施工管理技士としてキャリアを形成する上で、資格の取得はキャリアの選択肢を広げる上で非常に重要な通過点になります。
多くの建設会社は社員に資格の取得を推奨し、施工管理技士としてのスキルアップを望んでいます。
この記事では、施工管理の仕事内容や、資格の種類、資格を取るメリット、取得に向けた勉強法を解説していきます。
施工管理技士とは?
まず初めに、施工管理技士とはどのような仕事なのかを簡単に説明します。
施工管理技士とは建設現場における監督の役割を行う立場で、作業員の管理や、施主、元請け、資材会社、設計会社などと協力しながら、建設のプロセスを進めていくプロジェクトマネージャーのような役割となっています。
主に四大管理と呼ばれる、「工程管理」、「品質管理」、「安全管理」、「原価管理」という4つの管理するべき事項をマネジメントしていきます。
資格の種類
施工管理技士の中にも、様々な工事の種類があり、種類別に施工管理が出来る資格が異なっています。施工管理技士の国家資格は下記の7種類に分類されています。
建築施工管理技士は主にオフィスや学校、家といったの建物の建築の施工管理を行う資格です。
土木施工管理技士は道路やダム、橋梁、鉄道、高速道路などのインフラ工事を行う際の施工管理が出来る資格です。
電気工事施工管理技士は配電盤、電力機器、電灯、送電線を始めとした、電気関連の工事の施工管理が行える資格です。
管工事施工管理技士は、水道や空調などと行った建物内の管工事の施工管理が行える資格。
造園施工管理技士は遊園地や、公園、マンションやビルの中の造園設備の工事の際の施工管理が行える資格です。
建設機械施工管理技士は建設機械を使った工事における施工管理が出来る資格です。
電気通信工事施工管理技士は、固定電話や、携帯電話、インターネットの回線工事における施工管理が行える資格です。
それぞれの資格は1級と2級に分かれており、1級、2級それぞれに1次検定と2次検定があります。
ここからは各資格の詳細や、難易度、勉強法などについて解説していきます。
施工管理技士の資格取得難易度
建築施工管理技士の難易度と勉強法
建築施工管理技士の1級・2級及び、各級に対する1次試験と2次試験の合格難易度について、下記のようになっています。
まず初めに建築施工管理技術検定2級の1次試験の受験者と合格者の状況について、国土交通省のデータによると、下記のようになっております。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 28,888人 | 7,495人 | 25.9% |
2019年度 | 28,718人 | 9,083人 | 31.6% |
2020年度 | 32,468人 | 11,366人 | 35.0% |
2021年度 | 32,128人 | 15,736人 | 49.0% |
2022年度 | 27,004人 | 11,421人 | 42.3% |
2級1次検定は主にマークシート形式で、出題範囲は、建築・躯体・仕上げに関する「建築学」、「施工法」、「法規」に関する内容となっており、広く浅く出題される傾向にあるので、網羅的な知識が必要となってきます。
合格率は過去5年の平均で36.7%となっております。背景としては、受験者層の幅が広く、施工管理業界での経験が長い方から、そうでない方までいる為、合格率がそこまで高くないという点が挙げられます。
平均の勉強時間は、個人ごとの実務経験による差はありますが、60時間ほどと言われており、1日1時間の勉強時間で、2~3ヶ月は準備期間として設けておく必要があります。
勉強方法としては、一次検定の場合は、マークシート式なので、知識のインプットと過去問による出題傾向の把握が必要となります。過去問を解く際に重要なのは、都度解説を見ながら、回答を暗記するだけでなく、知識を理解することも重要となります。
出題される問題は50問となっておりますが、その中から40問を回答する必要があります。建築学、施工管理法、法規の中から、どこで点数を稼ぎやすいのかの計画を立て、戦略的に取り組んでいくと良いです。
建築施工管理技術検定2級の2次検定の合格率は下記のようになっております。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 24,131人 | 6,084人 | 25.2% |
2019年度 | 22,663人 | 6,134人 | 27.1% |
2020年度 | 11,484人 | 6,514人 | 56.7% |
2021年度 | 15,507人 | 8,205人 | 52.9% |
2022年度 | 14,909人 | 7,924人 | 53.1% |
2級の2次検定の平均合格率は過去5年で43.0%となっております。
1次検定はマークシート式の選択問題になっているのに対し、2次検定は選択問題と記述式の問題がそれぞれ出題されます。そのため、知識量のみならず、実地での経験や、それらをまとめる文章力も重要になります。
2022年の検定は4択問題が14問、記述問題が4問出題されました。採点のロジックは公開されていないですが、合格ラインは60%以上の得点となっておりました。
問題の内訳は下記の様になっております。
- 施工経験に関する記述問題
