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一級建築施工管理技士の受検資格は?緩和・改正された理由や試験概要をご紹介

建築施工管理技士資格は建築現場で施工管理を行う方の取得が義務付けられている国家資格です。

特に一級建築施工管理技士は、下請け金額4,500万円以上(建築一式工事では7,000万円以上)の大規模な建築現場における施工管理職である監理技術者として働けるようになるため、企業からの評価も高い資格の一つです。

学校や病院、図書館やホテル、マンションなどの大規模な建物の建築現場における監督業務を担当します。

監理技術者は施工計画から工事の工程管理・品質管理・安全管理を行い、建築現場の技術面での管理・保守を行い、水準を一定以上に保つことが主な職務となります。

この一級建築施工管理技士は、2024年には受験資格の改正が行われ、以前よりも受験資格が緩和されたため、多くの人に合格のチャンスが生まれました。

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そのため、一級建築施工管理技士の資格取得を目指されている方にとっては、追い風とも言える状況です。

本記事では、現在一級建築施工管理技士の資格取得を検討されている方に向けて、試験の詳細な受験資格や試験概要についてご紹介します。

一級建築施工管理技士の受験資格

建築やものづくりに興味を持っている方で、建物が完成していく過程に興味を持っている方やものづくりに関心を持っている方でリーダーシップを発揮して働きたいと考えている方には一級建築施工管理技士の資格を取りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

一級建築施工管理技士として働くためには、第一次検定第二次検定の2つの試験で合格する必要があり、試験を受けるにはまず受験資格を満たしている必要があります。

ただ、一級建築施工管理技士の第一次試験・第二次試験ともに、実務経験や学歴が受験するための条件として設けられています。

第一次検定と第二次検定では受験資格が異なっており第二次検定では規定年数以上の実務経験が必要となることから、受験をお考えの方は事前にそれぞれの受験資格について確認しておくことが必要です。

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現在、一級建築施工管理技士の受験をお考えの方に向けて、以下で第一次検定と第二次検定の受験資格について詳しく解説していきます。

第一次検定の受検資格

一級建築施工管理技士の受検資格は改正され、新しくなった受検資格では19歳以上であれば建設現場での実務経験がなくても受験することができます。

以前までは、第一次検定から実務経験が求められていましたが、令和6年度に改正された受験条項から変更されました。

なお、19歳以上という年齢制限は年度末時点での年齢を参照するため、試験時に18歳でも年度末に年齢が19歳になる方であれば受験することができます。

なお、一級建築施工管理技士として働きたいと考えている外国籍の方も国籍が記載されている住民票を提出できる場合、受験することができます。

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一級建築施工管理技士の第一次検定の受験資格は年齢に注意する必要があることを覚えておきましょう。

第二次検定の受検資格

第二次検定では第一次試験と異なり、建設現場での実務経験が受験するために必要です。

なお、令和6年〜令和10年度までは、第二次検定の受験資格に経過措置が取られており、これまでの旧受験資格と新受験資格の2種類から選択することができます。

【旧受験資格の要件は以下の通りです。】

学歴 指定学科卒業者の必要実務経験年数 指定学科以外卒業後の必要実務経験年数
大卒 3年以上 4年6ヶ月以上
短大卒 5年以上 7年6ヶ月以上
高卒 10年以上 11年6ヶ月以上
その他 通算15年以上 通算15年以上
二級建築士試験合格者 合格後5年以上 合格後5年以上
二級建築施工管理技術検定第二次検定合格者 合格後5年以上 合格後5年以上

旧受験資格では、上記の経験年数内に1年以上の指導監督的実務経験が含まれている必要があります。

元請の立場で請け負った4,500万円以上の建設工事で、設計または施工の全般において工事の技術面を総合的に指導監督した経験のこと

なお、二級建築施工管理技士第二次検定合格後の実務経験が5年未満の方は、必要実務経験年数が以下のように変わります。

学歴 指定学科卒業者の必要実務経験年数 指定学科以外卒業後の必要実務経験年数
短大・高等専門学校・専門学校卒 短縮なし 9年以上
高校・中学・専門学校の専門課程 9年以上 10年6ヶ月以上
その他 通算14年以上 通算14年以上

上述の通り、旧受験資格は学歴や所有する資格によって必要実務経験年数が細かく設定されています。

次に改正された新しい一級建築施工管理技士の受検資格は以下のようになっています。

  • 一級第一次検定合格後、実務経験5年以上
  • 一級第一次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
  • 一級第一次検定合格後、監理技術者補佐としての実務経験1年以上
  • 二級第二次検定合格後、実務経験5年以上(一級第一次検定合格者のみ)
  • 二級第二次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上(一級第一次検定合格者のみ)

新受験資格における特定実務経験とは、請負金額4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)の建設工事で、監理技術者・主任技術者の指導によって、監理技術者・主任技術者として施工管理の実務経験を行うことを指します。

大規模な工事に施工管理として携わることで、資格取得に必要な実務経験年数を短縮できると考えておくと良いでしょう。

上述のように、第二次検定の受験資格では実務経験が必須となっており、第一次検定合格後に規定年数以上の実務経験を積むことで受験が認められる形式となっています。

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旧受験資格を利用する場合は、新受験資格と比較した上で、どちらが自分にとって良いかを選択する必要があります。

一級建築施工管理技士補が用意され19歳以上であれば受検可能に

また、2021年4月に制度が一部改定され、新たに一級建築施工管理技士補という資格ができました。

一級建築施工管理技士補の資格ができる前は、一級建築施工管理技士補として働くためには学科試験と実地試験の2つで構成されていましたが、2021年4月の建設業法第二十七条の改定により、学科試験と実地試験が現在の第一次検定と第二次検定へと変更され、第一次検定の合格者には、一級建築施工管理技士補という資格が与えられるよう改正されました。

