電気工事士は女性でもなれます。第二種電気工事士の試験には年齢・性別・学歴の受験資格がなく、資格を取れば住宅や店舗の電気工事に従事できます。一方で、建設業の技能者に占める女性はまだ少なく、重い資材の運搬や高所作業、女性用トイレ・更衣室の有無など、職場によって働きやすさに大きな差があるのも実情です。
結論から言うと、女性が電気工事士として長く働けるかは「体力」より「職場選び」で決まる部分が大きく、現場作業がつらくなっても電気の資格は施工管理・設備管理・電気保安の仕事で活かせます。国土交通省の資料では、建設業の女性技能者は令和6年で約11万人と、平成25年の約7万人から増えています。
この記事では、女性の電気工事士の割合、体力面の実情、年収、40代・50代・未経験から目指す方法を、公的な数字と当社の面談・打ち合わせの内容から整理します。これから電気工事士を目指す女性の方、いま電気の仕事をしていて働き方に迷っている方は、ご自身に近い章から読んでください。
女性の電気工事士はどれくらいいる?割合と増え方
建設業で働く女性は令和6年で約87万人、そのうち現場で作業する女性技能者は約11万人で、技能者全体(約300万人)に占める割合は約3.7%です(国土交通省の資料をもとに編集部で計算)。平成25年の女性技能者約7万人から増えてはいるものの、現場で働く人の中ではまだ少数派です。
| 項目 | 平成25年 | 令和6年 |
| 建設業の女性就業者 | 約71万人 | 約87万人 |
| 女性技能者 | 約7万人 | 約11万人 |
| 技能者全体 | 約338万人 | 約300万人 |
| 技能者に占める女性の割合(編集部計算) | 約2.1% | 約3.7% |
出典:国土交通省 不動産・建設経済局「トップの意識を変えて、現場が変わる。担い手確保につなぐ、全ての人が働きやすく働きがいのある魅力ある建設産業の実現へ」(令和7年9月、総務省「労働力調査」をもとに国土交通省で算出)。割合は同資料の人数から編集部が計算
電気工事士だけに絞った女性の割合を毎年公表している統計は、編集部では見つけられませんでした。建設業の技能者全体と同じく、電気工事の現場でも女性は少数派だと考えておくのが現実的です。そのぶん、女性を受け入れた経験のある会社かどうかで、働きやすさが大きく変わります。
女性でも電気工事士の資格は取れる?試験と合格率
第二種電気工事士の試験には受験資格がなく、性別・年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受験できます。合格率は令和8年度上期で学科62.2%・技能73.4%で、勉強時間を確保できれば未経験からでも十分に狙える試験です。
| 項目 | 内容 |
| 受験資格 | なし(性別・年齢・学歴・実務経験を問わない) |
| 合格率(第二種・令和8年度上期) | 学科62.2%・技能73.4% |
| 資格でできること | 一般用電気工作物(住宅・小規模な店舗など)の電気工事に従事できる(軽微な工事を除き、資格がないと従事できない) |
出典:電気技術者試験センター「電気工事士試験の試験結果」、電気工事士法
技能試験は、制限時間内に配線を正しく仕上げる実技です。力より、手順を覚えて正確に作業できるかが問われます。試験の難しさと勉強方法は第二種電気工事士の難易度・合格率、資格でできる工事の範囲は第二種電気工事士でできることで解説しています。
体力はもつ?女性が電気工事の現場で感じやすい負担
電気工事の仕事は、配線や器具の取付といった細かい作業が中心で、力仕事ばかりではありません。ただし、資材の運搬、脚立や高所作業車での作業、夏の屋外・冬の新築現場での作業は避けられず、女性が負担を感じやすいのはこうした場面です。なお、労働基準法の女性労働基準規則により、満18歳以上の女性が重量物を扱う業務は、断続作業で30kg・継続作業で20kgまでに制限されています。
| 負担を感じやすい場面 | 実情と、職場で確認したいこと |
| 資材・ドラムの運搬 | 電線のドラムやケーブルは重いものがある。台車・リフトを使う、2人で運ぶなどのルールがあるか |
| 高所・狭い場所 | 脚立・高所作業車・天井裏での作業は性別を問わずある。安全帯の使い方や高所作業の教育があるか |
| 暑さ・寒さ | 新築現場は空調がない時期が長い。空調服や休憩のルールがあるか |
| トイレ・更衣室 | 現場によっては女性用の設備がない。会社として女性用トイレ・更衣室を手配しているか |
| 始業時間・移動 | 朝が早く、現場が日によって変わる。家庭の事情と両立できる勤務時間・現場の範囲か |
出典:厚生労働省「女性労働基準規則」(重量物の制限)、それ以外は建設ワークス編集部(当社の面談・取引先との打ち合わせをもとに整理)
