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一級建築施工管理技士の合格率とは?すごいと言われる資格難易度とは

建築施工管理技士は建設業法第27条に基づき、国土交通大臣指定機関が実施する国家資格の一つです。

建築施工管理技士だと住宅や商業施設、オフィスビルなどの建築物の建物の建設や改修工事、図面に基づく施工管理を行うなど建築プロジェクトにおいて欠かせない役割を担います。

建築工事の品質・安全性を確保することを担っている事からも建築施工管理はすごいとされます。

建築施工管理技士は、2級と1級があり1級建築施工管理技士の方が難易度が難しいとされるため、ストレートで合格できるのだろう?と疑問を抱えている方も多いはずです。

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本記事では1級建築施工管理技士の資格の難易度・ストレートでも合格を狙えるのか紹介していきます。

一級建築施工管理技士の資格の難易度

一級建築施工管理技士は鉄筋・大工工事・内装の仕上げ工事など建築工事全ての施工計画を作成し、現場での工程管理・品質、安全面の指導を行い建築物における重要な技術資格です。

建築施工管理技士には一級建築施工管理技士と二級建築施工管理技士が存在しますが、二級建築施工管理技士に比べ、できる事・責任感が増し、資格取得のための難易度も高まります。

一級建築施工管理技士の合格率

一級建築施工管理技士検定は建築工学、建築材料学、施工管理術学、法規、安全管理など多岐に渡る分野が含まれ、筆記試験と施行計画の作成や問題解決能力が評価される実務的な問題の実地試験の二部構成です。

得点の60%以上が合格基準とされており、広範な知識と実務経験が必要とされることから、1級建築施工管理技士の合格率は、例年40%から50%の間で難易度が高いといえます。

国土交通省が発表している、令和4年度の2次検定合格率は45.2%(受験者数13,010人、合格者数5,878人)となっています。

1級建築施工管理技士の検定は1次検定を合格した方が2次検定に進む仕組みであるため、実際の合格率を考えるにあたっては1次検定の合格率も考慮する必要があります。

令和4年度の1次検定合格率は46.8%(受験者数27,253人、合格者数12,755人)という結果から、令和4年度の検定をストレートで合格した方は全体の2割から3割程度であると推測されます。

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このことからも、1級建築施工管理技士という資格を得ることは“すごい”ことであり、国家資格の中でも難易度は高いと考えられています。

一級建築施工管理技士にいきなりなれる?受検資格とは

一級建築施工管理技士には一定の実務経験・試験資格が求められるため、建築施工管理技士未経験の方がいきなり一級の資格を取得することはできません。

実務経験・試験資格は学歴や実務経験によっても変動し、いきなり1級建築施工管理技士になることができないのが実情です。

一級建築施工管理技士に最短で受験したいと考えた場合、建築系で指定学科の大学を卒業し、3年以上の実務経験を積む必要があります。

高卒者の方だと指定学校卒業後に8年以上指定学科以外では11年以上の実務試験が求められます。

実務経験についても「従事した立場」であるかが重要で、【施工管理】・【設計監理】・【施工監督】の3つの立場のいずれかで建築工事の実務経験を積む必要があります。

施工管理 受注者(請負人)の立場で施工を管理(工程管理・品質管理・安全管理等)した経験
設計管理 設計人の立場での工事管理業務の経験
施行監督 発注者側の立場で現場監督等としての工事管理業務の経験

