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建設コンサルタントはやめとけ?離職理由と将来性をデータで検証

「建設コンサルタントはやめとけ」と言われる理由は、突き詰めると3つです。長時間労働、年度末に集中する繁忙、そして発注者とゼネコンの板挟み。

この記事では、その3つが2026年時点でどうなっているかを、国土交通省・厚生労働省・日本技術士会などの公表データで検証します。結論を先に言うと、長時間労働は業界全体で明確に改善しています。一方、年度末の繁忙と責任の重さは構造的な問題で、当面なくなりません。

そのうえで、この仕事を続けるべきか、環境を変えるべきか、別の職種へ移るべきか。判断の材料になる情報を整理します。

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「やめとけ」と言われる3つの理由を、データで確認する

①長時間労働 ── 改善しています

日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)の「2025時短アンケート」(2025年11月実施、回答18,134人)によると、月間の所定外労働時間は29.2時間。前年の31.5時間から減り、同調査で初めて20時間台に入りました。

項目 2025年調査
月間所定外労働時間 29.2時間(前年31.5時間)
4週8閉所率(土木) 88.0%
4週8閉所率(建築) 81.6%
フレックス・スライド勤務の利用率 全体54.1%(内勤62.8%)
「定年まで働きたい」 77.2%

出典:日本建設産業職員労働組合協議会「2025時短アンケート」(2026年5月結果公表)

よくある誤解:「建設業の時間外労働の上限規制は2024年4月から」という説明を見かけますが、建設コンサルタント業はこの猶予措置の対象外です。建設コンサルタントは建設業ではなく技術サービス業に分類されるため、一般則が2019年(中小企業は2020年)から適用済みです。つまり残業規制はすでに7年前から効いています。

②年度末の繁忙 ── 構造的に残ります

公共事業は年度予算で動きます。年度を跨がずに成果品を納めるため、1〜3月に業務が集中する。これは発注のしくみに由来するので、個社の努力では消えません。

ただし国土交通省は債務負担行為の活用による「発注の平準化」を進めており、以前より緩和の方向にはあります。転職を検討する際は、応募先が年度末にどれだけ業務が偏っているかを、選考の場で必ず確認してください。会社によって差が出る部分です。

③責任の重さと板挟み ── 構造的に残ります

建設コンサルタントは計画・調査・設計・管理を担い、発注者(官公庁)と施工者(ゼネコン)の間に立ちます。社会インフラを扱う以上、成果品の誤りが人命に関わる。この重さは仕事の性質そのものなので、なくなりません。

裏を返せば、この重さに見合う専門性と待遇が用意されている職種でもあります。次章以降で数字を見ていきます。

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「やめとけ」と言われる理由の多くは、業界の問題ではなく会社の問題です。建設ワークスは建設・設備分野に特化し、労働時間や年度末の偏りまで確認したうえで求人をご提案しています。

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建設コンサルタントの将来性【2026年時点】

建設投資は増加が続いている

区分 令和7年度(2025年度) 前年度比
建設投資 計 75兆5,700億円 +3.2%
政府投資 25兆2,100億円 +0.7%
民間投資 50兆3,600億円 +4.5%
うち民間非住宅 20兆9,500億円 +8.7%

出典:国土交通省「令和7年度(2025年度)建設投資見通し」(2025年8月29日公表)。執筆時点で令和8年度版は未公表です。

民間推計では、一般財団法人建設経済研究所が2026年度の建設投資を83兆2,600億円(前年度比+6.3%)と見込んでいます(2026年7月27日公表)。市場が縮小に向かっているという事実は、公表データからは確認できません。

ただし、建設コンサルタント業の契約金額は直近で減っています

国土交通省「建設関連業等の動態調査」によれば、建設コンサルタント業の契約金額は令和8年(2026年)6月で833億円、対前年同月比▲5.9%。4〜6月累計も▲5.9%でした。建設投資全体は増えていますが、コンサルタント業の受注は直近でマイナス圏です。

出典:国土交通省「建設関連業等の動態調査結果(令和8年6月分)」(令和8年7月31日公表)。抽出調査(建設コンサルタント50社)であり、月次の振れが大きい点に留意してください。