工具の扱いに慣れ、作業の段取りが分かってくると、同じ作業でも無駄な動きが減っていきます。体力に自信がない方ほど、最初の職場選びで「教え方」と「運搬のルール」を確認しておくと安心です。電気工事士全体の向き不向きは電気工事士に向いてる人・向いてない人の特徴で、性別を問わずに整理しています。
女性が働きやすい電気工事会社の見分け方
女性が働きやすい電気工事会社かどうかは、①女性の採用実績、②女性用トイレ・更衣室の手配、③教育の仕組み、④勤務時間と現場の範囲、の4点を面接や求人票で確認すると見分けられます。当社が電気設備の会社と打ち合わせをしても、女性を前向きに受け入れる会社がある一方で、「女性の受け入れ体制はまだ整っていない」と話す会社もあり(2026年7月)、会社によって準備の度合いはかなり違います。
| 確認すること | 働きやすい会社のサイン | 注意したいサイン |
| 女性の採用実績 | 女性の社員・職人が在籍している、または過去に在籍していた | 「女性は初めて」で、受け入れの準備を聞いても答えがあいまい |
| 現場の設備 | 女性用トイレ・更衣室を会社として手配している | 「現場次第」で、会社として決めていない |
| 教育の仕組み | 先輩とペアで現場に出る、資格取得の費用を補助する | 「見て覚えて」で、教え方が人によってばらばら |
| 勤務時間・現場の範囲 | 始業時刻と現場の範囲(通える地域)が決まっている | 遠方の現場・泊まりの出張が多い |
出典:建設ワークス編集部(当社の面談・取引先との打ち合わせをもとに整理)
当社の面談でも、子育てや家族の付き添いで曜日や時間に制約がある中で、未経験から電気の仕事を探したいという女性の相談がありました(2026年10月)。働ける時間に制約がある場合は、そのことを最初に伝えて、条件に合う会社だけを比べるほうが結果的に早く決まります。女性の施工管理の働き方は女性が施工管理で働く強みで紹介しています。
40代・50代・未経験の女性が電気工事士を目指すには
40代・50代・未経験からでも、第二種電気工事士の資格は取れます。ただし、当社の内定データでは50代以上で年収が上がった方は10名中1名、40代は6名中3名で、年代が上がるほど「資格を取れば条件が良くなる」とは限りません。資格の取り方と、どの職種で使うかを先に決めておくことが大切です。
資格の取り方は「独学・通信講座」と「職業訓練」の2つ
働きながら取るなら、独学や通信講座で第二種電気工事士の学科・技能を準備するのが一般的です。離職中の方は、ハローワークの公共職業訓練(ハロートレーニング)で電気設備系のコースを受ける方法もあります。公共職業訓練の受講料は無料で(テキスト代・資格の受験料などは自己負担)、一定の要件を満たせば訓練中に雇用保険の基本手当や、職業訓練受講給付金の職業訓練受講手当(月額10万円)を受けられます。
出典:厚生労働省 東京労働局 ハローワーク三鷹「ハロートレーニング(職業訓練)のご案内」。コースの内容・期間・要件は地域とコースによって異なるため、最寄りのハローワークで確認してください
年代が上がるほど「どの職種で使うか」が大事になる
40代・50代から現場の見習いとして入る場合、体力面の負担に加えて、見習いの給与から始まることが多くなります。電気の知識を活かしながら体への負担を抑えたい方は、ビルや施設の設備管理、電気施工管理の補助など、現場作業以外の職種も比べてみてください。年齢と経験で選考の見られ方が変わる点は、建設・設備業界の転職で年収はどう変わる?内定39名のデータで詳しくまとめています。
女性の電気工事士の年収と、転職での年収の変化【内定データ】
電気工事士の平均年収は628.1万円、有効求人倍率は3.84倍です(厚生労働省 job tag、男女を合わせた職業全体の値)。ただし、これは経験の長い職長や第一種電気工事士の保有者も含んだ平均で、見習いのうちは大きく下回ることが多い点に注意が必要です。当社の内定データでは、転職前の年収が400万円未満の方は13名中12名が年収アップした一方、600万円を超えていた10名は全員が横ばい〜ダウンでした。
| 区分 | アップした人 | 増減の中央値 |
| 転職前の年収 400万円未満 | 13名中12名(+8〜+128万円) | +83万円 |
| 転職前の年収 400〜599万円 | 13名中8名 | +5万円 |
| 転職前の年収 600万円以上 | 13名中2名 | −40万円 |
| 20代 | 11名中9名 | +85万円 |
| 30代 | 12名中9名 | +11.5万円 |
| 40代 | 6名中3名 | −24万円 |
| 50代以上 | 10名中1名 | −37万円 |
出典:建設ワークス 内定データ(39名・2026年10月集計)。内定通知書・労働条件通知書の記載額と、面談で伺った前職の年収を比較。職種・性別を問わない集計で、女性だけの集計ではありません。年収の平均:厚生労働省 job tag「電気工事士」(令和7年賃金構造基本統計調査を加工)