- 施工管理の用語に関する解説問題
- 施工管理の工程表を作成する問題
- 法規問題
- 穴埋め問題
記述問題に関しては、品質管理や施工計画、工程管理などから、出題されます。
自身の経験した建築の工事に関する概要、工種、実施時の検討事項や意識した点などに関する記述を行います。
2次検定は記述問題が多く、かつ出題傾向がある程度見えている為、記述内容のイメージを持って臨んでいく必要があります。その上で既に二級建築施工管理技士の資格を持っている方から文章を添削してもらうなどして、フィードバックを貰っておくことが重要になります。
また、穴埋め問題の中には、数式を用いて回答していく計算問題もあります。こちらは暗記ではなく、公式を理解した上で臨む必要があります。
続いて、1級建築施工管理技術検定の状況を見ていきます。1次試験の受験者と合格者の状況について、国土交通省のデータによると、下記のようになっております。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 28,512人 | 16,117人 | 56.5% |
2019年度 | 33,036人 | 18,076人 | 54.7% |
2020年度 | 29,745人 | 17,885人 | 60.1% |
2021年度 | 37,726人 | 22,851人 | 60.6% |
2022年度 | 38,672人 | 21,097人 | 54.6% |
1級の1次検定は2級の1次検定と同じく、マークシート形式となっており、出題範囲は、「建築学」、「施工法」、「法規」で構成されています。
出題される問題数は70問となっており、必須問題が26問あり、回答する問題を選択出来る選択式問題が46問あります。選択式問題はその中から34問に回答する必要があります。回答する問題は計60問で、合格には、36問以上に正解する必要があります。
過去5年間の合格率の平均値は42.64%となっており、2級の1次よりも合格率が高くなっております。
この背景としては、2級と比べ1級の方が熟練度が高い施工管理技士の受験者が多い点や、2級では意識の低い受験者が多いため、当日受験会場に来ない為、不合格となる方が多いといった背景があります。そのため難易度自体はもちろん1級の方が高い一方、合格率も1級の方が高く出ております。
平均の勉強時間は、個人ごとの実務経験による差はありますが、75時間ほどと言われており、1日1時間の勉強時間で、3~4ヶ月は準備期間として設けておく必要があります。
建築施工管理技術検定1級の2次検定の合格率は下記のようになっております。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 15,145人 | 5,619人 | 37.1% |
2019年度 | 15,876人 | 7,378人 | 46.5% |
2020年度 | 16,946人 | 6,898人 | 40.7% |
2021年度 | 12,813人 | 6,708人 | 52.4% |
2022年度 | 13,010人 | 5,878人 | 45.2% |
1級の2次検定の平均合格率は過去5年で44.38%となっております。
1級においても2次検定は記述問題が多くなっております。
2022年の検定では下記のような設問形式で出題されました。
- 施工管理経験の記述問題
- 安全管理計画の記述問題
- 工程管理の記述問題
- 仕上げ工事における留意事項の記述問題
- 躯体工事に関する5択のマークシート形式の問題
- 法規に関する5択のマークシート形式の問題
記述問題に関しては、品質管理や施工計画、工程管理などから、出題されます。
自身の経験した建築の工事に関する概要、工種、実施時の検討事項や意識した点などに関する記述を行います。
2次検定は記述問題が多く、かつ出題傾向がある程度見えている為、記述内容のイメージを持って望んでいくと良いです。その上で既に二級建築施工管理技士の資格を持っている方から文章を添削してもらうなどして、フィードバックを貰っておくことが重要になります。
1級建築施工管理技士の資格を取得する事で、建築現場の管理監督者となることが出来、キャリアの幅を大幅に広げることも出来るため、難易度の高い資格ではありますが、非常に価値の高い資格といえます。
土木施工管理技士の難易度と勉強法
土木施工管理技士の1級・2級及び、各級に対する1次試験と2次試験の合格難易度について、下記のようになっています。
まず初めに土木施工管理技術検定2級の1次試験の受験者と合格者の状況について、国土交通省のデータによると、下記のようになっております。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 27,845人 | 17,319人 | 62.2% |
2019年度 | 27,374人 | 17,506人 | 64.0% |
2020年度 | 33,625人 | 23,562人 | 70.1% |
2021年度 | 30,160人 | 21,876人 | 72.5% |
2022年度 | 27,915人 | 17,814人 | 63.8% |