 建築工事の経験が豊富であっても、作業員としての実績しかない場合は実務経験として認められないことに注意が必要です。

一級建築施工管理技士の出題傾向

1級建築施工管理技士検定は1次検定、2次検定から構成されています。

1次検定の解答時間4時間30分で、全体72問から60問を選択して解答する形式(その内26問は必須問題)となっています。

令和3年度以降は新試験制度により、四肢択一の問題だけではなく、1問につき2つの回答が必要な応用能力問題が新設されています。

1次検定の問題構成は大きく6つのジャンルで分けられ、それぞれ次の特徴があります。

建築学 15問の出題のうち12問を解答するため、全体の解答のうち2割を占めています。学問的な内容で、設計業務や学校での専門的な学習経験がない場合、理解に時間を要する分野です。
設備その他 必須問題として5問の出題となります。問題数が少ないわりに設備・外構工事・積算まで幅広く出題され、高得点は難しい分野です。頻出の定番問題を覚えて、確実に得点できる状態を作り出す戦略がよいとされる分野です。
施工 19問の出題があり、14問の解答が必要です。建築工事の各工種が対象で、広範囲から出題されています。問題選択の自由度が高いため、受検者の専門工種や得意な工事に絞り込んだ学習で得点率をあげることができる分野です。
施工計画 5問の必須問題として出題されます。事前調査、仮設設備、資材管理、届出、工事計画といった幅広い内容ではありますが、頻出問題が限られているため解答がしやすい分野となります。
施工管理法 16問の全問が必須解答であり本検定においては大きなウェイトを占めています。工程管理・品質管理・安全管理の他に、令和3年度から新設された応用能力問題が出題されています。施工管理の要ともいえる内容であるため、全範囲をしっかりと学習しなければならない分野となります。
法規 12問の出題で8問の解答が必要になります。幅広い関連法令から出題され、用語・数値といった暗記による対策が可能です。頻出条文は限られていて、傾向がつかみやすいのも特徴です。専門的な知識がなくても正解できる範囲のため、短時間の学習でも得点率をあげることができる分野です。

2次検定の解答時間は3時間、全6問のうち、4問が記述問題、2問が五肢択一の出題となっています。出題傾向は以下のようになっています。

施工経験に基づく記述問題 主な出題テーマは、「品質管理」「施工の合理化」「建設副産物対策」の3種類です。

出題テーマは毎年1種類ずつ出題されており、建築現場で経験した内容や実際に行った施策などについて記述して解答します。前年度に出題されたテーマは翌年度の問題に出題されにくいこともあり、過去3年ほどの出題傾向を確認することで重点的に記述の準備をすることが可能な問題となります。

安全管理または仮設物の設置計画についての記述問題 出題テーマは、主に3種類のうちいずれかで「仮設物の設置計画」「災害防止対策」「設備・機械の安全な使用」となります。

記述する内容について、日常点検や朝礼時の注意喚起などは除外するように指示があるため、解答は具体的な設備名や手順を記述する必要があります。過去問や問題集などで対策はできるものの、実際の経験を基に法規・規格・手順を理解して対応しているかを確認される問題となります。

工程管理に関する記述問題と穴埋め問題 バーチャート工程表、またはネットワーク工程表の読み取りや計算問題が出題されます。

ネットワーク工程表については、用語や計算式の知識がなければ解答ができない内容となっていますが、逆を言えば学習さえしていれば対応ができる問題となっています。

躯体工事、仕上げ工事に関する記述問題、または五肢一択問題  問題4,5に該当する内容となりますが、記述問題と五肢一択問題が毎年、入れ替わる傾向があります。受検する年度でどちらの内容が記述問題となっているかを確認することで、検定当日に慌てず対応することができます。

問題内容としては、工法や材料、施工上の留意事項などの知識を問われるため、1次検定で学習した内容をしっかりと復習しておくことで対策することができます。 

法規に関する五肢一択問題 建設業法、建築基準法施行令、労働安全衛生法より、各1問ずつ出題されます。条文の穴埋めが主な出題傾向ですので、文脈を読むことで解答することが可能な場合もありますが、数値を記憶していないと解答できないものもあるため注意が必要です。

一級建築施工管理技士の応用問題では足切りがある?

令和3年度の施工管理技士試験制度の変更に伴い、一級施工管理技士の第一次試験において足切り問題ができました。

試験制度が変更される前は、試験全体の60%以上の得点で合格できていました。ですが、新しいルールでは施工管理法の特定の部分においても合格基準を満たす必要があります。

足切り問題の導入は施工管理士の第一次検定の合格者が施工管理技士補としての資格を得るためのもので、監理技術者補佐としての能力を判定するため、問題が追加されました。

これまでの、一級施工管理技士の第一次試験では、正答率を満たせば合格できていました。

一級建築施工管理技士だと何ができる?

