請け負う場合のためにも把握しておきたいはずです。
電気工事士一種の一人親方の日当相場
電気工事士には2種と1種の2種類あり、資格によって日当が変動します。
電気工事士一種の一人親方の日当相場は16,000円程度です。
求人ボックスのデータでは電気工事士一種の平均月給は35.3万円であり、仮に月の労働日数を22日と仮定した場合、日当は約16,000円という計算になります。
ただし、上記のデータはあくまでも平均であり、実際の日当は地域やこれまでの実績、元請けの単価などにより変わるものです。
電気工事士二種の一人親方の日当相場
電気工事士二種の一人親方の日当相場は約14,000円です。求人ボックスのデータによると、電気工事士に種の平均月給は30.2万円でした。
月あたりの労働日数を22日とすると、日当は約14,000円になります。
電気工事士二種は一般住宅や小規模施設での電気工事しか行えません。大規模な電気工事が行えないため、電気工事士二種は一種と比較すると日当相場が低くなります。
建設現場の一人親方の日当相場
建設現場で働いている電気工事士の一人親方の日当相場は約2万円です。
加え、建設現場では人材不足が問題となっていることから建設現場における電気工事士の需要は高いです。
実際、電気工事士と独立された方も営業で困っている人は少ないとされ、案件を受注し続けられている電気工事士も珍しくありません。
電気工事士の一人親方として年収を上げる方法
電気工事士は経験を積みながらキャリアを築いていくこで年収を上げることが期待できますが、一人親方として独立する場合はキャリアを築くだけでは難しいです。
そこで、電気工事士の一人親方が今よりも年収を上げるための方法をいくつかご紹介します。
隣接地工種のスキルを身につける
もちろん、一人親方としてだけでなく、電気工事士としての技量を上げることは重要です。
そのため電気工事士に関連した資格を取得することは大切です。
他の資格を取得することでスキルや知識を高めることができ、対応できる業務の幅を広げるのにも役立つでしょう。
電気工事士としてのキャリアアップや年収アップにつながります。
たとえば、「認定電気工事従事者」という国家資格があります。第二種電気工事士が「認定電気工事従事者」を取得することで、大きな建物でも簡易的な電気工事ができる資格です。
また、電気工事士に関連した資格に「特殊電気工事資格者」という資格があります。
こちらは、ネオン工事や非常用発電装置など特殊な電気工事に関する資格です。
電気工事士として仕事の幅を広げられるでしょう。
電気工事に関する資格を取得して、新たなスキルを身につければキャリアアップにつなげることができます。できることを増やすことで年収のアップも期待できるでしょう。
上位資格を取得する
電気工事士としての年収を上げたいならば上位資格を取得することが大事です。第二種電気工事士の資格を持っているならば、第一種電気工事士を目指しましょう。
第二種は年2回試験があること、第一種電気工事士の試験に比べ専門性・範囲が狭いため、比較的難易度が易しいとされています。
主に一般住宅や小規模店舗で低圧の電気工事に対応できるのが第二種となっています。
一方、第一種電気工事士は年に1回しか試験が行われず、第二種よりも試験の難易度は高いです。
第一種は高圧の電気工事ができる資格のため、第二種よりも試験範囲が広くなり、より高度な知識が要求されます。
第一種電気工事士を受験するには実務経験が必要で、まずは第二種電気工事士の資格を取得し、実務経験を積んでから第一種の試験を受けるのが基本的な流れといえます。
第一種電気工事士の資格を取得することで最大電力500キロワット未満の建物で工事ができるのがメリットです。仕事の選択肢が広がり、日当単価も高くなるでしょう。
節税の知識を身につける
個人事業主として働いている一人親方は、自分で税金対策を進めることで税額を抑えることが可能です。税金対策は知識さえあれば誰でも実行できるものがたくさんあります。
節税の基本となるのは以下の3点です。
- 経費を増やす
- 所得控除を増やす
- 税額控除を増やす
事業と関連のある支出については経費にでき、経費が増えれば、その分だけ課税所得を減らすことが可能です。
家賃や水道光熱費なども事業で利用した分については経費で、車両のガソリン代や駐車場代なども事業に関連のある部分について経費計上できます。
また、一人親方ならば、青色申告を選びましょう。
確定申告の方法には、白色申告と青色申告の2種類があり、青色申告であれば最大65万円の所得控除があります。
他にも生命保険料控除や社会保険料控除、地震保険料控除、医療費控除などで適用できるものはすべて申告することが大切です。
担当できる業務の幅を広げる
電気工事士として担当できる業務の幅を広げることで日当を上げることができ、年収アップにつながります。
資格を取得するだけではなく、積極的に新しいスキルを身につけることが重要になります。
電気工事士の仕事は配線工事だけではなく電気設備の工事や管理、エアコンの取り付け・取り外しなど多岐に渡るため、新しい仕事を覚えていくことで、電気工事士として受注できる案件の幅が広がるでしょう。
担当できる業務の幅を広げる方法としては、講習会や勉強会などに参加するという方法があります。
電気工事士を対象とした講習会はたくさん開かれていて、有益なものが多いです。
短い期間で集中的に開催される講習会が多く、座学と実技が含まれているため、参加するだけでスキルアップを実現できます。
電気工事士の一人親方として働くメリット
電気工事士は就職や転職、年収アップなど多くのメリットがあります。
実際、電気工事に携わる会社では電気工事士がいないと仕事をすることができないため、企業側から重要な人材です。
単価の交渉ができるようになる
電気工事士は一人親方になることで単価交渉できる点がメリットです。
雇われ職人とは違い一人親方の場合は、どんな仕事をどんな条件で受注するか自分で決められ、条件に合わない仕事については断ることも可能です。
