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施工管理の年収は高い?業務内容や働き方と転職のポイントを解説

近年、経済の発展と共にインフラ整備や建築プロジェクトが急増しています。
このような背景から、「施工管理士」という職種への注目が高まりつつあります。

しかし、具体的に「施工管理士としてどのように働くのか」「年収は本当に高いのか」「未経験者でも転職は可能なのか」といった疑問を持つ方も多いことでしょう。

この記事では、施工管理士としての平均年収、具体的な働き方、そして転職を成功させるためのポイントについて詳しく解説していきます。未経験からこの業界へ飛び込みたいと考えている方、または現役の施工管理士としてさらなるキャリアアップを目指す方に向けて、実践的な情報を提供いたします。この記事を読み、施工管理職への理解度を上げていただけると幸いです。

建職ワークス
建職ワークス

この記事は下記のような方に向けて書かれています。

・未経験からこの業界へ飛び込みたいと考えている方

・現役の施工管理士としてさらなるキャリアアップを目指す方

・施工管理士の年収水準を知りたい方

施工管理士とは?

施工管理士とは、建設プロジェクトや土木工事などにおける、工事の進行管理や品質管理、安全管理などを担当し現場全体の流れを円滑に進める役割を担っています。

施工管理の業務内容について

施工管理士の中心となる業務は大きく分けて4つに分けられ、施工管理の「四大管理」と呼ばれます。

1つ目は工程管理です。プロジェクト全体の進捗を確認し、作業の進め方や人員の割り振りなどを正確に行い、遅延なく工事が進行するようにマネジメントを行います。
建築や土木現場では、着手から完成までに数ヶ月から数年かかるものがあります。
工事完了予定後まもないタイミングで、建物の使用が予定されていることも多く、遅延が起こらないようにプロジェクトの進捗管理を確認することが重要です。

2つ目は品質管理です。建設で使用する機材が設計書などに従っているかを丁寧に管理し、建造物の安全性を担保します。例えば、鉄骨建築の場合、溶接部分の品質が非常に重要です。不適切な溶接は、構造の弱点となる可能性があるため、規定に基づく溶接方法が適用されているか、また、非破壊検査などで溶接の品質を確認する作業が求められます。このように規定で定められた水準や、依頼主と合意した品質水準を守ることで、完成物の品質を保つことができます。

3つ目は安全管理です。建設作業員(職人)の安全を守り、業務に集中がしやすくなるための環境を作ります。機械の安全確認を行うことや、作業員の健康状態の把握に努めます。
例えばあと一歩で事故に繋がりそうだった「ヒヤリハット」事例を全体で共有し、安全感を高めるなどがあります。

4つ目は原価管理です。これは、予算内で人件費や材料費を回し、会社の利益を適性に確保するために行います。

例えば、住宅建設プロジェクトの場合、施工管理士は必要な建材のコスト、労働者の賃金、機器のリース費用などを事前に詳細に計画します。建設が進行する中で、木材の価格上昇や人手不足などが発生した場合、原価のシミュレーションを行いながら、赤字案件にならないように調整を行う必要があります。

それ以外にも発注者との契約内容の確認、下請け業者との契約交渉の契約まわりやクライアント、設計者、施工者、近隣住民など、プロジェクト関係者との良好な関係構築や、密なコミュニケーションも重要です。

その他にも現場周辺への騒音や振動、排出ガスなどの影響を最小限にするための管理など、環境への配慮も求められます。施工管理は、プロジェクトがスムーズかつ適切に進行するために不可欠な業務であり、専門的な知識と技術が必要です。

施工管理士の年収は?

ここでは施工管理士の年収について資格面や年齢などの項目ごとに解説を行っていきます。

施工管理士の平均年収は500万を超える

厚労省の統計によると、建築施工管理技術者の場合620.4万で土木施工管理技術者の場合は573.2万円です。日本の平均年収が443万円であることを考慮すれば、高収入と言えるでしょう。またハローワーク求人統計金額を見ると、求人賃金が31.9万円と他業種より高額です。

資格があると年収が上がる?

施工管理士の場合、資格の有無によって与えられる責任や裁量が大きくなります。

建設業法によって、特定建設業者が元請として外注総額4500万円以上の場合、施工管理技士1級を取得している監理技術者が必要です。そのため1級施工管理技士の資格を取得している方は建設現場でプロジェクトを問わず参加することができるため、市場での評価が上がり、年収の増加を期待できます。

年齢ごとの年収推移

厚労省の統計資料によると、年功序列型で推移しており、59歳〜60歳の時に最高年収に到達するようです。建設業界は専門的な技術が重視され、経験年数が上がれば上がるほど取り扱えるプロジェクトも幅広くなるため賃金が上がります。

建設大手企業の年収

建設業界には5つのリーディングカンパニーがあります。鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設です。これらの企業は特に年収が高いと言われています。

例えば、鹿島建設が公開している有価証券報告書によると平均年収は1163万円(2023年時点)と日本の平均年収と比べると高額です。他の大手ゼネコン企業も同様に平均年収1000万円前後の企業が多いです。

