電気工事士に向いてる人は？向き不向きから向いていない人についても解説

電気工事士は、私たちの生活を支える電気設備の安全を守るプロフェッショナルです。

LANケーブルや電話線といった配線の工事や保守点検といった作業や照明器具の取り付けも担当します。

安全性を確保するため、電線の工事は国家資格である電気工事士の資格を有した人しか担当することができず、社会の安全の役割を担いますが、小さな現場での工事から大規模な現場での作業など幅広く担当するため体力的に大変になることもあります。

この記事では、電気工事士という職業の仕事内容、資格、働き方から、向いている人の特徴や向いていない人の特徴まで、幅広く解説します。

電気工事士とは？

電気設備の操作は特定の専門知識と技能を必要とするため、業務を遂行するには電気工事士の資格が求められます。

電気工事士は、日本で電気設備の施工、維持、操作を担当する際に要求される国家資格です。

電話線やLANケーブル、照明器具用の配線工事では、様々なケーブル・電線があります。資格を有した専門家でないと誤配線や感電といった事故が発生する可能性があります。

これらの事故が発生する原因には、油断や焦りといった要素も関係しますが、単純に知識・経験不足といったこともあります。

電気工事士の仕事内容

電気工事士は、私たちの日常生活を支える様々な電気工事のプロフェッショナルです。

主に、電気工事は建設電気工事と鉄道電気工事の2つのカテゴリーに分けられます。

建設電気工事とは、建築物や施設への電気供給に関する工事です。

新しくオフィスビルが建設される時や大規模な商業施設が開設されるときは、エレベーター、照明、空調など多くの電気設備が必要になります。これら電気が問題なく流れるようにし、人々が快適に生活できるような工事を行います。

鉄道電気工事は、鉄道の運営に必要な電気設備の工事をカバーします。

電車は電気を流し続けることで、途中で電気を補給することなく動き続けることができますが、新しい鉄道のルートが開設された場合や既存のルートが改修される場合は新たな工事が必要です。

鉄道電気工事では動力供給、信号システム、駅内の照明やエスカレーターなどの電気関連の工事を実施します。彼らは設置から維持管理までの業務を行い新しく電車が新しくなった場合やルートが増えた場合でもスムーズに利用できるよう工事を担当します。

電気工事士の資格について

電気工事士の資格には、第1種と第2種の2つのタイプが存在します。

第1種電気工事士は、電気工事の幅広い範囲での作業が許可される資格です。
大型の商業施設の照明設備の導入や、工場や発電施設などの大きな電気設備の工事を担当することができます。

一方、第2種電気工事士は、主に一般家庭向けの電気工事を手掛ける資格です。具体的には、家庭の電気設備や小さな店舗やオフィスの電気関連の作業が主な業務となります。

日常的に見かける工事には、家の配線や照明の取り付け、エアコンのインストールなどが考えられます。

電気工事の1級資格と取得すると、特定建設業の現場で専任技術者・主任技術者・監理技術者として働くことができるため、第1種電気工事士の資格修得を目指します。

さらに、第1種電気工事士の資格を所有していると、下請代金の合計額が4,000万円以上の大きな工事に従事することが可能になり、より幅広い案件を担当できます。

資格の詳しい違いについては、以下の図を参照してください。

※合格率は筆記、技能ともに合格した場合を前提にしています。

電気工事士の働き方

電気工事士は先ほど紹介した建設電気工事と鉄道電気工事のどちらを担当するかによって多少異なりますが、大まかには以下のように1日の業務を進めていきます。

電気工事士に向いている人の特徴

電気工事士は、電気設備の専門家として多岐にわたる電気工事を行う者を指します。

私たちがスイッチを押すと電気がつくように快適な生活を送ることができるのは、慎重で正確な工事を行なってくださっている電気工事士の方のおかげです。

電気工事士として働いている方は目立ちにくいですが、私たちの生活を支えてくださっている存在であり、ここからは電気工事士に欠かせない素質を紹介します。

手作業が得意な人

先ほど紹介したように電気工事士は配線や器具の取り付けなど細かな作業が中心です。

例えばテレビでBS・CSを取り付けたり、録画のために必要なHDDレコーダーを接続するときはアンテナケーブルが必要です。

アンテナケーブルには3c、4c、5c、と太さが分かれていて、細い3cではあまり経験がない方でも配線がしやすいといったメリットがありますが、断線しやすいなどのデメリットもあります。

