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施工管理技士2級とは?難易度や受験資格、現場監督との違いも紹介

建設産業は地域のインフラ整備やメンテナンス等の担い手であると同時に、地域の経済活動や雇用を支えています。

東日本大震災が発生した際には、同日午後6時に道路の瓦礫処理活動を開始するなど、最前線で地域社会の安全・安心の確保を担っていると言えます。

令和3年において建設業界の就労業者は、55歳以上が35.5%、29歳以下が12.0%と高齢化の進行と若い世代への技術継承が問題視されています。

そうした状況から、建設業を中心に施工管理技士のような資格を持った特に若い方は高い需要があります。

施工管理技士には1級と2級が存在し、一級は取得難易度が高いですが、二級は一級に比べ取得しやすいです。

建職ワークス
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本記事では施工管理技士2級の取得によるメリットや施工管理技士1級との違いを紹介していきます。

施工管理とは

施工管理は工事現場や施工の予算・安全性の確保、役所の手続きや書類作成など工事に関わる全てのことを指します。

建設現場で働く方を想像すると現場作業員や現場監督のようなイメージを持たれる方が多いですが、建設現場では施工や予算、安全面の配慮、役所への手続きや書類作成といった業務も発生します。

施工管理として働かれる方は建設現場だけでなく、ホワイトカラーの方のようにデスクワークの業務も多いです。

施工管理という仕事は未経験の方でも行うことができますが、未経験から向上現場で実務経験を積むことで施工管理技士の受験資格を取得できます。

施工管理と現場監督の違い

施工管理と現場監督の主な違いは仕事内容と資格の有無です。

先述の通り、施工管理は工事現場の施工や予算、安全面に加え役所への手続きや書類作成など工事に関わる業務を全て行います。

建設現場では工期が決まっており、規模が大きな場合も少なくないため、工期から逆算した工事完成スケジュールの把握が必要です。

作業現場で安全に働けるように機材の点検や工法の確認、作業員の健康確認などを管理することも必要です。

施工管理はこれらのような安全管理も行います。

一方、現場監督は工事現場における作業員の指示や工事の進捗など、工事現場の管理を中心に行います。

さらに、施工管理は施工管理技士といった国家資格が存在しますが現場監督に関する資格は存在しません。

施工管理の主な仕事内容

施工管理は工事に関わる業務を全て行いますが、4大管理といわれている施工管理の中でも特に重要な業務内容があります。

工程管理 作業の進め方や作業員の人員、必要な重機の手配といった管理のことで、予定の工期を守ための業務
安全管理 建設作業にあたる作業員を守るために、必要な設備や環境を整える業務
品質管理 建設で使用する材料の寸法や品質が、設計図書や仕様書にある規格を満たしているかを管理し、無駄なく建設するための業務
原価管理 建設で使用する材料の寸法や品質が設計図書や仕様書にある規格を満たしているかを管理し経済的に建設するための業務

 

施工管理技士2級と1級の違い

施工管理技士の2級では、工事種別ごとの主任技術者・専任技術者として活動できますが、施工管理技士1級では主任技術者・専任技術者に加え監理技術者として工事を担当することができます。