2級1次検定は主にマークシート形式で、出題範囲は、「土木工学」、「施工管理法」、「法規」に関する内容となっております。
合格率は過去5年の平均で66.52%となっており、建築施工管理技術検定2級の1次検定よりも合格率は高いです。
平均の勉強時間は、個人ごとの実務経験による差はありますが、50時間ほどと言われており、1日1時間の勉強時間で、2~3ヶ月は準備期間として設けておく必要があります。
勉強方法としては、一次検定の場合は、基本的に過去問を解きながら出題傾向を把握することが最も重要です。
設問のカテゴリをより具体的に分解すると、「土木一般」「専門土木」、「法規」、「共通工学」、「施工管理法」「施工管理法(基礎的な能力)」という構成となっており、合計設問数は61問、その中から選択し、41問に回答します。
過去問を解きながら、どの分野で点数を稼ぎに行くかの戦略を練って対策していくと良いです。
続いて、土木施工管理技術検定2級の2次検定について解説していきます。1次検定は17歳以上であれば全員が受験資格を得ることが出来ますが、2次検定の場合は実務経験が必要となります。
土木施工管理技術検定2級の2次検定の合格率は下記のようになっております。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 34,026人 | 11,878人 | 34.9% |
2019年度 | 32,303人 | 12,768人 | 39.5% |
2020年度 | 29,640人 | 13,014人 | 43.9% |
2021年度 | 29,112人 | 11,838人 | 40.7% |
2022年度 | 32,916人 | 12,409人 | 37.7% |
2級の2次検定の平均合格率は過去5年で39.3%となっております。
2次検定はすべての問題が記述式となっております。
続いて、2次検定について見ていきましょう。出題される問題数は11問、回答する問題数は7問となります。2次検定は、下記の内容で構成されています。
- 施工経験に関する記述問題(安全管理)、コンクリート、施工計画の問題が3問
- 土工・品質管理・安全管理・建設副産物の中から2問を選択
- 土工・コンクリート・安全管理・施工計画から2問を選択
2次検定は記述問題が多く、かつ出題傾向がある程度見えている為、記述内容のイメージを持って臨んでいくと良いです。その上で既に二級土木施工管理技士の資格を持っている方から文章を添削してもらうなどして、フィードバックを貰っておくことが重要になります。
続いて、1級土木施工管理技術検定の状況を見ていきます。1次試験の受験者と合格者の状況について、国土交通省のデータによると、下記のようになっております。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 28,512人 | 16,117人 | 56.5% |
2019年度 | 33,036人 | 18,076人 | 54.7% |
2020年度 | 29,745人 | 17,885人 | 60.1% |
2021年度 | 37,726人 | 22,851人 | 60.6% |
2022年度 | 38,672人 | 21,097人 | 54.6% |
1級の1次検定の過去5年の合格率の平均は57.3%となっております。
1級の1次検定は2級の1次検定と同じく、マークシート形式となっており、出題範囲は、「土木工学」、「施工法」、「法規」で構成されています。問題Aに分類される選択問題が61問、問題Bに分類される回答必須の設問が35問となっています。
1級は問題の難易度が高まってきている傾向にあり、過去問を暗記するだけでは対応出来ない設問や、過去に出題されなかった専門用語が出題されるなどの傾向があります。
平均の勉強時間は、個人ごとの実務経験による差はありますが、約80時間ほどと見ておくと良いでしょう。したがって試験勉強には、3~4ヶ月ほどの時間を見積もっておく必要があります。
土木施工管理技術検定1級の2次検定の合格率は下記のようになっております。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 27,581人 | 9,521人 | 34.5% |
2019年度 | 24,688人 | 11,190人 | 45.3% |
2020年度 | 24,204人 | 7,499人 | 31% |
2021年度 | 26,558人 | 9,732人 | 36.6% |
2022年度 | 24,462人 | 7,032人 | 28.7% |
1級の2次検定の平均合格率は過去5年で35.2%となっております。
1級においても2次検定は記述問題が多くなっております。例えば、令和3年度の出題内容は下記のようになっておりました。
- 施工管理経験の記述問題(必須回答)
- コンクリートに関する穴埋め問題(必須回答)
- 工程管理の記述問題(必須回答)
- 土工に関する穴埋め問題(4~7より2問選択し、回答)
- 品質管理に関する穴埋め問題(4~7より2問選択し、回答)
- 安全管理に関する穴埋め問題(4~7より2問選択し、回答)
- 建築副産物に関する穴埋め問題(4~7より2問選択し、回答)
- 土工に関する記述問題(8~11より2問選択し、回答)