建設業種の平均年収の比較

続いて、施工管理と同時に比較される建設業の他業種の年収を比較しました。
詳細は表をご覧ください。建設業界では技術者である場合年収が高くなる傾向があります。
続いて、施工管理と同時に比較される建設業の他業種の年収を比較しました。

詳細は表をご覧ください。建設業界では技術者である場合年収が高くなる傾向があります。

種類 平均年収
建築施工管理技術者 620.4万円
土木施工管理技術者 573.2万円
建設土木作業員 417.1万円
プラント設計技術者 606.2万円
測量士 487.2万円
電気工事士 506.8万円
電気技術者 644.5万

施工管理士の年収が高い理由

先ほど施工管理士の平均年収が高いことを紹介しました。
一般的な給与水準よりも高い場合、納得できる理由がないと不安を感じる方も少なくないはずです。ここからは、施工管理士の年収が高い理由について紹介していきます。

専門的なスキルと力が必要だから

施工管理士は、工事の進行管理、安全管理、品質管理、コスト管理など多岐にわたる専門的な業務を担当します。また、ゼネコンや土地の権利者、職人などと上手にコミュニケーションを取り、それぞれにメリットがあるように調整する必要があります。これには高い技術力と建設領域における専門的な知識が必要で、それに見合った報酬が支払われることが一般的です。

責任の重さ

施工管理士はプロジェクトの成功に大きく寄与する役割を果たします。遅延や事故があればプロジェクト全体に大きな影響を及ぼすため、責任の重い仕事であるため、それに見合った報酬が支払われることが多いです。

現場の厳しい労働環境

建設現場は、天候や季節、地域によっては厳しい労働環境であることが多く、長時間労働や休日出勤も少なくありません。このような労働環境に対する見返りとして、年収が高く設定されることもあります。

資格による差別化

一級施工管理技士や二級施工管理技士など、専門的な資格を持つことで、経験と知識を客観的に証明する材料となり、より専門的な業務に従事することが可能になります。

これによって、施工管理士を雇用している企業の売上にも直接貢献することが出来るため、市場価値が高まります。資格を取得することにより、年収が上がったり、手当を受け取ることが出来るなどのメリットがあります。

プロジェクトの規模と内容

担当するプロジェクトの規模や内容、地域などによっても年収は変動します。大規模プロジェクトや特殊な技術を要するプロジェクトに従事出来る場合は、更に高い報酬が支払われることもあります。

施工管理士の働き方について

施工管理士は、建築や土木プロジェクトの成功に不可欠な役割を果たすプロフェッショナルです。工事が計画通りに進行し、品質・安全・コストの面で適切に管理されるように働きます。

しかし、この重要な業務はどのような働き方で行われるのでしょうか?多岐にわたるスキルと高い責任感が求められる施工管理士の働き方についてここでは考察します。

施工管理士の1日

施工管理は他のサラリーマンの出勤形態とは大きく異なります。

朝は現場に早くやってきて全体を巡回します。日中は現場監督として品質管理、工程管理、安全管理、原価管理に努めます。夕方になると関係各所と会議を行い、夜になると作業所、もしくは会社で図面作成など事務作業に従事します。下記は施工管理の一日の業務フローのイメージです。ぜひ参考にしてください。

施工管理士の1日イメージ表

時間 タスク 詳細説明
7:00 早朝の現場巡回 作業開始前の安全確認、進捗確認など
7:30 作業者へのミーティング その日の作業計画、安全確認の共有
8:00 作業開始の監督 施工の品質管理、安全管理
10:00 書類作成・連絡調整 進捗報告、発注業務、協力会社との連絡調整
12:00 昼食 現場の仲間との情報交換
13:00 午後の作業の確認 午後の工程確認、調整
15:00 クライアント・関係者との打ち合わせ 進捗報告、必要な調整、今後の計画確認
17:00 作業終了の確認 作業終了後の品質確認、安全確認、整理整頓
18:00 書類整理・報告作成 進捗報告、書類整理、翌日の準備

施工管理士にはどんな人が向いているのか?

施工管理士の仕事は多岐にわたり、多種多様なスキルと特質が求められる職種です。それでは、施工管理士に向いている人物像について、詳しく見ていきましょう。

技術的な興味と知識

施工管理士には、建築や土木工事の専門知識が不可欠です。常に技術の進歩に目を光らせ、新しい技術を学ぶ好奇心があれば、より質の高い工事が可能となります。これには、現場の経験だけでなく、定期的な勉強が重要になるでしょう。

コミュニケーション能力

作業者とクライアント、供給業者など、多岐にわたる利害関係者と連携する必要があるため、コミュニケーション能力が非常に重要です。

感情をコントロールし、相手の立場を理解して、誤解なく効率的に情報を伝えられる人が求められます。調整力がかなり重要だといえます。

リーダーシップ

現場での指導者として、リーダーシップを発揮する必要があります。チーム全体の動向を見る目配り、指示の明確さ、人材の育成能力など、多方面にわたるリーダーシップが求められるでしょう。年上の職人に仕事の割り振りをする機会も多く、年上の人からも頼られる人望も求められます。