短期の受注は上下します。判断材料として重いのは、次の2つの中長期要因です。

インフラの老朽化は確実に進む

施設 2023年3月 2030年3月 2040年3月
道路橋(約73万橋) 約37% 約54% 約75%
トンネル(約1.1万本) 約25% 約35% 約52%
河川管理施設(約1万施設) 約22% 約42% 約65%
港湾岸壁(約5千施設) 約27% 約44% 約68%
下水道管渠(約49万km) 約7% 約16% 約34%

出典:国土交通省「社会資本の老朽化の現状と将来」。建設後50年以上経過する施設の割合。

2040年には道路橋の4分の3が建設後50年を超えます。点検・診断・補修設計は建設コンサルタントの領域です。この需要は景気に左右されません。

国土強靱化に5年間で20兆円強

令和7年6月6日に閣議決定された第1次国土強靱化実施中期計画は、令和8年度(2026年度)から令和12年度までの5年間でおおむね20兆円強程度の事業規模を目途としています。

出典:内閣官房「第1次国土強靱化実施中期計画」(令和7年6月6日閣議決定)

計画期間の初年度が2026年度です。計画・調査・設計という前工程を担う建設コンサルタントには、施工より先に需要が来ます。

大阪・関西万博の反動減について

大阪・関西万博は2025年10月13日に閉幕しました。「万博が終われば需要が落ちる」という説明は以前からありましたが、閉幕後に公表された建設投資見通しにも、建設経済研究所の推計にも、万博の反動減に言及した記述は見当たりません。全国ベースの建設投資はむしろ増加見通しです。

人手不足の実態 ── 有効求人倍率は9倍を超えています

職種 年収 平均年齢 有効求人倍率
土木設計技術者 625万円 46.0歳 9.87倍
測量士 543.1万円 46.1歳 4.29倍

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「job tag」。年収・平均年齢は令和7年賃金構造基本統計調査を加工して作成、有効求人倍率は令和7年度ハローワーク求人統計。

job tag に「建設コンサルタント」という職業区分はありません。上記は最も近い「土木設計技術者」の数値です。「建設コンサルタントの平均年収は◯◯万円」と資格・職種を断定している情報には注意してください。

年収の内訳や、ゼネコンの施工管理と比べたときの違いは建設コンサルタントの仕事内容と年収を解説した記事で扱っています。自分が向いているタイプかどうかは建設コンサルタントに向いている人の特徴をご覧ください。

有効求人倍率9.87倍は、求職者1人に対して約10件の求人がある状態です。人手不足は働く側にとって負荷である一方、転職市場では圧倒的な売り手市場を意味します。

資格の希少性が、人手不足を裏づけています

資格 受験者数 合格者数 合格率
技術士 第二次試験・建設部門(令和7年度) 14,094人 1,304人 9.3%
技術士 第二次試験・全21部門計(令和7年度) 24,135人 2,752人 11.4%
RCCM(2024年度) 5,492人 1,740人 31.7%

出典:公益社団法人日本技術士会「令和7年度技術士第二次試験統計」、一般社団法人建設コンサルタンツ協会「年報2025」。RCCMの2025年度実績は執筆時点で未確認です。

技術士(建設部門)の合格率は9.3%。RCCMも2021年度の47.1%から2024年度は31.7%まで下がっています。有資格者が増えにくい構造が、人手不足を長期化させています。

「やめとけ」と言われる仕事に、それでも人が残る理由

日建協の調査で「定年まで働きたい」と答えた人は77.2%。そのうち53.4%が理由として「仕事の魅力」を挙げています。

成果が形として街に残る。橋、道路、河川、上下水道。自分が計画・設計に関わったものが数十年使われる
生活基盤への貢献度が高い。災害時に機能するインフラは、平時の設計で決まる
専門性が年齢とともに価値になる。平均年齢46歳という数字は裏返せば、経験が評価される職種だということ
技術が陳腐化しにくい。i-Construction 2.0でICT・AI活用は進んでいますが、条件が一つとして同じでない現場を読み解く判断は、当面自動化されません

辞める前に確認したい3つのこと

キャリア相談を受けていて感じるのは、「建設コンサルタントが嫌」なのではなく「いまの会社のやり方が嫌」というケースが多いことです。辞める判断の前に、次の3点を切り分けてください。