- コンクリートに関する誤文訂正問題(8~11より2問選択し、回答)
- 安全管理に関する説明記述問題(8~11より2問選択し、回答)
- 施工計画穴埋め及び記述問題(8~11より2問選択し、回答)
2次検定は元々実地試験だった所が記述試験に変更となった経緯が有るため、2次検定は単に暗記をするだけでなく、実地で学んだスキルが問われます。
土木施工管理技士の資格を取得することで、公共工事を始め、幅広い工事に従事出来るキャリアが広がります。
建築と土木の施工管理技士の資格は特に需要も大きく、建設業界におけるメジャーな資格と言えるでしょう。
電気工事施工管理技士の難易度と勉強法
電気工事施工管理技士は、電気設備工事の現場での施工管理を行うための資格です。電気を取扱う資格として電気工事士や電気主任技術者などと名前が似ておりますので混同しないように注意しましょう。
電気工事士や電気主任技術者との違いを明確にしましょう。電気工事士は、電気工事の実施を主な業務とする資格であり、電気主任技術者は電気の専門知識を有し、企画、設計、維持管理などを担当する資格です。
一方、電気工事施工管理技士は、電気工事の現場で、工事の進行管理、品質管理、安全管理などを担当します。
電気工事士や電気主任技術者は電気工事施工管理技士の受験要件を満たしやすいこともあり、電気系の対応領域を広げる為に、後にご紹介する電気通信施工管理技士の資格と並べて取得を目指す方も多いです。
ではまずは2級電気工事施工管理技術検定の1次検定から見ていきましょう。
1次検定では、マークシート形式で、主に「電気工学」、「電気設備」、「関連分野」、「設計・契約関係」「施工管理法」、「工事施工法」「法規」などに関する内容が出題されます。
国交省が明示している1級の1次検定の合格率の推移は下記のようになっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 3,498人 | 2,305人 | 65.9% |
2019年度 | 7,548人 | 4,237人 | 56.1% |
2020年度 | 8,239人 | 4,818人 | 58.5% |
2021年度 | 8,359人 | 4,776人 | 57.1% |
2022年度 | 8,027人 | 4,466人 | 55.6% |
過去5年の合格率は約58.6%とされ、平均的な勉強時間は50時間程度です。
2次試験は 記述式の問題が中心となります。「施工記述経験」、「施工管理法」、「電気設備全般」、「法規」などの問題が出題されます。
電気工事施工管理技術検定2級の2次検定の合格率は下記のようになっております。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 5,985人 | 3,436人 | 57.4% |
2019年度 | 5,297人 | 3,249人 | 61.3% |
2020年度 | 4,632人 | 2,967人 | 64.1% |
2021年度 | 5,082人 | 3,493人 | 68.7% |
2022年度 | 4,768人 | 2,947人 | 61.8% |
過去5年の平均合格率は62.7%となっております。
2次検定は記述問題が中心となるため、ご自身の施工管理の経験の言語化や、知識に対する体系的な理解が必要になります。
続いて、1級電気工事施工管理技術検定の1次検定について見ていきます。
2級と同様にマークシート形式ですが、難易度が高く、より専門的な用語に対する理解が必要です。
過去5年間の合格率は下記の様になっております。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 16,989人 | 9,532人 | 56.1% |
2019年度 | 15,048人 | 6,128人 | 40.7% |
2020年度 | 14,407人 | 5,493人 | 38.1% |
2021年度 | 15,001人 | 7,993人 | 53.3% |
2022年度 | 16,883人 | 6,458人 | 38.3% |
過去5年間の合格率の平均は45.30%となっており、勉強時間は80時間ほど見ておく必要があります。
続いて、電気工事施工管理技士1級の2次検定について見ていきましょう。2次検定は五択問題と記述形式となっており、施工管理法の知識に関する問題が出題されます。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 12,034人 | 8,875人 | 73.7% |
2019年度 | 8,114人 | 5,382人 | 66.3% |
2020年度 | 6,723人 | 4,887人 | 72.7% |
2021年度 | 7,922人 | 4,655人 | 58.8% |
2022年度 | 7,685人 | 4,537人 | 59% |
過去5年の平均合格率は66.1%でした。
二次試験は記述が中心の試験となっており、施工管理法の知識に関するマークシート形式の問題と、施工管理法に関する能力を測る記述問題が出題されます。
