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女性だと施工管理はきつい?施工管理としての働き方や向いている人とは

建設業界は長らく男性が中心となって活躍してきた分野の一つであり、施工管理という職種において男性が中心となって活動している傾向が見受けられます。

近年さまざまな多様化に伴い、建設業界で働く女子会の割合が増え、活躍の場を広げています。

さらに、おしゃれな作業着も多く販売されるようになり若者が建設業界に対する興味を持つ割合も増加しています。

ですが、実際に建設業界と聞くと重たい材料を運んだり夏場は気温が高い中作業を行う必要があるなど大変なイメージがあるはずです。

そこで本記事では、実際の女性が施工管理としてきつくないのか?女性で施工管理として働く現場の悩みやメリットについて紹介していきます。

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また、女性でも施工管理として働けるのか、施工管理の業務内容・働き方を知りたい方はぜひ最後までご覧ください。

女性も施工管理として働けるのか?

男性が多く勤務しているイメージがある施工管理ですが、女性でも働くことが可能です。

総務省の男女共同参画白書によると、全産業で女性労働者が占める割合が45%であるのに対し、建設業界は18%となっており、男性の従業員の割合が多い業界です。(非正規雇用も含む)

ですが、2010年から徐々に増加傾向にあり14.1%から2020年では16.6%と増加しています。

大手建設会社である大東建託は2028年までに女性の施工管理者を全体の5%(現在は1.8%)にすることを目指しており、より女性が活躍できるような雇用を推進しています。

こうした背景から、近年では女性施工管理士の数も増えてきており、現場でのコミュニケーションや品質管理において独自の視点や感覚を生かして活躍しています。

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女性でも施工管理士としてのキャリアを歩むのが珍しくない社会へと変わりつつあります。

参考:「 男女共同参画局」I-特-8表 産業別雇用者の雇用形態別割合(令和2(2020)年)
参考:「日本建設業連合会」 建設業ハンドブック2021

施工管理の仕事内容とは?

施工管理士とは、建設工事や土木工事などにおける工程管理や品質管理、原価管理、安全管理を担当し現場全体の流れをスムーズに進める役割を担っています。

工程管理、品質管理、原価管理、安全管理を総称して4大管理と呼びます。
以下ではそのような施工管理の仕事内容について説明します。

工程管理

工程管理は、建設プロジェクトのスタッフ配置や作業の手続きを整理し、指定された期限までに工事を順調に進めるための取り組みです。

建築現場においては、不順な天気や機器の遅れなどの予期せぬ問題が日常的に発生します。

工程管理が不十分な場合、納期までの完了が困難となり、顧客に不利益をもたらすリスクが高まります。

施工管理士は、生産工程の流れを図示した工程図を用いながら、各タスクやその後のスケジュールを明確に把握します。

こうしたアプローチにより、業務の進行が一目瞭然となり、進行状況の確認がより容易になります。

工程管理の目的は、各タスクのプランニング、調整、モニタリングを行い、PDCAサイクルを効果的に回し、目標を確実に果たすことにあります。

品質管理

品質管理とは、建築士によって策定された図面が実際の建設に忠実に反映されているかを検証する活動のことを指します。

図面は顧客の要望に基づいて描かれるもののため、施工管理側で独断で変更を加えることは許されません。

検証の対象は、顧客の期待を正確に反映しているか、法的な基準を遵守しているか、さらに使用される資材が図面に示されたものと一致しているかなどが含まれます。

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施工管理の中でも一度完成すると手を戻すことが難しい建設工事では、他の工事に比べより入念な確認が求められます。

品質管理の中では、注文通りの適切な工法で工事が行われているかを確認するため、工事の進行中に写真を撮影して記録することが不可欠です。

作業が進むと、一部の過程は後から見ることが困難となるため、その都度の進捗を写真でキャッチすることは重要となります。

品質管理は、完成したプロジェクトが図面どおりに、そして安全性を備えて仕上がっていることを担保するための欠かせないステップです。

原価管理

原価管理は、企業が利益を維持・確保するための取り組みであり、材料のコスト、人件費、外部業者への支払いなどの中で不要な出費を削減する活動となります。

一番の目的は、コストを最小限にしつつ高品質な建設物を提供することです。

コストが予定より増加した場合では、資材・サービスを提供するサプライヤーや自社との交渉を通じてバランスを取り戻します。

原価管理で特に重要なことは利用可能な資源を最善に用い、予算内での運用、透明性の実現、そして効果的な資材調達を通じて、プロジェクト全体のメリットを増大させることにあります。

