施工管理は、建設業界において重要な役割を果たしますが、近年では施工管理の人手不足が問題となっており、多くの企業が施工管理者を求めています。
キャリア形成や生活の質にも大きな影響を与えるため、職場選びは非常に大切です。
施工管理でホワイト企業に就く重要性
社会人になると生活の中で仕事に時間の多くを費やすことになり、生活の大半を仕事に費やすことになります。
一度退職すると、安定的にスキルを積み重ねる機会を失いキャリアアップの道が閉ざされる可能性もあるため、慎重な企業選びが欠かせません。
人間関係や職場環境が悪い職場では、過度な身体的・精神的な負担がかかり、ストレスや健康問題に発展することがあります。
一方で、育児休暇や産休といった制度が整っている企業もあり家庭との両立が可能になります。
育児休暇や産休といった制度が整っていると、子供の成長を見守って平日の授業参観に参加できたりと子育てと家庭のケアを並行してキャリアを継続できる環境もあります。
そのため、柔軟に働くことができる制度や環境は自分たちの生活リズムやライフスタイルに合わせて労働時間を調整でき、モチベーションの維持や職場での満足度の向上に繋がっていきます。
施工管理のホワイト企業の見極め方
「施工管理の仕事は忙しい!」「施工管理は大変!」と言われることが多いのではないでしょうか?
確かに施工管理は責任の大きな仕事ですが、1現場を何人で進めていくか全て自分で責任を追う必要があるか、のように職場環境次第で働きやすさが変わります。
ホワイト企業を選ぶことで、過度なストレスや人間関係で悩む職場から離れ自分の時間を大切にしながらキャリアを築くことができるので、ここからは施工管理職において「ホワイト企業」を見極めるための具体的なポイントを紹介します。
ホワイトな企業の見極め方①企業がホワイト企業の認定を受けているか確認する
ホワイト企業の認定を受けているか確認する方法として、厚生労働省が認定している「安全優良企業認定 ホワイトマーク」というホワイト企業であることを証明するマークがあります。
安全衛生優良企業とは、労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善しているとして、厚生労働省から認定を受けた企業のことです。 この認定を受けるためには、過去3年間労働安全衛生関連の重大な法違反がないなどの基本事項に加え、労働者の健康保持増進対策、メンタルヘルス対策、過重労働防止対策、安全管理など、幅広い分野で積極的な取組を行っていることが求められます。 |
参照:厚生労働省「安全衛生優良企業公表制度について‐安全衛生優良企業とは」
つまり、厚生労働省が実施している制度を満たし労働者が安心して働ける環境づくりに力を入れていると認められた企業が受け取ることができるマークです。
労働災害の低発生率、安全衛士絵管理体制の整備、教育・訓練の実施、働き方改革への対応の条件が設けられており、安全に働けキャリアアップの部分も支援しているため、労働者がより良い環境で働けるような環境づくりへの取り組みが行われています。
ホワイトマークを認定されているということで、「社員の生産性が向上していること」や「他の企業との仕事が入ってきやすいこと」が考えられます。
企業全体に好循環が生まれており、良い労働環境であると理解できます。
ホワイトな企業の見極め方②施工管理の若手の成長機会が設けられているか
施工管理としてキャリアを上げるためには、資格を取得し多くの経験を積むことが求められます。
研修制度が充実している企業では、資格取得のための勉強時間の確保や、指導、自社で模試を行うなど若手社員にサポートを行っている企業もあります。
企業にサポートしてもらえる環境下であれば、キャリアの初期段階でスムーズにスキルアップが見込めます。
さらに、施工管理は資格取得のためにもスキルを身に着けるうえでも実務経験が必要不可欠です。そのため充実した研修制度を設けている企業を選ぶことがおすすめです。
施工管理の現場においてコミュニケーションが活発に行える環境であるか
工事現場ではベテラン技術者と若手社員の価値観や考え方の相違によって、円滑にコミュニケーションを取ることができないことがあります。
建設業界は人手不足であり忙しい現場環境であることがほとんどです。忙しい現場状況で、若手社員が初歩的なことにつまづいてしまうと、「上司に質問したいが聞きにくい…」といった状況に陥ってしまう可能性があります。
そのため分からないことが積み重なり、挫折に繋がってしまうことが考えられます。
建設業界に限らず、他の方に相談しにくい職場環境では未経験者・転職してきたばかりの方が数年で離職してしまいやすいです。
指導を受けながら着実に経験を積むためにも、フラットに接してくれてコミュニケーションがとりやすい企業や入社後のフォロー制度が充実している企業を選ぶことがおすすめです。
施工管理のITツールが採用されている現場であるか
ITツールが採用されている現場は、紙媒体やアナログな環境よりも業務量が減り、働き方が改善することに寄与します。
また、請求書などの帳票書類の保管も紙でなく、インターネット上で取引先ごとに管理されるようになり、修正作業が発生した時にも対応しやすくなります。