建設業法の規定によって、特定建設業者が元請として外注総額4500万円以上となる工事を発注者から直接請け負う場合、施工管理技士1級を取得している方が必要です。

主任技術者と監理技術者の違い

施工管理技士2級で取得できる主任技術者と施工管理技士1級で取得できる監理技術者の大きな違いは、工事規模にあります。

建設業法26条第2項によって、発注者から直接工事を請け負った元請け建設業者は下請け請負金額が4000万円以上になる場合、監理技術者をおく必要があります。

監理技術者は主任技術業務に加え、建設工事の施工にあたって、施工業者を適切に指導監督する役割も期待されています。

施工管理技士2級

施工管理は工事現場や施工の予算・安全性の確保、役所の手続きや書類作成など工事に関わる全てのことを指します。

施工管理自体は資格がない方でも行える仕事であり、業界未経験の方でも施工管理の仕事に就くことができます。

ですが、将来的に、工程管理・品質管理・原価管理・安全管理を行う施工管理者として働きたいのであれば国家資格である施工管理技士を取得する必要があります。

施工管理士は建設や土木、電気のようにそれぞれの分野で設けられており、次のような種類があります。

  • 建築施工管理技士
  • 土木施工管理技士
  • 電気施工管理技士
  • 管施工管理技士
  • 造園施工管理技士

建築施工管理技士2級

建築施工管理技士は、建設現場で現場監督・現場代理人と呼ばれる仕事を行い、工事を発注した依頼主や設計者との打ち合わせ、現場に出入りする職人の監督・指導が主な仕事内容です。

建設現場では数ヶ月から数年単位で行うような大規模な工事も多く、予算もその分大きくなる傾向にあります。

多くの建物が建築後まもないタイミングで使用される予定になっていることが多く、遅延がないようなスケジュール設計、進捗管理が重要です。

土木施工管理技士2級

土木施工管理技士は土木に関する監督業務を中心に行い、トンネルやダム、道路塗装などの公共工事を中心的に受注します。

日本では高度経済成長期に全国のインフラを一斉に整備したこともあり、全国各地の道路やトンネルなどの老朽化も問題視されています。

インフラ種別 総数 2023年において建設後50年を経過する割合 2033年において建設後50年を経過する割合
トンネル 約1万1000本 約27% 約63%
道路橋 約73万橋 約39% 約42%
河川管理施設 約1万施設 約42% 約62%
下水道管 約47万km 約8% 約21%
港湾岸壁 約5000施設 約32% 約58%

各工事現場には施工管理技士の有資格者が必ず1名以上必要であり、今後も政府がインフラの老朽化対策のために資金を投じる可能性が高まることが見込まれます。

電気施工管理技士2級

電気工事施工管理技士は、建設現場における工事に電気工事の施工管理に特化した資格です。

小規模店舗や工場など600v以下で受電する工事では電気工事士施工法規則により、電気工事士しかできないとされています。

リモートワークの普及に伴いインターネット環境の整備、都市開発などの影響も関係し電気施工管理技士の需要が高まりつつあるとされています。

管施工管理技士2級

管施工管理技士は配管工事の施工管理を行うための専門的知識を持っていることを証明する資格です。

配管には下水管やガス管、浄化槽、ダクトの他に空調設備などがあります。

インフラ種別 総数 2023年において建設後50年を経過する割合 2033年において建設後50年を経過する割合
下水道館 約47万km 約8% 約21%

 

造園施工管理技士2級

造園施工管理技士は公園や庭園などの施工計画から工程・品質、安全の管理を行います。

定期的な手入れが求められる庭や公園などの景観を保つために、他の草木とのバランス・成長を見極めた判断が求められます。

土木施工管理と混合されることもありますが、公共性の高い土木工事が土木施工管理となり、公園や学校、遊園地など緑化事業に関わることが造園施工管理です。

これまでは経済成長、人口増加等を背景として公園緑地の量の整備を急ぐステージでしたが、都市インフラの一定の整備等を背景として緑を最大限活かすステージに活かすべきとされており、維持管理に注力されるとされています。

施工管理技士補とは

施工管理技士補とは、2021年4月に改正された建設業法によって創設された国家資格です。

これまでは施工管理技士2級と施工管理技士1級が存在しており、施工管理技士の資格を取得するためには学科試験と直接実地試験の2段階の試験に合格する必要がありました。

学科試験のみに合格した場合は、連続2回まで学科試験を免除され、直接実地試験を受けることができます。

しかし、2回目以降の実地試験で不合格になると学科試験から受験し直す必要があり、モチベーションの低下など受検率の低下が課題としてありました。

ですが、監理技術者不足や高齢化の影響もあり高齢技術者の大量離職が想定されることから、建設産業の技術者不足を補う目的で新設されました。

施工管理技士補の新設後

施工管理技補の新設後では試験内容にも変更点があり、監理技術者の補佐として必要な知識や応用能力が第一次試験に盛り込まれ、第一次検定を合格すると施工管理技士補の国家資格が付与されます。

