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電気主任技術者の試験とは?試験内容や合格率、免除要件についても紹介

電気主任技術者は資格取得によって、電気工事や電気設備の安全管理を担当できる専門家として認定されます。

電気主任技術者には3種類の資格に分かれており、種類ごとに担当できる作業範囲が異なっています。上位資格を取得することでスキルが認められ、作業の幅が広がります。

 

電気主任技術の資格試験は、実務経験や学歴に応じて試験の免除制度も設けられており、電気系の学校を卒業した方や既に電気工事の現場に従事している方にとって好待遇な資格です。

電気主任技術者は今後不足することが見込まれており、需要は高まっているため電気工事におけるキャリアアップを目指す方におすすめの資格です。

 

建設ワークス

本記事は、以下のような方に必見の記事となっています。

・電気主任技術者としてのキャリアに関心がある方

・電気主任技術者の試験日程、試験内容、合格率など試験に関する情報を得たい方

電気主任技術者 受験資格と試験日程

電気主任技術者の資格は難易度が高いとされており、取得によって専門知識が認められ多くの企業での就職・昇進のチャンスが広がります。

ここでは電気主任技術者の受験資格と試験日程を紹介します。受験の時期に合わせて適切な準備を行いましょう。

電気主任技術者 受験資格

電気主任技術者の資格取得には、年齢、実務経験の有無、経験年数や資格に合った学歴などが全て不要で、どなたでも受験することができます。

電気主任技術者の資格取得は、下位資格である第三種から順番に受験する必要がありません。

そのため最初から一番難易度の高い第一種を受験することも可能です。

電気主任技術者 試験日程

・電気主任技術者 第一種、第二種

試験による資格取得を希望する方は、まず5月中旬から6月上旬頃に受験の申込みを行います。

一次試験は8月上旬に行われ、二次試験は11月中旬に行われます。

二次試験合格した後は試験センターから経済産業大臣に免状の交付申請を行い、正式に電気主任技術者として認定されます。

前年度や前々年度の試験で一部の科目に合格している方は、合格している科目の試験が免除になります。

・電気主任技術者 第三種

電気主任技術者第三種は、上期下期に分かれており、1年に2回試験が行われます。

上期は5月中旬から6月上旬に申し込みを行います。

第三種は令和5年度からパソコンを用いて実施するCBT方式が導入されており、CBT方式の変更期間は6月中旬から下旬の間となっています。

CBT方式とは、出題から採点までを全てコンピューターによって行う試験方式のことを指します。

筆記方式は8月中旬、CBT方式は7月上旬から7月下旬に試験が行われます。

下期は11月中旬から11月下旬までに申し込み、CBT方式への変更期間は12月中旬から下旬です。

筆記試験は翌年3月下旬、CBT方式は翌年2月上旬から2月下旬に行われます。

4科目全て合格した後は試験センターから経済産業大臣に免状の交付申請を行い、免状が交付されると正式に電気主任技術者として認定されます。

電気主任技術者第三種 試験について

第三種の電気主任技術者は、工場やビルなどの電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の工事に携わることができます。

電気主任技術者第三種は従来の筆記試験に加えて令和5年から新たにCBT方式が導入され、より多くの受験者に受験機会が増えました。

CBT方式とはコンピュータを使った試験方式のことで、コンピュータに表示された試験問題を解きます。

CBT方式のメリットは試験の日時や試験会場を柔軟に選択できることです。3日前まで受験日を変更できるため忙しい社会人や学生の方でも受験しやすいです。

CBT方式は、問題用紙にメモをしながら解けないことや、試験日程が早まってしまうというデメリットもあるためご自身に合う試験方式を選択して受験することをおすすめします。

電気主任技術者:第三種の試験内容

電気主任技術者第三種の試験は、二次試験がなく五肢択一問題のみの試験です。

数学的な難易度としては高卒レベルで、「sin,cos,tan」「√」などの知識が必要になります。
科目は、「理論」「電力」「機械」「法規」の4つに分かれています。

電気主任技術者第三種は、計算問題が多く、特に「理論」では8割近く計算問題が出題されます。主任技術者第三種に合格するためには公式を確実に抑えて計算問題にて実際に使えるようにしておくことが重要です。