他にも、安全管理においては、作業員の健康状態を確認するツールが用いられていたり、現場にカメラを設置して作業員の様子を確認し事故の防止策が講じられています。
作業工程を管理する上で変更があった際にもデジタル媒体であれば簡単に書き換えることが可能で効率的です。
施工管理の企業が建設業働き方改革加速化プログラムを取り入れているか
「建設業働き方改革加速化プログラム」とは日本の生産年齢人口が減少している中で、建設業の担い手不足の課題にアプローチする方法として厚生労働省が定めたプログラムのことです。
プログラムの中でも、3つのカテゴリーに分けられており、詳細を下記にて紹介します。
1.長時間労働の是正
大きく分けて2つの施策に分かれています。
1つ目は、「週休2日制の導入を後押しする」ことです。公共工事や建設現場における週休2日制を設ける工事現場を拡大させ民間工事においても拡大させることを推進させる施策です。
他にも女性活躍を推進する企業など、
「働き方改革に積極的に取り組む企業を積極的に評価する」「週休2日制を実施しているモデルとなる優良な現場の見える化」といった取り組みも定められています。
国土交通省の調査報告によると、建設業全体の平均休日日数は約1.4日でした。そのため、週休2日制が実現可能であれば建設業界の中でもホワイトであるといえます。
参照:国土交通省 建設業の働き方改革の現状と課題
2つ目は「各発注者の特性を踏まえた適正な工期設定を推進する」 ことです。
工期にゆとりがない現場では業務量が短期間に集中してしまうため、過酷な環境になってしまうため適切な工期設定が行われている企業では比較的働きやすいと言えるでしょう。
2.給与・社会保険
「技能や経験にふさわしい給与を実現する」ために建設に携わる技術者の評価制度を構築することや民間発注工事における建設業の退職金共済制度の普及を関係団体に対して働きかける ことが取り組みとして挙げられます。
他にも「社会保険への加入を建設業を営む上でのミニマム・スタンダードにする」
「社会保険に未加入の建設企業は、建設業の許可・更新を認めない仕組みを構築する」といった制度もあります。
3.生産性向上
ICTを活用して、仕事を効率化することや、生産性向上に取り組む建設会社を後押しすることが定められています。
他にも技術者が今後減少することを踏まえて現場における技術者配置要件の合理化を検討することや、施工時期の平準化をさらに進めるといったことが定められています。
参照:国土交通省 建設業働き方改革加速化プログラム
施工管理のブラック企業を見分けるポイント
一方、コミュニケーション不足である環境や、過度な残業、安全手順の無視などは、劣悪な環境を示すサインとなります。
実際、建設業界では働き方改革導入の延長がされていること、プロジェクトベースで進む仕事が多く、締切や予算の制約上、長時間労働になる環境も少なくありません。
ここでは、ホワイト企業、ブラック企業の見極め方を紹介します。
離職率が高い
離職率が特に高い職場は、背後にサービス残業を強いられている、上司のハラスメントがあるなど劣悪な労働環境の問題が隠れている可能性があります。
離職率の高さの背景には様々な要素がありますが、入社後の企業文化のギャップに違和感を感じ離職する方も少なくありません。
加え、給与・労働時間、福利厚生、職場内部のコミュニケーションなどの問題がある可能性が高く、すでに働いている従業員が不満・不安を感じ継続的にその場で働きたいと思えない状態を示唆しています。
転職サイトや求人情報には企業の職務内容だけでなく、企業文化や働き方に関する情報も含まれています。面接時だけでなく、企業情報を見つける際にもその企業の雰囲気はどのような感じなのか確認するようにしましょう。
会社の規模や在籍社員の人数に対して大量募集をしている会社
新入社員を大量に採用すること自体は、ビジネスが拡大している証拠とも受け取れますが、それが会社の規模や既存の在籍社員の人数と比較して異常に多い場合は慎重に検討する必要があります。
常時大量募集している企業は、職場環境が厳しく従業員の満足度が低く高い離職率の可能性もあります。
給与に関する規定が曖昧
給与や手当、賞与に関する規定が明確でない、あるいは存在しない会社は注意が必要です。施工管理においては資格が1級、2級で分かれおり、建設・土木・管工事など多くの種類があるため資格取得者に向けた手当の有無や金額もしっかり確認しましょう。
曖昧な規定のもとでの勤務は、労働者が自らの権利を主張しにくくなるため、結果的に過労や未払い賃金などの問題に繋がりやすくなります。
SHEMでホワイト企業ランキングを確認する
SHEM(非営利一般社団法人安全衛生優良企業マーク推進機構)のWebサイトでは、ホワイト企業とブラック企業の一覧・ランキングが掲載されています。
施工管理で比較的働きやすい環境
施工管理は人手不足で、一人当たりの業務量が多くなってしまうという現状を抱えています。しかし、職場の選び方によってはゆとりをもって自分のペースで働くことができる環境も多々あります。
ここでは施工管理技士として働くおすすめの現場と働き方について紹介します。
修繕工事の施工管理