1級施工管理技術検定 ・第一次検定合格→1級施工管理技士補

・第二次検定合格→1級施工管理技士

2級施工管理技術検定 ・第一次検定合格→2級施工管理技士補

・第二次検定合格→2級施工管理技士

 

施工管理技士2級の難易度

施工管理士2級の試験範囲は、出題範囲が広く内容が浅いことが特徴です。

試験範囲を幅広く理解するだけでなく、時間を効率的に使うことや問題・選択肢の意味をしっかりと理解して如何に多くの知識を習得できるかが重要です。

新設された応用能力問題では、建築物全体を構造的に支える骨組みである躯体や仕上の施工方法の留意点・数値など専門的な知識が問われる問題も出題されています。

そのため一夜漬けで施工管理技士の資格合格を狙うことは難しいでしょう。

施工管理技士2級の合格率

施工管理の種類 合格率
建築施工管理技士2級 第一次検定:36.9%

第二次検定:39.3%

土木施工管理技士2級 第一次検定:63.8%

第二次検定:37.7%

電気施工管理技士2級 第一次検定:57.8%

第二次検定:62.5%

管施工管理技士2級 第一次検定:58.7%

第二次検定:59.0%

造園施工管理技士2級 第一次検定:54.7%

第二次検定:40.2%

※2022年(令和四年)における施工管理技士2級の合格率

いずれの第一次検定ではマーク形式になっており、出題数40で一問1点の40点満点で合格基準は24問(総得点の60%)以上の正解でした。

第二次試験では各施工管理の種類によって形式が異なりますが、マークシートと記述式、記述式だけのように、施工管理に関する基本的な知識だけでなく応用問題も問われます。

施工管理技士2級合格の目安の勉強時間

実務経験によって多少前後しますが、施工管理技士2級に合格するために必要だとされている目安の勉強時間は50〜60時間とされています。

基本的に施工管理技士2級試験の申込日から第一次検定の当日までに2〜3ヶ月ほどの期間が空いているので、毎日1.5時間勉強した場合でもおよそ1ヶ月で合格を狙えます。

施工管理技士2級の受検資格

各施工管理技士技術検定は、1級・2級ともに第一次検定と第二次検定があり、それぞれで受検資格が異なります。

第一次検定 受験する年度内に17歳以上になる
第二次検定 第一次検定に合格後、学歴に応じた実務経験を積んでいる

2級施工管理技士として活動するための具体的な実務経験が何年必要になってくるのかについて詳しく紹介していきます。

2級施工管理技士の第一次検定に必要な実務経験

2級施工管理技士の第一次検定において、実務経験は必要なく、試験を受験する年度内に17歳以上になる人であれば誰でも受検することができます。

そのため、対策をしていれば高校2年生の方でも2級施工管理技士の第一次検定に合格することができます。

2級施工管理技士の第二次検定に必要な実務経験

2級施工管理技士の第二次検定を受験するためには、2級の第一次検定に合格後、学歴に応じ実務経験を積み重ねる必要があります。

受験資格となる実務年数は、土木・電気・建築・電気工事・管工事・造園・電気通信工事など、建設機械を除く種目の受験に必要な実務経験は以下のようになっています。

学歴 実務経験
大学卒

専門学校卒(高度専門卒)

1年以上

(指定学科以外は1年6ヶ月)

短期大学卒

高等専門学校卒

専門学校卒(専門士のみ)

2年以上

(指定学科以外は3年)

高等学校卒

中等教育学校卒

専門学校卒(専門課程のみ)