昨今の太陽光需要の高まりや万博、リニアと言った大規模工事、都市の再開発などの影響を受け、電気工事施工管理技士の需要は今後更に増えていくことが予想されます。
管工事施工管理技士の難易度と勉強法
管工事施工管理技士は、空調や、水道、ガス管、消火設備などと言った管工事の施工管理を行うための資格です。
まずは2級管工事施工管理技術検定についてみていきましょう。
1次検定では、マークシート形式で、主に「機械工学」、「施工管理法」、「法規」の問題で構成されています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 13,837人 | 8,011人 | 57.9% |
2019年度 | 13,950人 | 9,091人 | 65.2% |
2020年度 | 12,348人 | 7,683人 | 62.2% |
2021年度 | 11,580人 | 5,766人 | 49.8% |
2022年度 | 11,051人 | 6,274人 | 56.8% |
過去5年間の平均合格率は58.4%となっております。勉強時間は60時間ほどで、2~3ヶ月毎日1時間の勉強時間で合格を目指すことが出来ます。合格率だけで見ると、電気工事施工管理技術士とほぼ同程度の難易度となっており、建築や土木と比べると合格率が高い傾向にあります。
出題範囲は比較的幅が広く、環境工学、液体工学、熱工学などで構成される基礎問題、電気動力や建築などに関する問題、発電所や変電所の設計や運用、電気材料に関する問題、空調や衛生設備に関する問題、施工管理に関する問題が必須回答問題として出題されます。また、回答する問題を選択する形で法規の問題が出題されます。
問題の総数は52問となっており、その中から42問を選択肢回答します。
2次検定は出題問題のすべてが記述形式です。
出題科目は、施工経験に関する記述問題、空気調和設備、給排水設備、労働安全衛生法、施工要領図の判読などとなっております。
記述問題が多いため、文章の練習や、有資格者に添削を依頼するなどして対策を行うと良いです。
2級の2次の合格率は下記のようになっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 7,608人 | 4,011人 | 52.7% |
2019年度 | 10,431人 | 5,492人 | 52.7% |
2020年度 | 8,211人 | 5,018人 | 61.1% |
2021年度 | 4,540人 | 3,330人 | 73.3% |
2022年度 | 6,618人 | 3,769人 | 57.0% |
過去5年間の平均合格率は59.4%でした。管工事の2級の2次検定や電気工事の2級2次検定とほぼ同等の合格率となっております。
続いて1級の資格について見ていきましょう。
1級の1次検定は「機械工学」、「施工管理法」、「法規」で形成されています。全体で60%以上かつ、施工管理法で40%以上を獲得することで合格となります。過去5年の合格率の推移を見ていきます。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 16,473人 | 5,471人 | 33.2% |
2019年度 | 16,838人 | 8,769人 | 52.1% |
2020年度 | 13,531人 | 4,738人 | 35.0% |
2021年度 | 15,827人 | 3,792人 | 24.0% |
2022年度 | 16,839人 | 7,231人 | 42.9% |
過去5年の平均合格率は37.4%でした。
1級の2次検定は施工管理法に関する記述問題で構成されており、過去5年の合格率は下記のようになっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 7,608人 | 4,011人 | 52.7% |
2019年度 | 10,431人 | 5,492人 | 52.7% |
2020年度 | 8,211人 | 5,018人 | 61.1% |
2021年度 | 4,540人 | 3,330人 | 73.3% |
2022年度 | 6,618人 | 3,769人 | 57.0% |
管工事施工管理技士も今後、バブル期に建てられた建物の老朽化に伴うメンテナンス需要により、更に働き口が増えていく職種といえるでしょう。
管工事に特化した施工会社の求人も多数あり、資格を取ることで、キャリアの選択肢が更に広がっていきます。
造園施工管理技士の難易度と勉強法
造園工事施工管理技士は、商業施設やマンション、オフィスビルなどの造園工事の施工管理を行うための資格です。
まずは2級造園工事施工管理技術検定についてみていきましょう。
1次検定では、マークシート形式で、主に「土木工学」、「施工管理法」、「法規」の問題で構成されています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 4,272人 | 2,484人 | 58.1% |
2019年度 | 4,173人 | 2,040人 | 48.9% |
2020年度 | 3,569人 | 2,080人 | 58.3% |
2021年度 | 3,114人 | 1,551人 | 49.8% |