施工管理の中でも修繕工事はホワイトに働けるといわれています。
理由としては主に3つあり、建物の利用者や住人の配慮によって作業時間に制限があること、工事範囲や業種が少ないこと、修繕工事の将来性の高さです。
作業時間の制限を設けることの理由は、利用者や居住者の生活を守ることや不便を最小限に抑えるためです。
住宅やオフィスビルなど人が日常的に利用する建物の工事は作業中の安全性を確保するため時間制限が設けられています。
工事スケジュールもゆとりを持った計画が立てられることが多く、施設利用者が少ない時間など特定の一定時間帯のみに行うことが多いです。
工期に追われない、作業時間に制限があるということは時間外労働や休日出勤を強いられることが少ないといわれています。
新築工事においては土木の準備、設備、内外装などの工事が全て必要になり様々な立場の人々と協働し、幅広く工事を行う必要があります。
一方で修繕工事においては特定の部分を中心に行うため工事範囲が狭くなります。
そのため工程にゆとりをもって組むことができるといわれています。
3つ目は修繕工事の将来性の高さです。
新築工事は、工事が完了すると一定の区切りがつき、新たに仕事を得るためには新たな計画を練る必要があります。
しかし修繕工事では、建物の老朽化によって定期的なメンテナンスが必要になるため、業者との長期的な関係を築くことができ将来性があるといえます。
修繕工事は作業時間に制限があるため、短時間に集中して業務をこなすことや、居住者に被害を与えないために細心の注意を払って作業する必要があります。
新築の工事とは違った働き方が求められるため、修繕工事の特徴を知り自身の適性に合っているかしっかり確認しましょう。
派遣社員として働く
施工管理の仕事は多くの責任とともに、組織のしがらみや人間関係の問題に直面することがしばしばあります。
派遣社員として働くことは、上記のように組織のしがらみが少ないのが最大のメリットです。
正社員として働く場合、サービス残業が当たり前の職場も少なくありませんが、派遣社員はそのような環境から解放され、健康的なワークバランスを保つことができます。
他にも派遣社員は自分の希望する条件を提示することが可能です。
例えば、勤務地や休日出勤の有無など、自身のライフスタイルや家庭の事情に合わせて働くことができ、生活と仕事のバランスを取りたい人々にとってメリットであると言えるでしょう。
新しい環境に足を踏み入れる不安もありますが、短期的に勤務するため、職場における人間関係に悩むことが少なくなり、その分業務に集中することができ、質の高い仕事ができるようになります。
施工管理でホワイトな働き方を希望するのであれば改修ゼネコンもおすすめ
確かに、施工管理の仕事の多くが多忙で大変です。
しかし、ホワイトな働き方がしやすい施工管理の業種があり、施工管理の中で比較的ホワイトに働きやすい業種は改修ゼネコンです。
改修ゼネコンとは
改修ゼネコンは、マンション・構造ビルなどの改修工事を専門に行う事業者です。
マンションやビルなどの鉄骨の建設物は、年数の計毛によって起こる建物の劣化を防ぐために大規模に改修工事をする必要があります。
給排水管や鉄部の塗装工事など錆・ヒビが入りやすく、建設物各部の性能や機能を定期的にメンテナンス・グレードアップすることで、建物の老朽化防止・快適な生活のために必要です。
改修ゼネコンがホワイトな働きしやすい理由
改修ゼネコンは新規で大規模改修工事やメンテナンス事業を中心的に行い収益を得ているため、新規で建物を建てる場合に必要な作業数よりも少なく、納期も比較的優しめに設定されていることが多いです。
さらに、改修工事では既に人が住んでいる建物の工事を行うため、居住している人が快適に生活で着るように早朝や夜間の作業が禁止されていることが多いです。
作業時間が制限され、作業量が抑えられているため、スケジュールにゆとりを持ってホワイト企業のように働くことができることは改修ゼネコン施工管理の魅力です。
さらに、マンション数は増加しており、2022年末で築40年以上のマンションはおよそ125.7万戸存在し、8年後の2024年いはおよそ1.4倍、2034年には3.5倍に増加する見込みだとされています。
今後も築年数の古いマンション数が増加すると予想されるため、改修ゼネコンの仕事がなくなる仕事が低く、将来性の高い仕事だといえます。
施工管理はホワイト?と一緒にされる質問
- 竹中工務店
- 鹿島建設
- 清水建設
- 大林組
- 長谷工コーポレーション
まとめ
施工管理の職種は現在人手不足という問題に直面しており、このため一人当たりの業務量が増大しており、真に「ホワイト」と呼べる職場は多くないのが現状です。
しかし、それでも適切な企業を選ぶためのポイントを掴めば、より良い環境での勤務が可能です。
新入社員や未経験者向けの教育・研修制度の有無は、企業が人材をどれだけ大切にしているかを示す一つの指標です。
また、労働時間の実態、特に実際の労働時間や休日出勤の有無、有給休暇の取得状況なども働きやすさの基準となります。
そして、職場の人間関係や上司とのコミュニケーションの取りやすさは、働きやすさを左右する大きな要因となるでしょう。