一級建築施工管理技士は、大型の商業施設や高層ビル、特殊な構造を持つ建築物の計画、設計、施行そして管理の各段階の安全面の管理など高い注意と専門性が要求されます。

こうした専門知識・経験が求められるだけでなく、法律によって各現場に施工管理技士が必要になること、施行管理技士がいると案件を受注しやすいことなど企業にとってもメリットがあります。

監理技術者に登録できる

1級建築施工管理技士の資格を取得することで、建設業法で定められた監理技術者に登録することができます

建設工事を行うにあたり、元請負の特定建設業者は発注者との下請契約の請負代金総額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)になる場合にあっては当該工事現場に専任で監理技術者を配置することが建設業法では定められています。

高額な工事を請負うためには1級建築施工管理技士の有資格者が必要なこと、専任としなければならないことからも、企業は事業規模に応じて1級建築施工管理技士の人数を一定数確保しなければなりません。

主任技術者として工事現場を担当できる

建設業許可をもつ建設業者は、工事現場の規模や、下請け・元請に関係なく、現場の技術担当者として主任技術者の配置を行う必要があります。

その際、1級建築施工管理技士の資格があると主任技術者として工事を担当することが可能となります。

なお主任技術者になるための資格については1級建築施工管理技士の他、各工種の技能検定や2級建築施工管理技士、実務経験年数(学歴による)でも可能になるため監理技術者よりもハードルは低い役職となります。

建設業許可取得に必要な専任技術者になれる

建設業許可を取得するためには、専任技術者を営業所ごとに配置することが必要です。

1級建築施工管理技士は17業種の専任技術者になることができ、電気工事施工管理技士や管工事施工管理技士が8業種であることを考えると、他の国家資格に比べて優位性があると言えます。

建築工事一式のみ建設業許可をもつ建設会社は、リフォーム工事や修繕工事で発生する単体の内装工事や外壁工事は、請負金額が500万円以上(消費税込み)の場合、請け負うことができません。

特定の工種の専門工事業者として営業している会社でなければ、高額なリフォーム工事などを受注することを想定し、建設業許可の工種を追加しておくことで、ビジネスチャンスを拡大させることが可能になります。

一級建築施工管理技士が担当するプロジェクトの例

請負金額が7,000万円以上の建築一式工事において監理技術者として担当するプロジェクトとして代表的な例は以下の3つになります。

分譲マンション

中層から高層のマンションで、鉄筋コンクリート造や鉄骨造を主に扱う工事現場を担当します。

住宅の建設ということもあり、発注者・設計者・エンドユーザー(住宅購入者)と密に関わり、竣工後には1年点検や2年点検といった一般的な点検を担当することもあるため、実際に作ったものの利用を目の前で適切な施工管理を行い、1級建築施工管理技士としての技術者倫理をもって建設工事に従事することが重要となります。

住宅購入者のニーズや要望に対して、どのように改善するかなど積極的に自分たちのアイデアを取り入れてもらえる企業も多くやりがいを感じやすい仕事で、関係者との連携により幅広い経験を積むことができます。

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大規模な工事になるため、研修制度が従実していることが多く未経験者の方でも教育制度が充実した環境でわからないこと・不明点があっても成長しやすいです。

大規模な工場

精密機械工場や食品工場など敷地面積が大きく、製造プロセスの効率化のため複雑になりがちな大規模な施設の建設工事を担当します。

主に鉄鋼造による短い工期の工事となり、躯体工事に着手するまでの綿密な打ち合わせ・発注者・関連設備工事業社と行う必要です。

工場は住宅・分譲マンションなどとは異なり、外観がシンプルなものが多いですが、工事計画や工法の選定・工夫によって多くの利益を上げることができます。

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1級建築施工管理技士としての技術力を存分に発揮できる現場といえます。

公共施設

図書館や役所、学校といった地域のランドマークにもなる建物は地方自治体や各省庁などが企業に依頼して作られます。

民間企業から発注される工事に比べ規模が大きくなりやすく、コスト管理・品質管理、下請業社との適切な契約がなされていることが重視され、専門性の高い知識を持っている一級建築施工管理技士が求められます。