2022年度 | 2,983人 | 1,691人 | 56.7% |
過去5年間の平均合格率は54.4%となっております。勉強時間は120時間ほどで、3~4ヶ月間、毎日1時間の勉強時間で合格を目指すことが出来ます。受験者数は建築や土木の施工管理技術士と比べ少ないです。合格率は管工事や電気工事と同程度です。
土木工学、建築工学、園芸学、電気工学、機械工学などの基礎知識を問う問題や、施工管理計画、設計図を読み取る力、法律に関する十分な知識の有無が問われる問題が出題されます。
2次検定は出題問題のすべてが記述形式です。
出題科目は、施工経験に関する記述問題、施工管理法に関する記述問題です。
記述問題が多いため、文章の練習や、有資格者に添削を依頼するなどして対策を行うと良いです。
2級の2次の合格率は下記のようになっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 3,458人 | 1,313人 | 38% |
2019年度 | 2,829人 | 1,063人 | 37.6% |
2020年度 | 2,531人 | 1,089人 | 43.0% |
2021年度 | 2,624人 | 1,119人 | 42.6% |
2022年度 | 2,474人 | 1,005人 | 40.6% |
過去5年間の平均合格率は40.3%です。2次の合格率は電気工事や管工事と比べると10%ほど低い水準となっており、難易度の高い資格といえるでしょう。
続いて、1級造園工事施工管理技士の資格について見ていきましょう。
1次検定では、2級と同じくマークシート形式となっており、「土木工学」、「施工管理法」、「法規」から出題されます。合格率は下記の様になっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 3,430人 | 1,414人 | 41.2% |
2019年度 | 3,404人 | 1,260人 | 37.0% |
2020年度 | 2,974人 | 1,178人 | 39.6% |
2021年度 | 3,008人 | 1,080人 | 35.9% |
2022年度 | 3,091人 | 1,360人 | 44% |
過去5年間の平均合格率は39.5%となっております。
1級の2次検定は2級と同じく、記述式となっております。
必須回答の問題は、工程管理経験又は品質管理経験に関する記述の問題、造園工事に関する記述の問題となっております。その他に、工程管理、品質管理、安全管理に関する記述問題から1問を選択し、回答する問題もあります。
造園施工管理技術検定1級の2次検定の合格率は以下のようになっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 2,251人 | 808人 | 35.9% |
2019年度 | 1,880人 | 744人 | 39.6% |
2020年度 | 1,695人 | 695人 | 41% |
2021年度 | 1,477人 | 591人 | 40% |
2022年度 | 1,471人 | 677人 | 46% |
受験者数は施工管理に関する国家資格の検定の中では最も少ない人数となっております。過去5年間の合格率の平均値は40.5%で決して高い水準とは言えません。
記述問題に関しては、造園工事に関する体系的な理解やこれまでの経験の棚卸しなど、十分に準備して望んでいくべきでしょう。
造園工事施工管理技士は、街の緑化計画などに伴い、今後も更に需要が堅実に増えていくことが予想されます。
造園工事に特化した施工会社の求人も多数あり、資格を取ることで、キャリアの選択肢が更に広がっていきます。
建設機械施工管理技士の難易度と勉強法
建設機械施工管理技士は、建設機械を活用した工事の施工管理を行うための資格です。
まずは2級建設機械工事施工管理技術検定についてみていきましょう。
1次検定では、マークシート形式で、共通問題として、「建設機械原動機」「石油燃料」「潤滑剤」「建設機械施工法」「法規」の問題が出題されます。
共通問題の他に、建設機械施工管理技士は下記のような分類がされており、種別ごとに試験内容が異っており、下記の表のような分類担っております。
種類 | 取り扱える機械 | 科目 |
1種 | ブルドーザー | トラクター 系建設機械 トラクター 系建設機械施工法 |
2種 | 油圧ショベル | ショベル系建設機械 ショベル系建設機械施工法 |
3種 | モーターグレーダー | モーター・グレーダー モーター・グレーダー施工法 |
4種 | ロードローラー | 締め固め建設機械 締め固め建設機械施工法 |
5種 | アスファルトフィニッシャ | 舗装用建設機械 舗装用建設機械施工法 |
6種 | アースオーガ | 基礎工事用建設機械 基礎工事用建設機械施工法 |
続いて、2級建設機械施工管理技士の合格率を見ていきましょう。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 7,704人 | 4,507人 | 58.5% |
2019年度 | 6,895人 | 2,925人 | 42.4% |
2020年度 | 5,769人 | 2,239人 | 38.8% |