安全管理

安全管理は、現場作業員の安全確保を目的としています。

建設現場では高所作業に伴うリスクや落下物の危険が存在し、時には命を奪われる事故が発生することもあります。

施工管理者として、これらの危険を予防し、安全に作業できる環境を提供するための数々の策を施します。

施工管理者として行う安全対策には次のようなものがあります。

  • 転落を防ぐ手段:適切なバリケードの設置、安全ベルトの活用など
  • 落下物の危険を低減する方法:使用する道具や材料の確実な固定、ヘルメットの義務化など
  • 天気に関連したリスクへの備え:風の強さを常に確認、雷や悪天候時の作業の中断など。

安全管理は、施工管理者の倫理的な立場と高度な責任感が必要とされる領域です。

プロジェクトに関与するすべての人が安全に仕事を進められ全員が怪我なくプロジェクトを終えることが使命です。

女性の施工管理がきついこと

施工管理は男性の割合が高いこともあり、女性が現場で働くときに不自由さを感じることもあります。ここでは女性が施工管理として働くうえできついことについて説明します。

女性のせこかんがきつい理由

体力を消費する

現場では安全確保のため夏場でも長袖長ズボンの作業着を着て作業を行います。

日差しが強い日の場合だと体温も上昇した状態のまま作業を行うため体力を消耗します。

冬場では寒さ対策のためのインナーにより通気性が損なわれたり、動きやすさのため薄手の手袋にするなど体温が逃げてしまうことが多々あります。

建設現場では階段での移動が多く、リラックスして休めるような休憩所も多くないため疲れが蓄積しやすい環境でもあります。

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男性と女性では体の構造が異なり、成人男性でも疲れを感じやすいことから女性の方で体力的負担を感じる方も多いです。

トイレの問題

これまでの建設現場では和式非水洗が主流となっており、ニオイや不衛生さが気になる環境でした。

加え、建設現場によっては女性専用トイレがなく男性と共用の現場になっているところも多く、場合によっては外に出て用を足す必要がある現場もあります。

近年では、男女共に働きやすい現場にするべく、におい逆流防止機能やしっかりとした施錠機能が付いたトイレの導入が進められており、女性も安心して用を足せる環境が増えてきています。

参考:国土交通省 「建設現場「快適トイレ」の取組」

服装や髪型の問題

現場では動きやすさや安全性を考慮して作業着+ヘルメットの着用が基本です。
服装・格好は男性・女性問わず一般的に変わりません。

ヘルメットを長時間着用することで雑菌が繁殖したり、摩擦によって髪型が崩れてしまいます。

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動きやすさや衛生面から髪を短くしている方も多いです。

服装や髪型にこだわりがある場合は少し不自由さを感じてしまうでしょう。

 

ワークライフバランスの実現が難しい

施工管理の労働時間は長いことが多いです。

朝は朝礼や安全確認のため8時前に出勤し、夜は事務所での作業があるため退勤時刻が18時以降になることが多いです。
そのため、平日は仕事が中心になってしまいプライベートの時間がとりにくいです。

残業はせずに、プライベートを充実させたい人にはあまり向いていないでしょう。

女性だからこそ施工管理になるメリット

女性が施工管理になるメリット

ここまで、女性が施工管理で働くうえできついことについて述べましたが、
女性が施工管理の役職に就くことには、意外なメリットが数多く存在します。

女性特有の感受性やコミュニケーション能力、細やかな注意力などが、プロジェクトの質や進行を向上させる要因として活かされるのです。

以下では、女性が施工管理で活かせる側面について説明します。

細かな気配りを活かせる

女性は、細かい部分への気配りや、緻密な計画性が求められる場面でその能力を発揮します。

施工管理の仕事は細かい部分に配慮することがとても重要です。

安全管理では、現場に危険がないか確認し作業員が安心して働ける仕組みを作ること、
原価管理では無駄な支出や無駄に工数がかかってしまってないかを細かく見る必要があります。