設置箇所によっては細くないと設置できない場面もあるため手先の器用さや細かな作業が得意であるかも電気工事士として向いているのか重要なポイントです。

普段からDIYや工作を楽しめるような人にとっては適職になる可能性が高いです。

技術的な知識に興味がある人

電気工事士は、電気に関する深い知識や技術が求められます。

現場ならではの専門用語や資材・機材についての取り扱いなど覚えることが多く、全て先輩に教えてもらえることはあまりありません。。

さらに、電気の取り扱いに関する法改正が行われることもあり電気に関する取り扱いも自ら学び続けていくという姿勢が大切です。

電気や機械への関心が深い人は、電気工事士の勉強に興味を持って取り組むことができるでしょう。

丁寧に仕事を行える人

電気工事には、安全や正確さが求められます。

図面の指示通りに仕事を正確に遂行することが求められるからです。

電機設備の工事や点検に細部にまで気を配り、丁寧に作業を行うことができる人が、成功するでしょう。

電気工事のミスは、大きな事故やトラブルの原因となるため、細心の注意が必要です。

計画通り作業を終わらせることや、他社と逐一、情報を共有するなど
丁寧なコミュニケーションを行うことが重要です。

安全に対する意識が高い人

電気工事は、感電や火災などのリスクが伴います。
そのため、安全第一の意識を持ち、常に注意深く作業を行うことが重要です。

具体的には、現場で作業する仲間の安全も気遣うことや、ヘルメットや絶縁手袋などの安全装備を常に正しく使用することが重要です。

そうすることで、事故やトラブルを最小限に抑えることができます。

体力がある人

電気工事は商業施設やタワー、遊園地の照明器具の点検など高所での作業をすることもあります。

商業施設や遊園地では営業時間の関係上、早朝に工事を行い営業時間前に完了もしくは営業後に行うことから工事が完了する時間が深夜になることもあります。

建設現場によっては夜間工事を行なった後に早朝の工事へとはしごすることもあり、体力の消費が激しいです。

安全面から夏の建設現場でも長袖・長ズボンで素肌が露出しないようにする必要があり、蒸れや空気性が悪いといった悩みを抱えている方も少なくありません。

将来独立したい人

電気工事士は、その経験と技術を活かし、自分のビジネスを立ち上げるチャンスが豊富な職種です。

資格を習得して、実務経験を重ねた電気工事士は、自分の会社を設立し、独立して業務を展開することができます。

独立を志す人々にとって、電気工事士としてのスキルや知識は価値ある資産となるでしょう。

また、独立した場合は定年などを気にせず自分の望んだ働き方で働き続けることも可能です。

電気工事士に向いていない人の特徴

電気工事士は、電気設備の工事や保守を行う専門家として、多くの責任と技術を持っています。しかし、この職種はすべての人に向いているわけではありません。

以下は、電気工事士としての職務に向いていないと考えられる人の特徴と、その背景にある理由を詳しく解説します。

丁寧に作業を行えない人

電気工事士の仕事は細かい作業が多く、丁寧に作業を行えない人の場合、
大きなトラブルを引き起こす可能性があります。

配線の接続ミスや部品の取り付けミスなど、小さなミスが大きな事故につながることがあるため、作業を丁寧に、かつ正確に行う能力は必須です。

例えば、家庭用の電気設備の取り付けミスが原因で火災が発生することも考えられます。リスクに配慮し、日々の業務をおこなう必要があります。

長時間の立ち仕事が苦手な人

電気工事士の業務は、長時間の立ち仕事や物理的な作業が多いです。

建物の電気設備の取り付けや修理など、多くの作業が立ったまま、または狭い場所での作業となることが多いです。特に、天井の照明設備の取り付けや、壁の中や天井裏の配線作業などは、長時間の立ち仕事となります。

デスクワークが好きな人には適していないでしょう。

コツコツ勉強できない人

電気工事士の資格を取得し、その後も技術のアップデートを続けるためには、定期的な勉強が必要です。

電気工事士の試験は、電気の基本的な知識から専門的な内容まで幅広く出題されるため、網羅的な勉強が必要です。
また、技術の進化や法律の変更などに対応するためにも、常に最新の知識をキャッチアップする必要があります。

コミュニケーションに自信がない人

電気工事士は、現場監督などの他業者とのコミュニケーションが多いため、人との関わりを避けたい人には向いていません。

またチームで作業を行うことも多いため、大規模なプロジェクトでは、ゼネコンや他社サブコンとも協力してタスクを遂行し、情報を共有します。
効果的な指示やフィードバックを行うためにも丁寧なコミュニケーションは不可欠です。

