cadはものづくりの工程で、平面的・立体的に描くものがあり、これらを使って図面や完成予想図を作成する人はCADオペレーターと呼ばれています。
多くの場面で使用される汎用ソフトだけでなく、業界に特化した建設設計や土木設計に使うCADや回線図や製図などに使用する電気・電子系CADなどもあります。
使用するソフトが変わることや専門知識が求められることがあることから、CADオペレーターの年収は業界や雇用形態によって異なります。
専門知識を活用して、設計だけでなく修理・改修時に役立つ仕事であるためやりがいを感じられる仕事ですが、CADオペレーターはやめた方がいい、といった記事もあります。
以下では、CADオペレーターの年収の違いを業界ごとで紹介しつつ、なぜCADオペレーターがやめた方がいいのか?と言われるのか解説していきます。
CADオペレーターの年収
CADオペレーターも正社員だけでなく派遣での働き方があるため、就業形態・どの業界のCADオペレーターとして働くのかによって年収が変わります。
雇用形態ごとの年収の違い
CADオペレーターには正社員、派遣社員、アルバイトの3つの雇用形態があり、年収は雇用形態によって異なり、およそ下記の表のようになることが多いです。
正社員 | 300万円〜500万円 |
派遣社員 | 240万円〜360万円 |
アルバイト | 時給1000円〜1700円 |
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、CADオペレーター正社員の全国平均賃金は452万円とされています。
経験やスキル、特定のCADソフトだけでなく複数のソフトを利用できると年収のアップを期待できます。
また、有効求人倍率は1.10倍となっており1人の求職者に対して1.10件の求人があるということなので、企業からのCADオペレーターの需要が高いと考えられます。
【参照】CADオペレーター|「職業情報提供サイトjobtag」
派遣社員の平均的な月給は20万~30万で年収換算すると240万~360万ほどです。
派遣社員の平均年収は約382万円なので派遣の収入は一般的にやや低めです。
ただし、派遣の雇用形態の特徴は、即戦力として活躍できる機会が多いことなので未経験や経験が浅い方でも即戦力として様々なプロジェクトで経験を積み、できる事が増えていくことで正社員として働き始めるための第一歩とすることもおすすめです。
アルバイトの平均時給は1000~1700円で幅があります。
ですが高時給の場合は見取り図や設計を1から作成できるなど高い技術力を必要とされます。
しかし未経験でも専門的なスキルを必要としない募集がたくさんあるので経験を積みたい未経験の方や経験を積みたい学生の方にお勧めです。
働く業界によってもCADオペレーターの平均年収が違う?
CADオペレーターはソフトウェアを使って図面作成や設計変更の反映などを行います。
多くの場面で使用される汎用性の高いソフトがありますが、建物を建てる際など視覚的にわかりやすく設計するため3Dモデルや、回線図などを作るため電気・電子系に特化したソフトがあります。
そのため、どのCADソフトウェアを使えるかによっても年収に差が生じます。
建築業界
平均年収: 約300万円~500万円
年収に幅がある理由: 建築業界では、未経験者の初任給が低めに設定されることが一般的です。しかし、経験を積むことで年収が大きく上昇します。例えば、数年の経験を経て昇進や昇給があり、年収が増加することがよくあります。
資格の有無: 建築士(一級・二級)や施工管理技士などの資格は、設計から施工までの広範なスキルを証明します。
資格の役割
建築士 | 一級建築士や二級建築士の資格は、建物の設計や監理を行うために必要不可欠です。これにより、高度な専門知識と技術が認められ、年収が向上します。 |
施工管理技士 | 施工管理技士: 施工管理技士の資格は、建設工事の現場監督として重要な役割を担います。この資格により、現場での管理能力が評価され、年収が高めに設定されることが多いです。 |
求人状況: 建築業界は、大規模な建設プロジェクトや都市開発、インフラ整備など、多くの人材を必要とするため、求人が多く、安定した職業機会が提供されます。そのため、未経験者でも挑戦しやすい業界です。
電気業界
平均年収: 約450万円~650万円
年収に幅がある理由:電気業界では、経験が豊富な技術者ほど高年収を得やすい傾向があります。経験年数が長いほど、複雑な電気設備の設計や管理を担当する機会が増え、年収が上昇します。
資格の有無: 電気工事士や電気主任技術者の資格を持つことで、より高い年収が期待できます。これらの資格は、電気設備やインフラの設計・管理に関する専門的な知識と技術を証明するものです。
業界の特徴: 電気業界は、電気設備やインフラの設計・管理に関わるため、責任が重く、その分報酬も高めに設定されています。高度な専門知識が求められ、資格や経験に応じて年収が高くなる傾向があります。
機械業界
平均年収: 約400万円~600万円
年収に幅がある理由: 技術革新が進む機械業界では、経験豊富な技術者や専門性の高いスキルを持つ人が高年収を得やすいです。長年の経験や高度な技術が評価されるため、年収の幅が広い傾向があります。