それに加えて作業員や他業者へのフォローなども欠かせません。

そのようなときに女性の細やかな気配りは大きな差を生むことが多いです。
男性だけでは雑になりそうなところにも配慮して行動ができます。

女性ならではの共感性が活かせる

クライアントや作業員との円滑なコミュニケーションは、プロジェクトの成功の鍵です。

現場では当初想定していた工期通りに進むことはなく、途中で人材が変わることや資材の搬入が遅れることなどが日常茶飯事です。
変更が多いことでステークホルダーから、反発されるケースも多くあります。

ここで、女性の持つ高い共感性は、具体的な対策や説明を行う際の信頼を得やすくします。
相手の話をしっかりと聞き、女性施工管理士が柔軟に対応することで作業の円滑化が期待できるでしょう。

多様なキャリアを築ける

施工管理の分野は、住宅、商業施設、橋梁など多岐にわたるプロジェクトを手がける機会があります。これによって、多様な技術や管理方法、現場の対応スキルなどを学ぶことができます。

経験を積み重ね、資格を取得する事で、監理技術者や主任技術者と言った、施工管理職における現場責任者の立ち位置であったり、本部の管理職への昇進の道が開かれます。

また転職をするとしても、同業界はもちろん他業界にも進みやすいです。
施工管理業務で培われる高いコミュニケーション能力や、マネジメント能力は評価されやすいからです。

施工管理士の業務は求められる専門性や責任感が高い分、市場価値がとても上がりやすい仕事です。
また、女性の割合が少ないため、女性×施工管理だと市場でも希少な人材として評価されやすいです。

異なる視点を持つことができる

男性主体の建設現場において、女性施工管理士は異なる視点や感性を持ち込むことができます。

例えば、公共施設や商業施設のトイレのデザインや配置について、女性の目線での意見やフィードバックは非常に価値が高いです。また、子育て経験がある場合は母親としての経験を活かし、公園の遊具の安全性や子どもが遊びやすいデザインの提案もできます。

このように、女性ならではの視点は、建物の利用者の多様なニーズに応え、より良い建築物や空間を創出するための新しい提案やアイデアをもたらす可能性があります。

施工管理士に向いている女性の特徴

施工管理士の職は、専門知識とスキルだけでなく、特定の性格や特徴が求められる場面も多くあります。ここでは施工管理士に向いている女性の特徴について説明します。

 

施工管理に向いている女性の特徴
施工管理に向いている女性の特徴

自分の考えをはっきりと伝えられる

建設現場では、多岐にわたる専門家や業者との意思疎通が求められます。

例として、安全管理上の注意点を発見した際、それを明確に伝える能力は非常に重要です。
仮に、現場で危険な作業状態を確認した時、そのリスクや問題点を速やかに関係者に伝え、適切な対策を取らせることができるかどうかです。

また、発注元から無茶なお願いをされた時に一方的に主張をされすぎないように、現場側のリアルな状況を伝え無理なモノははっきりと無理だと伝えることが重要です。

このように、物事をはっきりと伝えられ適切な対処を行える人には適職です。

体力がある

施工管理士の業務はオフィスワークだけでなく、実際の現場での立ち会いや確認作業が多いです。

日によっては現場とオフィスを行ったり来たりすることもあります。

特に大規模な工事現場では、数キロメートルの敷地を歩き回ることも珍しくありません。
このような状況で、体力のある女性は長時間、効率的に業務をこなすことができます。

動くことが好きな人は楽しく、過ごせそうです。

コミュニケーション能力が高い

施工管理士は多岐にわたるステークホルダーとの連携が必要とされます。
発注元、作業員(職人)、外部業者、地域住民などが想定できます。

現場では年上の職人に対して作業工程の指示を行うことが多くあります。
そのため、年上の人にも物事をはっきりと分かりやすく伝える必要があります。

物事をはっきり伝える一方で、職人に対してリスペクトをもって接し信頼してもらうことが重要です。コミュニケーションを無碍にしてしまうと、現場全体のモチベーションが低下し、チームワークが崩れてしまいます。