たとえば、依頼があったときに単価に満足できない場合は交渉するという選択肢があります。
技術を評価してもら、相手から信頼されている場合は単価を上げることが可能です。
これまでに何度も仕事を受注して付き合いのある相手であれば、単価交渉に快く応じてくれる可能性は高いでしょう。
また、同業他社がなかなか引き受けないタイプの仕事については、仕事の難易度を理由にして単価を上げることができます。
業務の難易度が高い仕事や危険な作業が伴う仕事については、単価を上げてでも依頼してくれるケースが多いです。
営業活動に自信がない場合は、営業や交渉を外部のサービスに委託する方法もあるため検討してみましょう。
引き受ける仕事を選択できる
一人親方は自分で引き受ける仕事を選択できるのがメリットです。
仕事量を調整できるため、キャパオーバーになりそうであれば断ることができます。他に引き受けている仕事との兼ね合いを考えてスケジュール調整することも可能です。
人それぞれ仕事に対する考え方は異なり、とにかく多くの仕事を確認して年収を上げたい人もいます。
それぞれの価値観に合わせて引き受ける仕事を選べるのが一人親方であるメリットです。
ただし、上手く仕事の量を調整できないと後で困るケースがあります。
特に一人親方になってすぐの頃はなかなか売上が入らないため、仕事を引き受けすぎることが多いです。
一人親方は体が資本であり、怪我や病気で仕事ができなくなればその期間は収入が0になります。
これから一人親方を目指すのであれば、仕事量を上手くコントロールしていくことが大切です。
自分の判断で上手く仕事の取捨選択ができるようになれば、自由な働き方を実現できるでしょう。
定年退職の概念がなくなる
電気工事士として一人親方になれば、自分が望む限りはいつまでも働き続けることができます。
一人親方は個人事業主であり、会社に雇われているわけではないため、定年退職という概念がなくなります。
近年は日本で電気工事士が不足していて、今後もその傾向は続いていくでしょう。
そのため、一人親方の電気工事士は何歳になったとしても、現場で重宝される存在になります。
実際に現場で働いている電気工事士の中には60代や70代の方も少なくありません。
定年退職という概念がないため、老後の生活資金が不足する心配はなくなります。
たとえ受け取れる年金の金額が少なかったとしても、自分で働き続けることで年金を補うとが可能です。
一人親方になることで老後は経済的にゆとりのある生活を送ることができます。
ただし、スキルや知識がなければ仕事を受けることはできないため、いつまでも向上心を持ってスキルアップに励むことは大事です。
電気工事士の一人親方として働く前に気をつけておくこと
これから電気工事士が一人親方として働く上で気をつけておきたい点について紹介します。
収入が安定しにくい
雇われ電気工事士とは異なり、一人親方では自分で仕事を獲得しなければいけません。安定して仕事を受注できなければ収入が不安定になります。
多くの仕事をこなして信頼されれば、安定して仕事を獲得できるようになるでしょう。
しかし、将来的に継続して仕事を得られる保証は何もありません。
これまで継続して仕事を依頼してくれた請負元との関係が突然途切れることもあります。
また、一人親方をしていると業務を進めていく中で怪我をするリスクがあります。
怪我をすれば働くのに支障が出てしまうでしょう。治療に専念することになれば、その間は仕事を受注できなくなり収入が途絶えます。
加え、収入が安定しない場合に備えて対策を考えておくことが大事です。
たとえば、保険に加入して万が一のリスクに備えることができます。特に労災保険への加入は重要です。
労災保険には特別加入制度があり、一人親方でも加入できるケースがあります。もしもの場合のために労災保険への加入を検討しましょう。
確定申告などの業務が増える
一人親方になると自分で帳簿付けを行い、毎年確定申告をしなければいけません。
多くの一人親方は、これまでに確定申告などの業務に取り組んだことがありません。
会計や税務の制度は複雑であり、初心者にはわかりにくい部分が多いです。
また、日々の記帳や確定申告などでミスがあれば、追徴課税を請求される可能性があります。
本来よりも低い所得を申告すると過少申告となりペナルティが課せられるため、気をつけなければいけません。
一人親方として確定申告をするのに不安がある場合は税理士に相談することをおすすめします。
税理士は税金の専門家のため、日々の帳簿付けから確定申告までしっかりと対応してくれるでしょう。
難しい業務をすべて税理士に丸投げすることもできます。
ただし、税理士に依頼する場合は報酬を支払わなければいけないため、費用負担が発生する点に注意しなければいけないです。
仕事の幅を広げることが難しくなる
電気工事士が一人親方になると仕事の幅を広げるのがなかなか難しくなります。
基本的に一人親方は自分一人で仕事を担当しなければいけません。
対応できる作業量が決まっているため、毎回似たような仕事を引き受けるケースが多いです。
もし一人親方として仕事の幅を広げたいならば、新しいスキルの習得を図るか、従業員を雇うとよいでしょう。
従業員を雇ってチームとして仕事に取り組めるようになれば、対応できる業務の幅を広げることができます。
そうすれば、さまざまな経験や実績を積むことができ、将来的に仕事の幅が広がります。
さらに、一人親方になる前の段階で可能な限り多くの現場を経験して対応できる業務の範囲を広げることが大事です。
一人親方になるとスキルアップのための時間を確保するのが困難になります。早い段階から将来を見据えてスキルアップと経験を積むことを意識しましょう。
まとめ
本記事では電気工事士が一人親方として働く際の日当の相場・年収の目安をご紹介してきました。
電気工事士が一人親方として働く場合、日当1万円〜が相場で経験を積んだ方や他にも関連する資格を有する方では2万円〜3万円の方もいらっしゃいます。
自分で受注する仕事を決められるため、単価の交渉・担当する工事の規模感などからやりがいを感じやすいことも特徴です。