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電験3種の免除制度とは? 免除概要や免状交付の方法を解説

電気主任技術者試験(通称「電験」)は、保安規程に基づき事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する監督を行う国家資格です。

これまでは、電気主任技術者の資格を取得するためには筆記試験を受けて指定された科目全てを同時に合格する必要がありました。

しかし、制度が改正され一次検定の科目を一部合格した際、合格した科目が一定期間合格扱いとなり一次検定で再度受験することなく試験に挑むことができるようになりました。

この免除制度が導入されたことで、電気主任技術者の資格取得を目指す方にとって学習の負担を軽減する手助けになると期待されています。

本記事では、電験3種の免除制度について詳しく解説し、その仕組みや活用法について説明します。

第3種電子主任技術者(電験3種とは)

電験3種の正式名称は「電気主任技術者3種」というもので、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く)の工事、維持及び運用の保安の監督を行うことができます。

電気設備の保安監督は正確な方法で運用しないと停電が起こったり、管理している建物が原因で周囲の地域を停電させてしまう可能性もあるため専門性が求められるため電気主任技術者試験の国家試験に合格しなければいけません。

電気設備の保安監督は、電気主任技術者の独占業務であり、年齢問わずニーズが高く安定した収入が期待できる仕事です。

しかし、現在電気主任技術者の資格を所有している人が高齢化していたり、試験の日程が短期間で行われたり、試験で問われる内容が専門性が高いなどから、年々電験3種の資格保有者が減少している傾向にあります。

実際に、2000年前後と2012年〜2021年における電気主任技術者免状を取得している人は以下のようになっています。

電気主任技術者免状取得者の変化

参照データ:経済産業省「電気主任技術者制度について」

上記のグラフから分かるように、電気主任技術者(電験)の免状取得者は2012年〜2021年と2002年〜2011年で比較すると、1割(約5,000人)以上減少しています。

ですが、電気主任技術者に対する需要は年々高まっています。

第三種電気主任技術者の需要

参照データ:経済産業省「電気主任技術者制度について」

グラフに記載している、外部委託は施行を行う際の電気主任技術者を雇う時の形式でおよそ9割が外部委託という形をとっています。

外部委託を引き受ける受託者は電気保安協会がおよそ5割、管理技術協会がおよそ4割という形になっており、それぞれ50歳以上の割合が電気保安協会が55%、管理技術者が88%と全体の約55%が50歳以上になっています。

働き手の高齢化が進むと、長年電気工事に携わった方が引退するとき技術の継承ができなかったり、業務への負担が大きくなってしまうなどが懸念されています。

また、グラフに記載しているように電気主任技術者の需要は今後のIT化の進展やメンテナンスなどの増加に伴い高まっていくと考えられています。

需要は高まっていますが、電気主任技術者の人数が減少していくことが考えられるため今後はより一層電気主任技術者の人材の価値が高まっていくと考えられます。

平均しておよそ13%の合格率を推移しており筆記試験による合格が難しいことがあります。

試験合格者の平均年齢が34,2歳であること(20代が36%、30代が30%、40代が18%)となっており、社会人になってからキャリアアップを目標にしたり、就職でより高待遇な条件を目指すためなど、電気業界の基礎的な資格といえます。

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電験(電気主任技術者)は電気工事の業界で重要な資格となっていますが、以上の点から、若い世代や電気工事に興味がある人はとても重宝されています。

電験3種を取得した方が働く主な業界とは?

電験3種を取得した方が働く主な業界

電験3種は電気設備の保守・点検、電気設備の安全確保を主に行いますが、電気設備にも大規模な電力・エネルギー業界や製造業の大手工場、ビル管理・設備管理など業界が様々です。

実際、どの業界の電験3種として働くのかで扱う設備の規模感や働き方、給与面など異なります。

ここからは電験3種を取得された方が働くことが多い業界について5つご紹介していきます。

  • 製造業
  • ビル管理
  • 電力・エネルギー産業
  • インフラ・公共サービス
  • 電気設備保守・メンテナンス会社

電験3種の資格を得た際にはぜひ参考になさってください。

電験3種を取得した方が働く主な業界:製造業

製造業の電験として働く場合は、自動車や製薬会社などの工場の設備の電気系統の保守・点検業務がメインに行います。

大規模な工場などではエネルギーコストや設備の稼働率が重要になり、プラントや工場内の電力の効率化を意識した業務・改善を任されることが多いです。

電気事故や停電時で引き起こされる設備トラブルの未然防止や、ダウン後の復旧がいかに早くできるかが企業にとっても大切なポイントとなり、技術者の給与も他の業界で働く場合よりも高めに設定されることが多いです。