2021年度 | 7,264人 | 3,970人 | 54.7% |
2022年度 | 6,785人 | 2,905人 | 42.8% |
過去5年間の平均合格率は47.4%となっております。勉強時間は100時間ほどで、3~4ヶ月間、毎日1時間の勉強時間で合格を目指すことが出来ます。
2次検定は筆記試験と実技試験で構成されます。
筆記試験においては、機械を活用した工事を管理する上で、必要な知識が備わっていること、設計図に対する理解や施工計画の作成、施工方法の立案と実施が出来る事を示す必要があります。
実技試験においては、決められたコースを機械を用いて操作施工する能力を測ります。
2級の2次の合格率は下記のようになっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 4,909人 | 4,123人 | 84.0% |
2019年度 | 3,741人 | 3,138人 | 83.9% |
2020年度 | 1,024人 | 845人 | 82.5% |
2021年度 | 3,881人 | 2,917人 | 75.2% |
2022年度 | 3,826人 | 2,609人 | 68.2% |
過去5年間の平均合格率は78.9%で、他の資格に比べると合格率は非常に高いです。
二次検定では、知識のみならず、実際に機械を取り扱う実務で培った能力を発揮する必要があります。
続いて、1級建設機械工事施工管理技士の資格について見ていきましょう。
1次検定では、2級と同じくマークシート形式となっており、出題科目は1級と同じく、「建設機械原動機」「石油燃料」「潤滑剤」「建設機械施工法」「法規」の問題が出題されます。合格率は下記の様になっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 2,949人 | 825人 | 28.0% |
2019年度 | 2,838人 | 712人 | 25.1% |
2020年度 | 2,346人 | 477人 | 20.3% |
2021年度 | 2,337人 | 621人 | 26.6% |
2022年度 | 2,560人 | 677人 | 26.4% |
過去5年間の平均合格率は25.3%となっております。
1級の2次検定は2級と同じく、筆記試験と実技試験で構成されています。
筆記試験は、「建設機械施工法」、「施工管理法」、「建設機械組み合わせ施工法」に関する記述問題が出題されます。
実技試験は2級と同じく、下記のようになっております。
種類 | 取り扱える機械 | 科目 |
1種 | ブルドーザー | トラクター 系建設機械 トラクター 系建設機械施工法 |
2種 | 油圧ショベル | ショベル系建設機械 ショベル系建設機械施工法 |
3種 | モーターグレーダー | モーター・グレーダー モーター・グレーダー施工法 |
4種 | ロードローラー | 締め固め建設機械 締め固め建設機械施工法 |
5種 | アスファルトフィニッシャ | 舗装用建設機械 舗装用建設機械施工法 |
6種 | アースオーガ | 基礎工事用建設機械 基礎工事用建設機械施工法 |
建設機械施工管理技術検定1級の2次検定の過去5年の合格率を見てみましょう。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018年度 | 1,046人 | 662人 | 63.3% |
2019年度 | 973人 | 621人 | 63.8% |
2020年度 | 217人 | 174人 | 80.2% |
2021年度 | 569人 | 369人 | 64.9% |
2022年度 | 866人 | 456人 | 52.7% |
1級についても2次試験の受験者数は施工管理に関する国家資格の検定の中では最も少ない人数となっております。過去5年間の合格率の平均値は65.0%で決して高い水準とは言えません。
建設機械施の資格を取得する事で、施工管理出来る工事の幅も広がります。建設機械施工会社の求人も多数あり、資格を取ることで、キャリアの選択肢が更に広がっていきます。
電気通信工事施工管理技士の難易度と勉強法
電気通信工事施工管理技士は、電話回線、インターネット、社内LANなど通信関連に関わる工事の施工管理が行える資格です。
電気工事士や、電気主任技術者、電気工事施工管理技士の資格と併用して、電気通信工事施工管理技士の資格を取得する方も多いです。これらの資格を併用することにより、電気関連で対応出来る業務の幅が大幅に広がります。
また、電気関連の資格を複数掛け合わせることで、人材の希少性が高まり、キャリアの幅も広げやすくなります。
まずは2級電気通信工事工事施工管理技術検定についてみていきましょう。
1次検定では、マークシート形式で、主に「電気通信工学」「電気通信設備」、「施工管理法」、「法規」の問題が出題されます。合格率は全体で60%以上で、かつ施工管理法(能力問題)で40%以上の正答率が必要となります。
過去4年の合格率の状況を見ていきましょう。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2019年度 | 7,015人 | 4,045人 | 57.7% |