1. 業界の問題か、会社の問題か

月間所定外29.2時間が業界平均です。自分の残業時間がこれを大きく上回っているなら、それは業界ではなく会社の問題です。同業他社への転職で解決する可能性があります。

2. 職種の問題か、担当領域の問題か

同じ建設コンサルタントでも、道路・河川・上下水道・港湾・都市計画で仕事の質はまったく違います。発注者支援業務(CM/PM)に軸足を移す道もあります。職種ごと変える前に、領域を変える選択肢を検討してください。

3. 資格をどこまで取るか決めているか

技術士(建設部門)の合格率は9.3%。持っている人が圧倒的に少ないため、取得できれば市場での立ち位置が変わります。いまの職場で受験に必要な実務経験を積めるかどうかは、残るか出るかの判断材料になります。

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よくある質問

建設コンサルタントの仕事は、いつかなくなりますか?

公表データから見る限り、なくなる兆候はありません。建設投資は令和7年度75兆5,700億円で前年度比+3.2%、2040年には道路橋の約75%が建設後50年を超えます。国土強靱化実施中期計画も令和8年度から5年間でおおむね20兆円強の規模です。ただし短期の受注は上下し、令和8年6月の建設コンサルタント業の契約金額は前年同月比▲5.9%でした。

AIで建設コンサルタントの仕事は代替されますか?

一部は代替されます。国土交通省のi-Construction 2.0では、AIを使った海底3次元測量のノイズ除去処理が約1週間から約1時間に短縮された事例が報告されています。一方で、現場条件・地元調整・発注者の意向を読み解いて判断する部分は残ります。作業は減り、判断の比重が上がると考えるのが現実的です。

残業はどのくらいですか?

日建協の2025年調査では月間所定外労働時間の平均が29.2時間です。ただし年度末(1〜3月)に業務が集中する構造があるため、年間を通して均等ではありません。

建設コンサルタントに時間外労働の上限規制は適用されていますか?

適用されています。建設コンサルタント業は技術サービス業に分類され、建設業に認められた5年間の猶予措置の対象外です。一般則が2019年(中小企業は2020年)から適用されています。

未経験から建設コンサルタントになれますか?

なれますが、土木・建築系の学歴か、施工管理などの実務経験があると入りやすくなります。土木設計技術者の有効求人倍率は9.87倍で、採用の門戸は広い状況です。

まとめ

・「やめとけ」と言われる理由は長時間労働・年度末の繁忙・責任の重さの3つ
・このうち長時間労働は改善している。月間所定外は29.2時間で、調査史上初めて20時間台に入った
建設コンサルタントに上限規制の猶予はない。2019年(中小は2020年)から一般則が適用済み
・年度末の繁忙と責任の重さは構造的に残る。ただし年度末の偏り方は会社によって差がある
・建設投資は令和7年度75兆5,700億円(+3.2%)。市場の縮小は公表データから確認できない
・ただし建設コンサルタント業の契約金額は令和8年6月で前年同月比▲5.9%。短期の受注は振れる
・2040年には道路橋の約75%が建設後50年超。点検・診断・補修設計の需要は景気に左右されない
・土木設計技術者の有効求人倍率は9.87倍。技術士(建設部門)の合格率は9.3%
・日建協調査で77.2%が「定年まで働きたい」と回答している

「やめとけ」と言われる理由の多くは、業界の問題ではなく会社の問題です。辞める判断をする前に、業界か会社か、職種か担当領域か、そこだけは切り分けておく価値があります。

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この記事の監修者
松井 和也(まつい かずや)
建設ワークス 事業責任者
建設業界に特化した人材紹介サービス「建設ワークス」の事業責任者。1,000社以上の建設会社の求人と日々向き合い、施工管理・設計・設備管理の転職相談を数多く受けている。「辞めたい」という相談の背景が業界の構造にあるのか個社の問題にあるのかを、日々の面談を通して見分けている。
建設ワークスの支援実績
年間面談数 約1,000件
累計支援者数 約3,000名(面談・キャリア相談を含む)
取引建設会社 1,000社以上(2026年8月時点)
支援領域 建築・電気・管工事の施工管理/設備管理/設計・積算/発注者側(施主)
厚生労働大臣 有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-315819