計算問題だけではなく、暗記学習も積み重ねましょう。特に「法規」の科目では暗記していなければ解答できない問題もあります。

下記の問題は令和3年度の「法規」の科目にて出題された問題です。

参照:一般財団法人電気技術者試験センター 「令和3年度第三種電気主任技術者試験 法規科目」

この問題では(1)が誤っている選択肢になります。

「経済産業大臣の事業許可を受けなければならない」ではなく「経済産業大臣の事業登録を受けなければならない」が正しいです。

細かい表現まで見落とさずに解答することが求められるため、きめ細かい学習・暗記を進めていきましょう。

電気主任技術者 第三種 合格率

受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 39,010 3,836 9.8
令和3年度 37,765 4,357 11.5
令和4年度上期 33,786 2,793 8.3

参照:一般財団法人電気技術者試験センター「令和 4 年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について」

3年間の平均合格率は、約9.9%でした。

電気主任技術者の試験の中でも一番難易度が低いのにもかかわらず平均合格率が10%を切っています。

受験資格が設けられている資格であれば、一定基準の学力、学歴、実務経験を身に着けていないと受験することができないため受験者全体のレベルが高く合格率も高まります。

しかし電気主任技術者には受験資格が設けられていないため、他の資格試験に比べると受験者の学力の幅が広く、合格基準に達する受験者が少ないという事が理由として挙げられます。

他には、電気主任技術者には科目ごとに合格することで翌年度と翌々年度ではその科目の試験が免除される制度があります。

そのため同時に4科目全て合格するのではなく科目合格を狙い、少しずつ合格する方針を持っている方がいるため4科目合格の人数が少ないといわれています。

範囲が広いため、一度に全科目合格することが難しいと感じた場合は、一発合格を狙わず長期的な視点でコツコツ合格を積み重ねることも効果的です。

電気主任技術者 第二種の試験について

電気主任技術者第二種は、中規模再生可能エネルギーの発電設備や大規模工場などの電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の工事に携わることができます。

第三種電気主任技術者の工事範囲と比較すると担当できる幅が広がるため、更なるキャリアアップが期待されます。

ここでは電気主任技術者第二種の試験について紹介します。

電気主任技術者第二種 試験内容

電気主任技術者第二種の一次試験は、マークシート方式にて多肢択一で出題されます。

数学的な難易度で言うと高等専門学校ほどのレベルで、必要な知識としては、「微分積分」「ラプラス変換」などが必要になるとされています。

下記の問題は令和5年度の電気主任技術者第二種の一次試験「電力」の科目にて実際に出題された問題です。

参照:一般財団法人電気技術者試験センター 「令和5年度第三種電気主任技術者試験 電力科目」

第三種は五肢択一であったのに対して、第二種では5つ解答する際には15個ある解答群から選択しなければなりません。そのため難易度が高くなっています。

多肢択一の問題形式に対応できるように、専門用語や使い方を正確にマスターしましょう。

電気主任技術者第二種の二次試験は、「電力・管理」「機械・制御」について記述式で解答します。

「電力・管理」については6問中4問選択します。

計算問題と論述問題の出題数が「計算3問・論述3問」や「計算2問・論述4問」など試験によって変わるためどちらにも対応できる力を身に着けることが必要になります。

「機械・制御」では4問中2問選択します。

メインで出題されるのは計算問題で、時間が限られているため解くスピードや、解答する問題を素早く見極める力が重要になります。

電気主任技術者第二種 合格率

・一次試験

(単位:人,%)

受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 6,235 1,695 27.2
令和3年度 5,979 1,539 25.7
令和4年度 6,189 2,178 35.2

3年間の平均合格率は、約29%でした。

・二次試験

 (単位:人,%)

受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 2,512 701 27.9
令和3年度 2,407 413 17.2
令和4年度 2,904 698 24.0

参照:一般財団法人電気技術者試験センター 「令和4年度第一種及び第二種電気主任技術者二次試験の結果について」

3年間の平均合格率は約22%でした。

電気主任技術者 第一種の試験について

電気主任技術者第一種は、担当可能な規模に制限が設けられていないため大手の電力会社や変電所、大規模太陽光発電などにも従事できます。

制限がないことで小規模から大規模まで幅広く担当できることになり、多くの実務経験を積むことができます。

ここでは電気主任技術者第一種の試験について紹介します。

電気主任技術者 第一種 試験内容

・一次試験

一次試験は、以下の4科目についてマークシート方式にて実施されます。

数学的な難易度としては大学レベルで、一般的に大学の講義で取り扱われる「ベクトルポテンシャル」の知識が必要になります。

科目名 科目の内容
理論 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
電力 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料
機械 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
法規 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理

参照:一般財団法人電気技術者試験センター「第一種電気主任技術者 1.一次試験」

・二次試験

二次試験は以下の内容について記述式で試験が行われます。

科目名 科目の内容
電力・管理 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理
機械・制御 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクス

参照:一般財団法人電気技術者試験センター「第一種電気主任技術者 2.二次試験」

受験者数が少なく、第一種の試験情報も他の種類に比べて少ないです。

 

そのため公式から出されている過去問を繰り返し解いたり、合格経験者の体験談から勉強方法や勉強計画などを参考にして学習を進めることがおすすめです。

電気主任技術者 第一種 合格率

・一次試験

(単位:人,%)

受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 1,508 759 50.3
令和3年度 1,225 379 30.9
令和4年度 1,436 442 30.8

3年間の平均合格率は、約37%でした。

・二次試験

(単位:人,%)

受験者数 合格者数 合格率
令和2年度 933 134 14.4
令和3年度 899 72 8.0
令和4年度 685 143 20.9

参照:一般財団法人電気技術者試験センター 「令和4年度第一種及び第二種電気主任技術者二次試験の結果について」

3年間の平均合格率は、15.1%でした。

電気主任技術者は未経験でも働ける?

電気主任技術者の資格さえ持っていれば、電気工事に関する未経験者でも求人に応募することが可能です。

一定の規模での電気工事において電気主任技術者を選任しなかった場合は300万円以下の罰金、又は届出なかった場合や誤った届出をした場合は30万円以下の罰金が科せられます。そのため、無資格では従事することが認められていません。

 

現在では電気主任技術者の人手が不足しており多くの求人があります。そのため未経験者にもチャンスは広がっているとされています。

未経験者が職場を選ぶ際のポイントとしては、「研修体制が充実している企業に入社すること」です。未経験者の教育体制が不十分な会社に就職してしまうと、適切な実務経験が積めないことで今後のキャリアに支障をきたしてしまいます。

会社側が研修を怠り、未経験者には出来ない仕事を振ると仕事の質の低下や事故の原因に繋がります。結果として会社の評価や社員のモチベーションが下がり、生産性の低い環境となってしまいます。

適切な教育を受けられる環境を選択し、将来に生かせるスキルを磨いていきましょう。

電気主任技術者の試験免除要件とは

電気主任技術者の資格取得には「資格試験に合格する」「認定によって取得する」の2パターンあります。

ここでは「認定によって取得する方法」について紹介します。認定による資格取得には学歴と実務経験の両方が必要になります。

電気主任技術者:認定に必要な学歴の条件

・認定校を卒業すること

電気事業法に基づいた「電気主任技術者認定校」に通うことが求められます。

電気主任技術者認定校の一覧は下記のリンクから確認できます。

参照:経済産業省 「電気主任技術者認定校一覧」

必要な書類は「卒業証明書」と定められた科目を全て取得したことを証明する「単位取得証明書」です。

認定校を卒業していても決められた単位が取得できていなかった場合は不足単位の科目を受験し、合格することで認められます。

電気主任技術者:認定に必要な実務経験年数

第一種は、「認定校の大学卒業者」「第二種免状取得者」の両方とも5年以上の実務経験が必要です。

第二種、第三種の必要な実務経験年数は以下の通りです。

大学 短期大学又は高等専門学校 高等学校
第二種 3年以上 5年以上
第三種 1年以上 2年以上 3年以上
第二種の取得を目指す方で、第三種免状を取得している方は5年の実務経験が必要です。
卒業前の実務経験も年数にカウントできます。しかし、卒業前の実務経験は実際に従事した時間の半分が実務経験年数に加算されるので要注意です。

電気主任技術者:第一種と第二種の取得ルート

第一種の場合は、「第二種」、第二種の場合は「第三種」の資格を持っていれば、学歴の審査は不要です。

そのため実務経験履歴を認定されれば、免状が交付されるという認定ルートになっています。

認定による資格取得は審査を通過するのが難しく、試験で合格するよりも認定による取得の方が時間がかかってしまうと一般的にいわれています。

若手のうちに試験に合格して経験を積みキャリアアップしていくことがおすすめです。

まとめ

電気主任技術者は、法律によって一定の規模の工事では選任することが義務付けられており、企業からの需要は高いため電気主任技術者の存在は重要であるとされています。

電気主任技術者の資格試験は、合格率が低く他の資格に比べて難易度が高いと言われています。しかし難易度が高い分、合格によって市場価値の高い人材として評価されることが期待できます。

電気主任技術者としてのキャリアを検討されている方は、本記事を参考にしてキャリアプランを考える一助となれば幸いです。