3年以上
その他 8年以上

2級の第一次検定に合格し、建設機械施工管理技士の受験資格は次のようになっています。

学歴 実務経験
大学卒

専門学校卒(高度専門卒)

受験する種別で6ヶ月以上かつ他の種別を含む実務経験一年以上

(指定学科以外は、受検する種別で9ヶ月以上かつ他の種別を含む実務経験1年6ケ月以上)

短期大学卒

高等専門学校卒

専門学校卒(専門士のみ)

次のいずれかの実務経験

①受検する種別で1年6ヶ月以上

(指定学科以外は2年生以上)

②受検する種別で1年以上かつ他の種別を含む実務経験2年以上

(指定学科以外は、受検する種別で1年6ヶ月以上かつ他の種別を含む実務経験3年以上)

高等学校卒

中等教育学校卒

専門学校卒(専門課程のみ)

次のいずれかの実務経験

①受検する種別で2年以上

(指定学科以外は3年以上)

②受検する種別1年6ヶ月以上かつ他の種別を含む実務経験3年以上

(指定学科以外は、受検する種別で2年3ヶ月以上かつ他の種別を含む実務経験4年6ヶ月以上)

その他 次のいずれかの実務経験

①受検する種別で6年以上

②受検する種別で4年以上かつ他の種別を含む実務経験8年以上

 

施工管理技士2級を取得するメリット

  • 年収増加を期待できる
  • 主任技術者として活動できる
  • 転職を行う際にも有利

年収増加が期待できる

一般的な作業現場の方の平均年収は380〜400万円の間であるとされていますが、施工管理技士の方の平均年収は590万円と200万円近く違います。

もちろん、資格をとると必ず年収が上がるという訳ではありませんが、役職の高い業務に携わりやすかったり、専門的な知識を活かして活躍することで年収1000万円も狙えます。

施工管理自体は資格がなくてもできる仕事なので、業界未経験の方でも施工管理の仕事に携わることはできます。

資格の有無によって平均年収がおよそ200万円も変わるため、施工管理職としてキャリアアップ・年収アップを狙うのであれば、資格の取得すべきだといえます。

さらに、規模の大きな会社であれば海外赴任をする機会もあり、海外赴任手当の至急もあることから大幅な年収アップを見込めます。

主任技術者として活動できる

2級施工管理技士を取得すると建設現場において主任技術者になることができます。

建設工事をする場面において、請負金額の大小、元請・下請に関わらず工事現場ごとに必ず主任技術者をおく必要があります。

主任技術者は現場メンバーに比べ任せられる業務内容が増え、責任感ややりがいも大きくなります。

スキルアップを狙うこともでき、主任技術者になると一時金が支給されたり、資格手当が就くなど金銭面でのメリットも期待できます。

転職を行う際にも有利

施工管理技士は建設現場において様々な場面で役割を担い、公共工事の入札においても資格を持っている方だいるだけで会社の評価があがり有利になります。

1級施工管理技士は5点、2級施工管理技士は2点として評価されます。

また、実際の現場では建設現場の指揮官として仕事を行いながら仕事をしていることから現場をまとめるリーダーシップ力やコミュニケーション力を兼ね備えていると評価してもらいやすくなります。

まとめ

本記事では施工管理技士2級と施工管理技士1級の違い、施工管理技士のそれぞれの業務内容や施工管理技士補について紹介してきました。

施工管理技士1級と施工管理技士2級の主な違いは担当できる工事規模の大きさで、建設業法の規定によって特定建設業法が元請として外注総額4500万円以上となる工事を発注者から直接請負場合、施工管理技士1級を取得する必要があります。

さらに、施工管理技士の中でも高度経済成長期に一斉に整備された道路やトンネルといったインフラを担当する土木施工管理技士は今後高い需要が見込まれます。

施工管理技士2級は、一夜漬けでの試験合格は難しいですが毎日一日2時間勉強するだけでも1ヶ月で合格を狙えます。