製造業の電験三種として働く場合、代表的企業にはパナソニックやトヨタなどがあり年収は500〜800万円前後で推移することが多いです。

電験3種を取得した方が働く主な業界:ビル管理

ビル管理の電験として働く場合は、建物内に設置された電気設備の保守・点検を担当し、定期的な設備の点検や異常がないかの確認業務をメインで行います。

オフィスビルや商業施設などの電気設備管理では、残業・夜勤が比較的少なく業務の負担が軽い特徴があります。

点検・メンテナンスでは、オフィスビルや商業施設などの照明機器の管理や定期的な受変電設備の絶縁抵抗測定や電力会社への報告を行います。

他にも電気系統に問題が発生した際

ビル内の電気設備や空調システムなどを正常に稼働させるためには、定期的な保守や法規に基づく安全管理が必要であり、これに電気主任技術者の資格が必須となります。

また、ビル内の非常用電源や防災設備などの運用においても、そうした設備を扱うためには電験3種を持っている人ではないといけない場面も多く、電験3種の保有者が重宝される業界となっています。

大規模なビルや商業施設では、特に安定的な電力供給が求められるため、資格を持った人材をおいておきたいオーナーが多いです。

電験3種を取得した方が働く主な業界:電力・エネルギー業界

小規模な発電所や変電所であれば、電気主任技術者第3種を保持している方が設備の運用や保守を行うことができます。

電験3種を取った後に目指す資格のひとつでもある、電気主任技術者第2種、第1種では、電験3種を所持しているときよりも大きな電力を有する場所でも作業できるようになるので、将来その資格を取ったときに経験がある状態から働くことが出来るのため、とてもいい職場になると思います。そのような意味でもこの業界は重要な役割を得ていると思います。

電験3種を取得した方が働く主な業界:インフラ事業・公共サービス

鉄道や上下水道施設など、大規模なインフラ設備の電気管理においても、この資格を持つ技術者が必要です。

公共施設では、電力の安定供給とともに、災害時のバックアップ電源や緊急対応が求められるため、電験3種の取得者が求められています。

特に地方自治体や公共機関では、設備の維持管理に電気主任技術者を雇用することが法的に定められている場合も多く、この分野でも資格者の需要は高いです。

電験3種を取得した方が働く主な業界:電気設備の保守・メンテナンス会社

 電気設備の保守を専門とする企業でも、電験3種の資格保持者は不可欠です。

これらの企業は、顧客の施設の電気設備を定期的に点検・保守し、事故やトラブルを防ぐ役割を担っています。

電気設備の不具合が発生した際の迅速な対応や、改修工事の提案・管理も電気主任技術者の仕事の一部です。

このため、電験3種を取得することで、メンテナンス業界でキャリアアップや安定した職務を得ることが可能です。

電験3種の試験科目・内容

以下の4つが免除を受けずに筆記の試験を受けるときの科目になります。

それぞれの科目に特徴があり、必要な知識が異なります。

また、筆記試験を免除して電験三種を取得しようとしている方も、この科目はしっかりとした知識がないと単位を取ることが難しいです。

電験3種の試験科目・内容:理論

電気理論、電子理論、電気計測および電子計測

「理論」は、電験3種試験の中でも最も基礎的な科目であり、高校でも習ったような電気回路や電磁気学、電子回路などの基礎知識が問われます。この科目では、オームの法則やキルヒホッフの法則、電気回路の解析、トランジスタやダイオードといった電子部品の基本動作を理解することが求められます。

電力:発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料

「電力」では、発電や送電に関する知識が試されます。具体的には、火力発電や原子力発電、水力発電の原理、変圧器の設計と機能、送電線や配電システムの仕組みについて問われます。発電所や変電所での設備運用や安全管理に必要な知識が求められるため、実務でも重要な科目です。