工事完了後の工事成績評定が点数化され、各建設会社としての評価が数値として表されるため担当する施工管理技士の責任も重くなります。

業界内における一級建築施工管理技士の重要性

建設業界において、一級建築施工管理技士は建築法規に関する規制を尊守し法的な問題が発生しないよう管理することや、地盤の問題、騒音・振動など環境的問題など突発的なトラブルへの解決策が求められます。

こうした様々なトラブルに対して迅速かつ柔軟な解決策の提供、法律面から建築物に関連する人々の安全を監督しているため高い評価を受けています。

職場での役割・責任

建設現場の施工管理を行う”現場監督”、その業務は多岐にわたります。

その中でも根幹となる4つの役割ついて知識・能力を有していることを証明するのが、1級建築施工管理技士の資格です。

職場においては4つの役割について技術的な責任者として、下請業者への指導を行うことも業務に含まれていますので、社会的責任も大きな資格といえます。 

4つの役割は以下のような内容です。

施工管理 工事の進捗管理
品質管理
安全管理
図面の解釈 建築設計図の解釈
設計変更の対応
協力会社との連携 下請け業者との連携、調整
法令遵守 建築に関する法令・規制の遵守

 上記で示した4つの役割は施工管理の業務で求められる項目のQCDSEと強い関わりがあります。

QCDSEとは管理項目の頭文字を並べたもので、Quality(品質)、Cost(原価)、Delivery(工期)、Safety(安全)、Environment(環境)がその中身となります。

具体的なメリット

1級建築施工管理技士であることのメリットは大きく2つあります。

1つ目のメリットは公共工事を入札する際に行われる、経営事項審査の評価点に加点されることにあります。

建設業者の経営規模や技術力、経営状況などを審査するもので、公共工事の入札に参加する際の審査で用いられる点数です。

元請の建設会社を経営する立場からすると、より多くの1級建築施工管理技士が所属している会社を運営できれば、公共工事の入札機会が増える可能性が高まります。

公共工事は民間団体の工事に比べ大規模になることが多く、高単価になりやすいことから企業は優先して有資格者の一級建築施工管理技士の採用を進めようとします。

2つ目のメリットは転職が有利になることです。

前述の通り、企業としても1級建築施工管理技士を有する人材を獲得することが、会社経営のために重要です。

現在、建築業界全般的に人材が不足していることもあり、企業が1級建築施工管理技士を採用するため年収面・福利厚生といった部分で差別化しようとします。

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営業として転職する場合においても、建築の知識がある前提での活躍が見込まれることから即戦力と判断されることになります。

資格を取得することによるキャリアの道

建築施工管理技士の資格を取得することは、監理技術者として現場の技術責任者になるために必要な資格であるとともに、施工管理のプロフェッショナルとして社会的な信頼を得るステップとして重要なことです。

資格取得のための難易度が高いため、建設業界で働いている方に比べ高い年収オファーが期待できますが、資格を有しているだけで年収を上げることは難しいです。

中堅から大手ゼネコンなどに転職する場合には、1級建築施工管理技士としての実務経験の有無が採用時の判断基準になっていることが多いです。

現状、建設業界は深刻な人手不足に直面しており、即戦力の人材確保を進めたいと考えている企業が多いため、資格を取得し経験を積むことでキャリアアップに繋げることができます。

まとめ

本記事では一級建築施工管理技士の資格の難易度・合格率を紹介してきました。

一級建築施工管理技士は、大工工事・内装の仕上げ工事など建築工事全ての施工計画を作成し、現場での工程管理や品質・安全の指導を行います。

筆記試験と施工計画の作成や問題解決能力が求められ、合格率は例年40〜50%前後と難易度が高い資格だと言えます。

一級建築施工管理技士は一定の実務資格が求められるため、いきなり一級建築施工管理技士になることはできませんが、二級建築施工管理技士の資格を取得し、徐々にキャリアアップを目指すことを意識しましょう。