管理技術者の仕事を補佐することができ、施工計画の作成・工程管理・品質管理・下請け業者への指導監督などのサポートを行うことができます。

管理技術補佐として働くことで、管理技術者の負担が軽減されるだけでなく補佐として実務を経験しながら知識を深めていくことができます。

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これにより、一級建築施工管理技士補であれば、第一次検定を合格すれば実務経験無しでも名乗れる資格となりました。

監理技術補佐が現場にいると、指導している監理技術者は他の現場を兼任できるようになるため、企業側にとってもメリットがある資格です。

一級建築施工管理技士補を取得した本人にとっても、監理技術者としての実務経験を積めるため、第二次検定に必要となる実務経験の年数を満たしやすくなるという利点があります。

一級建築施工管理技士の受検資格が緩和された背景

一級建築施工管理技士の受験資格が緩和されたことには、少子高齢化による監理技術者の不足が大きく関係しています。

監理技術者は高齢化が進んでおり、今後は定年によって退職される方も増加していくと考えられています。

加えて、近年は建設業界においても働き方改革によって時間外労働の上限が設定されたり、有給休暇が義務付けられたりといった労働環境の改善が行われています。

これによって以前までのように長時間労働によって人手不足を補うという方法も行えなくなり、業界全体で新たな人材の創出に力を入れる必要性が生じてきています。

監理技術者が居なければ建築現場の技術水準を一定に保つことができなくなり、欠陥建築を未然に防げなくなるリスクがあるため、建設業法によって監理技術者の設置が義務付けられています。

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今後、監理技術者不足が深刻化していくと、最悪の場合、監理技術者が居ないことで建築物の施工が行えない可能性も考えられるでしょう。

そのため、今回の受験資格の緩和によって将来的に施工管理職として働ける新たな若手の人材を確保し、監理技術者の人手不足を解消しようとしています。

加えて、第一次検定合格者に与えられる一級建築施工管理技士補の資格も、人手不足解消のための施策の1つだと言えます。

この資格があれば、補佐として実際の現場で施工管理の実務経験が積めるようになるため、将来的に監理技術者として働ける有用な人材を増やすことにも繋がります。

以前は第一次検定でも実務経験が必須だったため、取得のハードルが高い状態となっていました。

今後は実務経験が無くても第一次検定を受けられるため、他業種からの転職者も受験しやすい資格となりました。

受験資格変更により、多くの人材に早くから監理技術者としての技術・知識を現場で身に付けてもらえるようになったため、主任技術者・監理技術者などの施工管理職の人材育成が以前よりも容易になりました。

他業種でも高齢化による人手不足が深刻化していますが、建築業界においても人材確保が大きな問題となっており、今回の受験緩和はそれを打破するための施策の一つだと考えられます。

一級建築施工管理技士の試験概要

一級建築施工管理技士は第一時検定・第二次検定の2つの試験に合格することで資格取得が可能です。

なお、受験手数料として第一次検定は10,800円(非課税)、第二次検定10,800円(非課税)が必要となります。

以下で一級建築施工管理技士でどのような試験が行われるのか、試験概要を解説していきます。

第一次検定の試験概要

第一次検定では、建築学等・施工管理法・法規の3種類の検定科目について、試験が行われます。

なお、試験の解答方式はマークシート方式です。

建築学等(知識) 四肢択一
施工管理法(知識) 四肢択一
施工管理法(能力) 五肢択一
法規(知識) 四肢択一

建築学等の知識問題では、建築一式工事の施工管理を行うにあたって、建築学・土木工学・電気工学・電気通信工学・機械工学などの覚えておくべき一般知識について問われます。

施工管理法の知識問題では、建築一式工事の施工管理で必要となる施工計画の作成手法や、工程管理・品質管理・安全管理といった業務を行うための一般知識が問われます。

施工管理法の能力問題では、監理技術者の補佐の立場として建築一式工事の施工管理を行う場合、施工管理に関する知識を応用できる能力があるかを問われます。

法規の知識問題では、工事の施工管理を行うにあたって覚えておくべき法律に関する一般知識が問われます。

第一次検定では、施工管理として働く上で必須となる知識・能力を十分に有しているかを確認するため、建築学や施工管理の方法、法律などに関して基礎的な内容が幅広く出題されます。

第二次検定の試験概要

第二次検定の検定科目は、施工管理法です。

試験の解答方式は、マークシート方式と記述式です。

施工管理法(知識問題) 五肢択一
施工管理法(能力) 記述

施工管理法の知識問題では、建築一式工事の施工管理を監理技術者として行うために必要となる知識を問われます。

施工管理法の能力問題では、建築材料についての知識や、設計図書に基づいた施工計画、施工図の作成能力について問われます。

第二次検定では、監理技術者として働くための実践的な知識・能力が問われるため、より専門的な試験内容となります。

第一次検定では建築工事に関する基礎知識や一般常識、それを応用できる能力が問われ、第二次検定は実際に現場で施工管理として働けるだけの実践的な知識や能力を備えているかが問われます。

まとめ

本記事では、一級建築施工管理技士の受検資格について、受験資格が改正された背景などと共にお伝えしました。

一級建築施工管理技士の第一次検定については、年齢の要件さえ満たしていればどなたでも受験が可能です。

第一次検定に合格できれば、一級建築施工管理技士補として働きながら第二次検定に必要な実務経験が積めるため、これから建設業界で施工管理に携わりたいとお考えの方には大変おすすめの資格となっております。

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一級建築施工管理技士は、若い人材が不足している現状から、建設業界において多くの企業に求められている資格のため、この機会に資格取得に向けた準備を進めてみてはいかがでしょうか。