電気工事士のよくあるイメージ

電気工事士という職種には、一般的にいくつかのイメージが存在します。

イメージによって自分は電気工事士に向いていないかも、向いているのかな？と考えることがあると思います。イメージと実際の電気工事士ついて違いがあります。

イメージと実際の電気工事士について理解して、電気工事士になったけどイメージと違った、意外と自分に向いているかもとなることがあるもあります。

電気工事士はきつい？

電気工事士を検索すると、「電気工事士　きつい」「電気工事士　やめとけ」といった記事が見られますが、もちろんどんな仕事にも大変な場面はあり、きついと感じることもあります。

実際、電気工事士は体力に自信があって緻密な作業が好きな人は楽しいと感じることが多いですが、体力にあまり自信がない方や細かな作業があまり得意でない方からはきついと言われることが多いです。

電気工事士は狭い場所で作業をすることも多く、細かな手作業を行うために設備や道具を運ぶ必要があり、重労働だと感じる方も少なくありません。

安全性を確保した工事が行われますが、電気工事はタワーなど高所での照明作業や電流が目の前で流れており事故のリスクが存在します。

男性が多い？

建設業界全体は男性の割合が高く、女性の比率は15％前後です。
電気工事の業界はさらに低く、経済産業省の資料によると電気工事業界の女性比率は2％です。

どうしても男性のイメージを持たれることから、女性の方は電気工事士や施工管理のように建設現場で働くことに抵抗を持つ方もいらしゃいます。

しかし近年は現状の状態を打破しようと、国が女性でも使いやすいトイレを現場に導入したり、企業も女性歓迎の求人を打ち出したりなど業界の変革期を迎えています。

参考：経済産業省　「電気保安人材の将来的な確保に向けた検討について」

残業が多い？

残業が発生することはあるものの、業務の内容や現場によって異なります。

実際4月〜6月は、冬の寒い時期が終わり本格的に建設プロジェクトが始動することが多いことや、新入社員への研修の関係上残業が多くなることがあります。また、9月〜11月も年末に向けたプロジェクトを進めていくために残業が多くなることがあります。

ですが、一年を通して残業が多いということではなく、近年の夏の暑さが考慮され7月や8月は作業員の方の健康を確保するため昼間の作業時間が短縮されます。

労働時間の管理や作業の効率化が進められている現場も多く、必ずしも長時間の残業が常態化しているわけではありません。

電気工事士はフリーターでもなれる？

電気工事士は電気工事資格がないと電気工事に従事できません。

電気工事士には第1種電気工事士と第2種電気工事士の2つの資格があり、第2種電気工事士の受験には年齢や学歴・実務経験に関係なく受験できるためフリーターの方でも受験できます。

現在の建設業界は人手不足が問題になっており、厚生省によると電気工事士の有効求人倍率は4.12倍であり、日本全体が1.30倍であることを考慮すると大幅に人手不足だと言えます。

電気工事士の平均年収は400万円〜500万円の間とされており、全国の平均年収と同程度です。AIに奪われる心配や有資格者には手当がある会社もあり、電気工事士に入社する前から勉強を始め建設業界で経験を積むことで効率よく試験に合格できる可能性が高まります。

参考：職業情報提供サイト　jobtag 「電気工事士」

電気工事士のやりがい

国家資格の1つであることもあり、資格を所得するための勉強が必要なことや時期によっては夜勤や残業が多くなることもあり大変な仕事とも言えますが、電気工事士の最も大きな魅力は作業完了後の達成感が大きいことです。

自らが配線した箇所の工事が順調に進み電気がついた時は充足感に満ち溢れることや、現場の方と力を合わせることで達成した喜びは大きいです。

技術を活かして、社会の安全を守る役割を果たせる

電気工事士は、その技術を活かして、社会全体の安全を守る重要な役割を果たしています。

電気は私たちの生活に欠かせない存在ですが、電気の取り扱いには専門的な知識と技術が必要です。新築の建物や公共施設の電気設備の施工時、電気工事士が適切な工事を行うことで、感電や火災などのリスクを低減させることができます。

社会の基盤となる電力システムを支え、多くの方の生活・ビジネスを支えていることにやりがいを感じる方が多く、電気工事士として専門的な技術者のプロフェッショナルを目指している方も多いです。

特定のスキルを磨くことができる

電気工事士はAIに仕事を奪われる可能性が低いことや未経験者でも採用する企業が多く職に困りにくいことが魅力です。

電気理論の知識を身につけ、電気設備の仕組みや動作原理を理解することや設計・図面の読解で正確に施工する能力が身につき未経験としてキャリアをスタートした時に比べ成長を感じられるでしょう。