電力:発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料

「機械」は、発電機や電動機(モーター)などの機械装置に関する知識を扱います。試験では、これらの機械の動作原理や制御方法、保守管理についての理解が問われます。さらに、変圧器や電気機器の冷却システムなど、機械工学的な側面も含まれるため、工場や発電所での設備運用に密接に関わる科目です。

法規:電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理

「法規」は、電気事業法や電気工事法といった電気に関する法律や、安全基準の遵守に関する問題を取り扱います。電気主任技術者は法律に基づいて電気設備の管理を行うため、法規の知識は実務でも非常に重要です。

また、停電や故障時の対応方法、設備の設置や運転時の安全規則についても理解する必要があります。

電験三種の一次科目免除を受けるまでの流れ

まずは資格取得までのプロセスについて書いていきます。

電験三種の免除を受けるまでの流れ

参照:ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター 「第三種電気主任技術者の資格取得フロー」

今回はフローチャートの右側にある「学歴と実務経験による資格の取得希望者」のルートについて詳しく書いていきます。

試験による資格の取得が免除されるようになるためには、特定の大学や高等専門学校を卒業し、実務経験を積むことで得られます。

 

以下に電気主任技術者認定校一覧を載せておきます。
ご自身の出身校や在学中の学校が当てはまっているかどうか確認してみてください。

経済産業省:電気主任技術者認定校一覧の確認ページ

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これらの教育機関で特定の単位を取得することで、試験科目である理論、電力、機械、法規をそれぞれ免除されるようになります。

認定校の在学中に全ての単位が取れない場合はどうなる?

認定校に在籍していたけど、在学中に資格の免除を受けるために必要な科目を全て取得できなかった人もいらっしゃると思います。

在学期間に全ての資格を取得できなかった場合でも、すでに取得している科目に関しては免除を受けることができるため足りない単位の科目を筆記で受験して合格を目指すようにしましょう。

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認定校の在学中にしていたけど、免除を受けるために必要な科目をすべて取得することができなかった場合、以下の二つの方法で電験三種の取得に取り組むことができます。

認定校に在籍していたけど全ての単位が取れなかった方が免除を受けるまでの方法

  1. 既に取れている単位分の科目を免除し、足りない科目のみを筆記で受験して科目合格を目指す
  2. 科目等履修制度による単位取得
1つ目の既に取れている単位分の科目を免除し、足りない単位の科目のみを筆記で受験して科目合格を目指す方法は、例えば法規分野の試験を免除するための単位をすべて取りきることが出来なかった時、筆記試験で法規分野を受けて合格することで電験三種の免除を受けることが出来ます。
この場合、筆記試験に合格した科目がありますが、電験三種の資格を取得するためには実務経験を積む必要があります。

2つ目の科目等履修生制度による単位取得 以下の場合に限り、科目等履修生制度により不足単位を取得することができる方法は当制度により不足単位を取得した場合、その単位を取得する以前の経験年数は2分の1として計算し ます。 

  1. 不足単位の補完ができる学校は卒業した学校に限る。
  2. 科目履修生制度により取得できる単位は、卒業後3年以内に取得したものに限る。  

その後、無事資格取得できたら実務経験を積むことになります。

実務経験に要する時間は電気事業法の規定に基づく主任技術者の資格等に関する省令に基づいて計算され、認定校によって異なり、次のようになっております。

免状種別 区分 必要な実務経験年数
第一種 認定校卒業(大学) 5年
  第2種免状取得者 5年
第二種 認定校卒業(大学) 3年
  認定校卒業(短大または高専) 5年
  第3種免状取得者 5年
第三種 認定校卒業(大学) 1年
  認定校卒業(短大または高専) 2年
  認定校卒業(高校) 3年

以上の実務経験年数を満たしたら、最後に経済産業大臣に免状交付申請を行います。
申請に必要なのは次の6つです。

  • 主任技術者免状交付申請書(6,600円分の収入印紙付)
  • 認定校の卒業証明書
  • 戸籍抄本又は住民票(本籍の記載のあるもの)等
  • 免状送付用宛先用紙 
  • 単位取得証明書(以下例)
  • 実務経歴証明書(経済産業省が挙げている様式のもの)
主任技術者免状交付申請書(6,600円分の収入印紙付)