電気工事士の資格を持つ方の内定事例では、30代後半で第二種電気工事士を持つ方が電気工事の施工管理へ移って430万円から519万円(+89万円)に上がった一方、40代で第一種電気工事士を持つ方は540万円から480万円(−60万円)に下がっています(建設ワークス 内定データ、2026年10月集計)。年収が低いうちに資格と経験を積んで移る方は上がりやすく、年収がすでに高い方や40代以降の方は、働き方を良くする代わりに年収が少し下がることがあると考えておくと判断を誤りにくくなります。
電気の資格を活かせる、現場作業以外の仕事
女性が電気工事士の資格を活かせるのは、電気工事の現場作業だけではありません。電気施工管理、ビル・施設の設備管理、工場の設備保全、電気保安など、電気の知識と資格が評価され、現場作業に比べて体への負担や働く時間を選びやすい仕事があります。
| 仕事 | 電気工事士の資格・経験の活かし方 | 注意点 |
| 電気施工管理 | 工事の順番・品質・安全を管理する。配線の知識があると職人との話が早い | 工期前は忙しい。会社ごとの残業時間を確認する |
| ビル・施設の設備管理 | 決まった建物で電気設備の点検・小修理を担当する。第二種電気工事士が評価されやすい | 宿直・夜勤のある物件がある |
| 工場の設備保全 | 製造設備の点検・修理。電気と機械の両方の知識が活きる | 交替勤務の工場がある |
| 電気保安 | 受変電設備の点検。電験三種を目指すルート | 実務経験を重視されやすい |
出典:建設ワークス編集部(当社の求人・面談をもとに整理)
各仕事の実情は、電気施工管理はやめとけ?、ビルメンの年収は低い?で解説しています。電気工事の仕事全体のきつさは電気工事士はやめとけ?にまとめています。
なお、電気工事の職人・作業員としての転職(電気工事会社の現場作業)は、職業安定法の定めにより当社の紹介対象外です。当社では、電気施工管理・設備管理・設備保全・電気保安など、管理・技術職の求人をご紹介しています。
女性の電気工事士に関するよくある質問
女性の電気工事士に需要はありますか?
あります。電気工事士の有効求人倍率は3.84倍と人手不足が続いており(厚生労働省 job tag)、当社の打ち合わせでも、20代前半の女性の候補者を前向きに受け止めた電気設備の会社がありました(2026年10月)。ただし、女性の受け入れ体制が整っているかは会社によって違うため、職場の設備と採用実績は必ず確認してください。
50代の女性でも電気工事士になれますか?
資格は年齢を問わず取れます。ただし、50代から現場の見習いとして入ると体力面・給与面の負担が大きくなりやすく、当社の内定データでも50代以上で年収が上がった方は10名中1名でした。資格を取ったうえで、設備管理など体への負担が少ない仕事も合わせて検討するのがおすすめです。
電気工事士の仕事は、子育てと両立できますか?
会社と現場によります。始業が早く、現場が日によって変わる働き方が一般的なので、保育園の送迎などとの両立は難しい場合があります。勤務時間と現場の範囲が決まっている会社や、決まった建物で働く設備管理の仕事を選ぶと、両立しやすくなります。
未経験の女性は、まず何から始めればいいですか?
まず第二種電気工事士の学科試験の勉強から始めるのが一般的です。受験資格がないので、働きながらでも、離職中に職業訓練を使っても取れます。資格を取る前に、現場作業と管理・保守のどちらで働きたいかを考えておくと、職場選びがぶれません。
まとめ
電気工事士は女性でもなれる仕事で、第二種電気工事士の試験には性別・年齢・学歴の受験資格がありません。建設業の女性技能者は令和6年で約11万人と増えている一方、技能者全体に占める割合は約3.7%とまだ少数派で、重い資材の運搬や高所作業、女性用の設備など、職場によって働きやすさに大きな差があります。
働きやすさを左右するのは、体力より職場選びです。女性の採用実績、トイレ・更衣室の手配、教育の仕組み、勤務時間と現場の範囲を確認してください。現場作業がつらくなっても、電気の資格は電気施工管理・設備管理・設備保全・電気保安で活かせます。当社の内定データでは、転職前の年収が400万円未満の方は13名中12名が年収アップした一方、50代以上で上がった方は10名中1名でした。年代と年収、何を優先したいかを整理してから、次の働き方を選んでください。
| 年間面談数 | 約1,000件 |
| 累計支援者数 | 約3,000名(面談・キャリア相談を含む) |
| 取引建設会社 | 1,000社以上(2026年8月時点) |
| 支援領域 | 建築・電気・管工事の施工管理/設備管理/設計・積算/発注者側(施主) |