都市部の発展に伴い、電気設備の新設やリニューアル、改修の需要が増加しており、こうした背景からも電気工事士の専門的なスキルがますます価値を持つようになっています。

加え、建設業界では深刻な高齢化と若手の働き手が不足しており、今後も労働者不足問題が進行するだろうとされています。

専門的な知識・技術を兼ね備えている電気工事士は今後も需要が高まることが考えられ、実践経験を積む場面が多くなることも予測され成長するチャンスが多いと言えます。

多種多様なプロジェクトに加われる

電気工事士は、様々なプロジェクトに参加することができ、その経験を通じて成長することができる点も魅力です。

建設業界の国家資格である施工管理は、造園施工管理、建築施工管理、土木施工管理など取得する資格によって担当する工事のジャンルが決まっています。

実際、建築施工管理ではマンションや住宅、ビル、公共住宅などが中心で、土木施工管理は道路や河川、トンネル、ダムなどインフラ工事がメインです。

住宅から商業施設、公共施設まで、電気工事士の業務の幅は広く多岐にわたるプロジェクトに携わることで多様な経験を積むことができます。

電気工事士のつらい点

電気工事士は社会の基盤を支える重要な職種でありながら、容易な仕事ではなく、多くの困難に直面することもあります。

このため、一部の人々は電気工事士としてのキャリアを選ぶことに慎重な意見を持っています。

ここでは、電気工事士のつらい点について説明します。

体力的にきつい作業が多い

電気工事士の仕事内容には、高い場所での仕事や重い材料の移動など、身体にかかるストレスが多いものが含まれます。

持続的な立ち作業や屋外でのタスクは、体にとっての負荷が大きく、年を取るにつれてその重さをより感じることが増えるでしょう。

さらに、作業場所の気象条件も考慮する必要があります。
夏場は高温で、冬場は極寒となり、体力のない人には厳しい作業環境となる可能性があります。

現場では十分な休憩所が完備されていないこともあるため、コンディションを整えることが難しいです。

緊急のトラブル対応がある

電気工事士の役割には、予期せぬトラブルや緊急の事態への対応も含まれます。

設備の老朽化や大雨や台風といった自然災害により、電線が切れたり電気設備の老朽化の影響で停電が発生することがあります。

その他、配線の不備や過負荷などで電気機器が発熱を起こし電気火災が起こることもあります。

人々の生活の多くの場面で電気が欠かせないため、突然の停電や電気設備の故障が起こった場面では迅速な対応が求められます。

突然の停電や電気設備の故障は、生活やビジネスに大きな影響を及ぼすため、迅速な対応が必要とされます。このような状況では、深夜や休みであっても対応する必要があるため大変です。

危険な場所での作業がある

電気工事士は電気設備の操作を担当するため、事故や怪我の可能性が常に存在します。

ビルや電柱・送電線などの高い作業は転落の可能性があり、発電所や変電所など大量の電力エネルギーが集まる場所では高電圧に触れる危険があります。

天候の影響を直接受けるような屋外での作業は強風や雷雨など作業を危険かつ困難なものとする場合があります。

見習い時代は給与が低い

電気工事士としての実務を行うには、適切な資格が必要です。資格を持たない者や新入りは、一部の基本的な作業を除き、実際の工事を手掛けることはできません。

そのため、彼らは先輩電気工事士の下で見習いとしてサポート役を務めることとなります。

この見習いの期間中、先輩の業務のアシスタントや雑務が多いため、給与は1万円未満と低く設定されることが多く苦しいことがあります。

しかし、この段階で先輩から実務のノウハウを学びインプットすることは、将来的なスキルアップや独立のためには欠かせない経験となります。

まとめ

電気工事士は、電気設備の専門家として、さまざまな建物の電気工事を担当する職種です。業務内容は多岐にわたり、電気設備の設置や保守、修理などを行います。

電気工事士に向いている人の特徴としては、手作業が得意で、技術的な知識やスキルに興味を持つ人、仕事を丁寧に行える人、安全意識が高い人、体力的に強い人、そして将来的に独立を目指す人などが挙げられます。一方で、電気工事士には向かない人の特徴は、丁寧な作業が得意でない人や、長時間の立ち仕事が苦手な人、勉強を継続的に行えない人、コミュニケーションに自信がない人は、難しさを感じるかもしれません。