主任技術者免状交付申請書(6,600円分の収入印紙)

 

指定校の卒業証明書
戸籍抄本又は住民票(本籍記載のあるもの)等
免状送付用宛先用紙
単位取得証明書(以下例)

単位取得証明書は、在籍していた学校に依頼し印刷することができます。

  • 入学及び卒業年月日
  • 編入学の場合は編入年次
  • 履修した科目ごとの単位数(科目名は修得当時の名称「授業内容も記載すること。」)
  • 卒業した当時と現在の学校名が異なる場合は旧学校名が記載されている文書を開封せずに送る

単位取得証明書

実務経歴証明書(経済産業省が挙げている洋式のもの)

実務経歴証明書

実務経歴証明書が2枚以上にわたる時は、用紙相互間に証明人の割印をする必要があります。

さらに、組織図や工事工程表も記載する必要があるため、各地域にある産業安保監督部電力安全課に提出した上で、審査を受け無事承認をもらえると資格取得となります。

組織図 実務経歴証明書の役職名及びその従事期間と組織図が一致するように記入し申請者自身が組織図の中でどのような立場で主にどのような業務に従事したかがわかるように記載。
関東東北産業保安監督部(東北支部を除く)では、電気主任技術者免状交付申請の受付業務を予約制としているため、事前に電話等により日時を予約していくようにしましょう。
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また、免状交付申請書類のチェックリストを確認して不足している書類がないか、内容に間違いがないか確認しておきましょう。

画像引用:経済産業省「電気主任技術者の交付申請に必要な書類の作り方」

電験三種の資格を一部免除して取得するメリット

電験三種は一次検定の科目に合格することで資格を一部免除できるといった負担が軽減するメリットの他にも、認定校を卒業している場合は実務経験を積むこと・審査を受けることで資格を取得できます。

筆記試験の負担軽減

筆記試験は法規以外の3科目がそれぞれ90分、法規が65分の計335時間(5時間35分)もの時間試験が行われます。

そうした長時間の試験に合格するために地道な勉強が欠かせないだけでなく当日も体力的な

→筆記試験を受けることで生じる精神的負担を減らせると思います。また、電験三種を取得した後も、実務経験を積むことで電験二種、一種という上位の資格にチャレンジすることもできます。(筆記で電験三種を取った方も可能)

認定校を卒業している場合、実務経験を積み・審査を受けることで資格を取得できる

認定校を既に卒業されている方の場合は実務経験+審査のみで免状を取得することができるので、身構える必要なく取り組むことができます。

さらに、認定校を既に卒業し電験三種で必要になる単位も既にある方にとって気軽に免状を取得できることがメリットになります。

電験三種の資格を一部免除して取得するデメリット

必ず取得できるとは限らない

電験三種の免除制度で、認定校を卒業されている方の場合は実務経験と審査で資格を取得できるかが関わってきます。実務経験の項目を満たしている場合でも審査に通らないと電験三種の資格を取得することはできません。

知識を忘れてしまっている可能性もある

免除された科目に関して多くの方が復習が疎かになってしまうことが多く、全体的な理解バランスが崩れてしまう可能性があります。

電験三種は科目間の関連性が高く、他の科目で得た知識が結びついて学習の理解を助けることもあります。
電験三種の免除制度で認定校で単位を取得することでの免除では、免除を受けられる科目に関してはしばらく触れなくなることが多くなり全ての科目を筆記で受ける人よりも長期的に勉強する必要が生じることもあります。
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一次検定には合格したけど二次検定で合格できないといったことにもなり得るので、免除制度は短期的な負担軽減が期待されますが、全体的な知識の維持・保有を考えた長期的な戦略も意識しておきましょう。

まとめ

験三種の筆記試験を免除して受かるためには認定校で特定の単位を取得して卒業後に実務経験を積むことが必要になります。

この方法は既に実務経験を積まれている方や認定校に在学中の方にはとても有効な取得方法だと思います。このサイトに書類提出の際に必要な情報が書いてあるのでぜひ有効活用してください。

また、免除を受けた場合でも継続的な学習が必要になる職業であり、一度の審査では受からない可能性もあります。今自分がどのような状況にあるのかを理解してうまく制度を利用していただければと思います。