資格の有無: CADオペレーターや機械設計に関する資格を取得することで、専門的なスキルが認められ、年収が上がる傾向があります。これらの資格は、機械設計や製図、技術管理に関するスキルを証明します。
業界の特徴: 機械業界は、技術革新が進んでおり、高い専門性を持つ技術者が求められています。技術の進展に応じたスキルを持つことで、年収の向上が期待できます。
土木業界
平均年収: 約350万円~550万円
年収に幅がある理由:土木業界では、地域やプロジェクトの規模によって年収に大きな変動があります。大規模なプロジェクトに関わることで、高い年収が期待できます。
資格の有無: 土木施工管理技士の資格を持つことで、キャリアアップが図れ、年収も高めに設定されることが多いです。資格によって、土木工事の管理能力が評価されます。
業界の特徴: 土木業界は、大規模プロジェクトが多く、地域によって異なる需要があります。資格や経験を持つことで、安定した収入を得ることができます。
製造業界
平均年収: 約430万円~600万円
年収に幅がある理由: 生産ラインの管理や技術者としての経験が年収に大きく影響します。経験が豊富なほど、高い年収が得られる傾向があります。
資格の有無: QC検定(品質管理検定)や生産管理技士の資格を取得することで、工場内での品質管理や生産効率の向上に貢献でき、年収が上昇することが期待されます。
業界の特徴: 技術革新に対応するためのスキルを持つ技術者が求められています。特に機械保全技能士や電気工事士などの資格を持つ技術者は、メンテナンスやトラブルシューティングの専門知識を活かして、安定した高収入を得ることが可能です。資格取得によるキャリアアップが年収の向上につながります。
CADオペレーターが年収が業界によって変わる理由
先ほど、CADオペレーターの年収が業界ごとで使用するソフトの違いによって年収が変わることをお伝えしました。
ですが、業界による影響によっても年収の違いが生じます。
その他にも、専門性が高い建築業界や電気業界は企業による需要が高いことや、危険性を孕んでいるための専門性もあるため年収が高くなりやすいです。
CADオペレーターとして働くとき企業の選び方
CADオペレーターとして働く会社を選ぶ際は、年収と労働環境についての情報をチェックしましょう。
CADオペレーターという仕事は経験とスキルが明確に反映される仕事です。
未経験の場合は収入は低いですが資格のある方や業界経験の高い方は収入も上がってくるので基本給やボーナスが適正か、また昇給制度が明確で頻度や昇給額が十分かどうかを確認することが大切です。
こちらの情報を得るためには、会社の口コミやその会社に勤めている人のSNS(LinkedInなど)を確認するのが最適です。
口コミやSNSでは、実際にその企業で働いている方の生の意見や感想を知ることができるため、企業の雰囲気や実際の働き方について、公式情報や求人広告とは異なるリアルな情報を得ることができます。
これにより、企業のイメージがどれほど実際の状況と一致しているかを把握しやすくなります。
さらに、企業の安定性と将来性も重要なポイントです。業績が安定しており、今後の成長が期待できる企業で働くことで、安心してキャリアを積み重ねることができます。
cadオペレーターが向いていない人の特徴
営業職は目の前の人に対して営業をかけていくため、常に人と向き合いながら仕事をします。
ですが、CADオペレーターは図面を作成する仕事がメインであるため、常に人とコミュニケーションをとりながら行う仕事ではありません。
注意力が散漫
CADオペレーターの仕事では、設計図面やモデルの寸法、部品の配置など、細部にわたって正確な作業が求められます。
わずかなミスでも製造や建設に深刻な問題を引き起こす可能性があり、注意力が散漫であると設計ミスが生じるリスクが高まります。
設計ミスが発覚した場合に修正作業が必要になることはありますが、各工程には厳格な納期が設定されており、プロジェクトの進行中に日程を簡単に変更することは難しいです。
したがって、最初からミスのない設計が求められ、高い注意力が不可欠です。
計画性がない
プロジェクトには厳格なスケジュールと計画が不可欠です。
CADオペレーターは、各工程で納期を守るための詳細な作業計画を立てる必要があります。計画性がないと、進捗状況を適切に管理できず、納期に間に合わせるための調整が困難になります。
設計や修正のスケジュールも逆算して計画する必要があり、計画性が欠如するとプロジェクト全体のスケジュールに遅延が生じる恐れがあります。
技術的な興味がない
CADオペレーターの仕事は、高度な技術やソフトウェアを駆使して行い、AutoCADやSolidWorksなどのCADソフトウェアを使いこなして図面を作っていきます。
それぞれのソフトによって操作方法が異なったり、業界ごとで使用されやすいソフトウェアが異なります。
技術に対する興味がないと、新しいソフトウェアや技術の習得に対するモチベーションが低くなり、業務の効率が落ちる可能性があります。
技術に対する好奇心が不足していると、最新の技術やツールに適応できず、仕事の質や生産性に悪影響を及ぼすことがあります。
チームワークが苦手
CADオペレーターは、プロジェクトチームの一員として協力し合う必要があります。設計図面の共有やフィードバックのやり取り、チーム内での情報共有が求められます。
チームワークが苦手だと、コミュニケーションの不備や協力の不足が生じ、プロジェクトの進行に支障をきたすことがあります。