2020年度 | 3,648人 | 2,332人 | 63.9% |
2021年度 | 3,385人 | 2,369人 | 70.0% |
2022年度 | 3,074人 | 1,818人 | 59.1% |
過去5年間の平均合格率は60.7%となっております。勉強時間は80時間ほどで、2~3ヶ月間、毎日1時間の勉強時間で合格を目指すことが出来ます。
2次検定は出題問題のすべてが記述形式です。
出題科目は、施工経験に関する記述問題、施工管理法に関する記述問題です。
記述問題が多いため、文章の練習や、有資格者に添削を依頼するなどして対策を行うと良いです。
2級の2次の合格率は下記のようになっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2019年度 | 3,514人 | 2,007人 | 57.1% |
2020年度 | 3,240人 | 1,391人 | 42.9% |
2021年度 | 4,060人 | 1,420人 | 35.0% |
2022年度 | 3,557人 | 1,265人 | 35.6% |
過去5年間の平均合格率は45.3%です。1次と比べ2次は難易度が高く、合格率も低くなっております。
施工法に関する知識や、工程表に関する知識、設計図に関する知識など幅広い知識が求められます。
また、1次と2次を連続で受験する場合は、例年のスケジュールでは、間隔が4ヶ月ほどとなるため、1次が終わり次第、2次の対策に素早く取り掛かっていく必要があるでしょう。
続いて、1級電気工事施工管理技士の資格について見ていきましょう。
1次検定では、2級と同じくマークシート形式となっており、「電気通信工学」、「施工管理法」、「法規」から出題されます。合格率は下記の様になっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2019年度 | 13,538人 | 5,838人 | 43.1% |
2020年度 | 8,532人 | 4,190人 | 49.1% |
2021年度 | 8,076人 | 4,730人 | 58.6% |
2022年度 | 7,300人 | 3,982人 | 54.5% |
過去5年間の平均合格率は48.2%となっております。
1級の2次検定は2級と同じく、記述式となっており、主に施工管理法から出題されます。
2次の過去4年の合格率は下記のようになっております。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2019年度 | 5,781人 | 2,860人 | 49.5% |
2020年度 | 6,707人 | 3,307人 | 49.3% |
2021年度 | 6,147人 | 1,852人 | 30.1% |
2022年度 | 5,630人 | 2,108人 | 37.4% |
過去4年間の合格率の平均値は44.2%で決して高い水準とは言えません。
記述問題に関しては、電気通信工事の経験に関する記述やネットワーク工程表、電気通信理論、電気通信設備、契約、施工管理法などに関する問題が出題されます。
5Gの普及により今後も電気通信工事施工管理技士の資格は確実に需要が上がっていく為、市場価値を上げ、給与を高めたいという方は確実に持っておいて損は無いと言える資格です。
資格を取るメリット
「監理技術者」や「主任技術者になれる」
施工管理における国家資格を持つことによって、工事におけるより上流の仕事に就くことが可能です。
2級資格が取れると「主任技術者」になることが出来、1級資格を取得すると「監理技術者」になることが出来ます。
主任技術者や監理技術者となることで、工事全体を統括することが出来る様になり、より幅広いキャリアを形成することが可能です。
待遇の改善
すべての工事現場において主任技術者又は監理技術者が必要であるため、主任技術者資格者の採用は雇用主側にとっても売上に直結する課題です。
経営事項審査という国が民間の施工会社に発注する際の評価基準があり、その中で施工管理技士の人数がポイントの加算要素となっております。
そのため、企業としては施工管理の資格を持っている人材の採用が売上に直結する課題であり、採用予算や給与を高く評価する傾向にあります。
施工管理の資格を持っている方は資格手当を受けることが出来たり、ベース級を上げることが出来ます。
転職市場における価値を高め、待遇を改善する上でもこれらの資格を取得するメリットは大きいでしょう。
まとめ
ここまで、各種施工管理の資格の合格率や難易度、勉強方法などについて見てきました。
合格率から見ても、各資格とも決して簡単に取得出来る資格とは言えません。計画的に対策を行い、過去問からこれまでの出題傾向を掴み、万全の状態で試験に臨むことが重要です。
また、各資格とも試験の頻度は年に1度となっております。そのため、一度合格出来なかった場合、次回のチャンスは翌年となってしまうことが多いです。
これだけ取得が難しい国家資格で有るが故に、資格を取得出来た際はご自身の能力を証明する強い武器にもなります。
是非施工管理技士の資格取得を目指し、キャリアの選択肢をより広げていただけたらと思います。