そのため、丁寧なコミュニケーションを取れる人は必要です。

建築に対しての関心が深い

どこの業界でも共通ですが、自分が取り組んでいる仕事に興味がないと
高いアウトプットは出しにくいです。

建設業界では、新しい建築素材や技術が出てきた際、ただそれを知識として取り入れるだけでなく、それが現場での作業にどのように活かせるのか、どんなメリットやデメリットがあるのかを考える姿勢は重要です。

また建設業界は変化が激しい仕事であるため、法律や規制、市場動向などをキャッチアップしていないと遅れをとってしまいます。

建築に対する熱意と好奇心は、施工管理士としての専門性を高めるだけでなく、日々の業務においても更なるやりがいや達成感を得るための原動力となります。

施工管理士の働き方について

ここからは施工管理士の働き方について説明します。
以下で実際に働くイメージを上げていただけると幸いです。

年収について

厚労省の統計によると、建築施工管理技術者の場合620.4万で土木施工管理技術者の場合は573.2万円です。日本の平均年収が443万円であることを考慮すれば、高収入といえます。またハローワーク求人統計金額を見ると、求人賃金が31.9万円と他業種より高額です。

また年収の推移は年功序列型に推移していて、59歳〜60歳の時に最高年収に到達するようです。建設業界は専門的な技術が重視され、経験年数が上がれば上がるほど取り扱えるプロジェクトも幅広くなるため賃金が上がります。

参考:職業情報提供サイト jobtag 建設施工管理技術者

残業について

施工管理の役割は、日が昇るころから沈むまで、オフィスと現場の間を行き来する多忙な仕事として知られています。

月間の通常の残業は、40時間から50時間程度とされ、容易い仕事とは言えません。日本建設業連合会の統計によれば、他の業種での労働時間平均が1783時間である中、建設業では2102時間と、他の産業と比較して300時間以上長く働いていることが示されています。

参考: 日本建設連合会 「建設業の週休二日を実現します」

未経験でも働けるか?

施工管理の仕事は容易ではないものの、経験がない方もこの業界でのスタートが可能です。

その背景には、建設業界が継続的な人手不足に直面していることがあります。1997年には約685万人の就業者がいた建設業ですが、その数は今や約485万人へと大幅に減少しています。特に60歳以上の労働者が全体の25%以上を占めるという高齢化の傾向が強まっています。しかしその一方で、建設需要は減少していないのです。都市部の大型リニューアルや交通インフラの改善など、さまざまなプロジェクトが継続的に進行中です。

この状況から、多くの建設会社が未経験者でも積極的に採用する動きを見せています。

施工管理アシスタントという選択肢

興味はあるが、女性で施工管理士として働くのは少しきついと感じた方も中にはいらっしゃるでしょう。

そんな方には「施工管理アシスタント」がおすすめです。

施工管理アシスタントとは、施工管理士のサポートを行う仕事のことです。事務作業を中心として、施工図や行政への提出書類などを作成します。また、資材の発注や安全管理のサポートも行います。

施工管理アシスタントは、施工管理者のもとで経験を積むことで、将来的に施工管理者としてのスキルや知識を身につけることが期待される職種です。
未経験から施工管理の世界に足を踏み入れたい人にとって、この職種は一つの入り口として適しているため選択肢に入れてもよいでしょう。

まとめ

この記事では女性が施工管理になる場合の働き方や課題感を中心に説明を行いました。

施工管理の仕事は、男性が中心となってこの役割を果たしてきましたが、最近では女性の挑戦も増えています。

女性の細やかな気配りや共感性を活かした施工管理、さらには異なる視点からのアプローチなど、女性ならではのメリットも多々存在します。女性が施工管理士として成功するためのキーポイントは、明確なコミュニケーション、体力、深い建築への関心などが挙げられます。