特に大規模なプロジェクトでは、他のメンバーと連携しながら作業を進めることが成功の鍵となります。
変化に対応できない
CADオペレーターの仕事では、技術やプロジェクトの要件が頻繁に変わることがあります。
たとえば、新しい設計要件の追加やソフトウェアのバージョンアップなどです。
変化に対応できないと、新しい要件や技術に適応できず、仕事の効率が低下します。柔軟に対応する能力が欠けると、変化に遅れが生じ、プロジェクト全体の成果に悪影響を与える可能性があります。
cadオペレーターがホワイトと言われる理由
CADオペレーターは建設業界や製造業、インテリア業界など幅広い業界で必要とされています。
ソフトウェアの操作性が容易になったり、AI技術の進化に伴いCADオペレーターの需要や重要性が薄まるのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実際、 cadオペレーターとして働く会社はリモートワークを許可していることも多く、そうした会社で働いていると自分が働きたい場所で働くことができます。
柔軟な働き方がしやすい
CADオペレーターは、プロジェクトに合わせたフレキシブルな働き方が可能です。
多くの業務はデジタルで完結できるため、働く時間や場所の調整がしやすく、ワークライフバランスを保ちながら効率よく働けます。
在宅でも働けるため、給料の高い企業で働く選択肢がある
CADオペレーターの仕事は、基本的にPCとソフトウェアがあれば遂行できるため、在宅勤務が可能です。
よって地方に住んでいる方でも、都市部の企業でリモート勤務や全国規模のプロジェクトに参加することで、高い平均年収を実現し、より大規模な案件に関わるチャンスが広がります。
施工管理に比べて体力的負担が少ない
CADオペレーターの業務は主にデジタルデザインと設計が中心であり、現場での重作業や長時間の立ち仕事が少ないため、体力的な負担が比較的軽いです。
CADオペレーターは未経験は難しい?
CAD オペレーターは専門職であることや、業界に対する知識が求められることからも未経験で働くことは難しいのでは?と思われがちです。
ですが、20代や30代の方であれば、未経験からの就職も狙えることができ長期的なスパンによるキャリア形成が期待できます。
CADが未経験の場合難しい?と言われる理由
CADオペレーターの仕事に未経験から挑戦するのが難しいとされる理由はいくつかあります。
未経験者はこの学習曲線が急であるため、短期間で習得するのが難しいと感じることがあります。
さらに、CADオペレーターの仕事は高い精度と詳細な設計図面の作成が求められます。
実務経験がないと品質の維持や効率的な作業が難しい場合があります。
設計業務の流れや業界の特性を理解するためには、実際の業務を通じての経験が不可欠であり、このギャップを埋めることは大きな挑戦です。
CAD未経験者で仕事を見つけるには
未経験からCADオペレーターとして仕事を見つけるためには、いくつかの戦略が有効です。
- 基礎知識とスキルの習得: CADソフトウェアの基本操作を学ぶために、オンラインコースや専門学校の講座を受講することが重要です。実際の業務で使われるツールやテクニックを理解することで、求人応募時に自信を持つことができます。
- ポートフォリオの作成: 小さなプロジェクトやサンプル作品を作成し、ポートフォリオとしてまとめることで、スキルを実際に示すことができます。これにより、雇用者に対して自分の能力を証明しやすくなります。
- 関連する資格の取得: CADに関連する資格や認定を取得することで、専門性を示し、履歴書に強いアピールポイントを追加できます。資格は、未経験者でも業界に対する意欲を示す有力な証拠となります。
- インターンシップやエントリーレベルのポジションを探す: CADオペレーションの経験が積めるインターンシップやエントリーレベルの職を探すことも効果的です。これらのポジションは、未経験者に対してトレーニングを提供し、実務経験を積む機会を与えてくれます。
- ネットワーキングと業界イベントへの参加: 業界のイベントや勉強会に参加し、プロフェッショナルとのネットワーキングを行うことで、求人情報やアドバイスを得る機会が増えます。これにより、未経験者でも仕事を見つけるチャンスが広がります。
未経験からCADオペレーターとしてキャリアをスタートするのは挑戦が多いですが、適切な準備と戦略を立てることで、成功する可能性を高めることができます。
まとめ
本記事ではCADオペレーターという仕事に対してやめとけと言われることがあるのはなぜかを中心に紹介してきました。
CADオペレーターは、専門職であり様々な業界からの需要が高く自宅など働く場所を選びやすいためライフワークバランスを重視している方におすすめの仕事であると言えます。
ですが、未経験の方や経験が浅い方の場合はソフトウェアの操作法に加え、扱うCADの業界に対する知識も求められるため多くの勉強量が求められるため生半可な気持ちだと「CADオペレーターはやめとけ」や「CADオペレーターはきつい」と言われることがあります。
業界の中でも建設業や製造業は市場規模が大きく、人材不足が深刻化しています。
特に建設業界は人々の生活を支えるインフラの部分を担当し、設計という”はじまり”を担うのでやりがいを感じやすいはずです。