柔軟な対応力

予期せぬ問題が現場では常に発生します。迅速かつ冷静に対処できる柔軟な対応力が求められるため、ストレス管理能力も重要となります。

また様々な業務を同じタイミングで進行させるため柔軟に時間管理を行う力も重要ですし、予期せぬ問題が起きた際の課題解決力も試されます。

持続的な学びの意欲

建設業界は技術進展が速く、新しい規制や基準も頻繁に更新されるため、常に学び続ける意欲が重要です。読書をして主体的に新しい情報をアップデートする姿勢が必要です。

施工管理士に未経験転職するポイント

施工管理士は難しい仕事ですが、未経験からのチャレンジも可能です。未経験からの転職には疑問や不安を抱える方も少なくないでしょう。しかし、適切な準備と理解を深めることで、未経験からでも機会を得ることが出来ます。この章では施工管理への未経験転職に向け、建設業界の動向や20代でも高収入が実現出来るか、転職時のポイントなどについて解説します。

転職市場の現状

建設業界は生産年齢人口の労働者が少なく、人手不足で悩んでいます。建設業の就業者数は1997年時点で約685万人でしたが、現在では約485万人で200万人減少しています。加えて、60歳以上の労働者が全体の25%以上を占め、高齢化が止まりません。

その一方で都心部を中心とした、大規模な再開発やリニアモーターカーなどの交通インフラ開発系のプロジェクトも始動しております。また、高度経済成長期からバブル期に掛けて建てられた建物のメンテナンス時期を迎える事となっており、建設需要は以前として高水準が保たれています。こういった背景もあり、専門的な技術を持った人材の需要はますます高まっています。特に施工管理、設計、測量などの専門職を中心として需要が増加しております。

多くの企業が人材不足を感じており、未経験者であっても採用し、育成していくという企業が増えてきております。

20代でも収入を上げることが出来るか

施工管理士であれば、20代でも平均年収以上の収入を得ることが可能です。

先述の通り、他の職種と比較しても、年収が高い水準に設定されていることが多いです。

経験者ではなく未経験者であっても、しっかりとした研修を受ければ専門的な業務を担当することが可能であるため、初任給も高水準が見込まれる事が多いです。また資格を取得した場合や平均年収の高い企業に入社した場合、20代でも大きく給与を上げることが可能です。

施工管理転職を成功させるポイント

転職のポイントは、大きく3つあります。

1つ目は、企業研究を徹底することです。施工管理の業務内容や待遇は企業によって異なります。たくさん働きたいのか、もしくはワークライフバランスを重視したいのかなどの価値観は人によって異なるため、自分にあった企業を探しましょう。また近年は企業の口コミや年収などの情報がまとまったアプリもあるためうまく活用し、リサーチを丁寧に行いましょう。

2つ目は、勤務地です。施工管理はプロジェクトによって労働時間や勤務地が変動することがあるため、労働条件をしっかりと確認する必要があります。ミスマッチがないようにこちらもよく調べておきましょう。

3つ目は志望動機を改善することです。施工管理技士は責任が伴う仕事でも有るため、未経験の場合は、現段階でのスキルや能力以上に、施工管理職を志望する理由や意欲の高さが評価の対象となります。ご自身のこれまでのキャリアや、今後築いていきたいキャリアを整理し、なぜ施工管理士としてキャリアを築いていきたいかについて言語化しておくと良いでしょう。

自身のキャリアの価値観を言語化するに当たり、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談する事で、ご自身のキャリアの棚卸しや、アドバイスの取得に役立てていただくことも出来ます。

施工管理士 転職のポイント

施工管理士に転職するメリット

ここでは施工管理士に転職するメリットについて3つ例を挙げて説明をします。

専門技術の習得により給与があげやすい

施工管理は建築や土木の専門的な知識や、高いマネジメント能力を身に着けられるため、それに見合った給与が支払われることが多いです。特に資格を持つ場合、さらに給与がアップさせることが可能です。

キャリアアップのチャンス

施工管理の分野は、住宅、商業施設、道路、橋梁など多岐にわたるプロジェクトを手がける機会があります。これによって、多様な技術や管理方法、現場の対応スキルなどを学ぶことができ、実践的な経験を積み重ねることが可能です。

このような施工管理の経験と実績を積み重ね、資格を取得する事で、監理技術者や主任技術者と言った、施工管理職における現場責任者の立ち位置であったり、本部の管理職への昇進の道が開かれます。

成果が目に見えやりがいがある

建物やインフラの建設など、自分が関わったプロジェクトが形になる瞬間を見ることができます。これは、仕事の成果が形として残る為、大きなやりがいを感じられるでしょう。
また、デベロッパーや技能者、住民などの意見をまとめ、関係者全員で街づくりをしていく工程はとてもやりがいがあり、社会的な意義を感じる事ができます。

施工管理士に転職するデメリット

ここでは施工管理士に転職するデメリットについて2つ挙げて説明をします。

高い責任とプレッシャー

施工管理士は、プロジェクトの進行管理、予算管理、安全管理など多岐にわたる責任を持ちます。そのため身につく力は多くありますが、業務に伴うプレッシャーも大きくなります。

長時間労働や転勤の多さ

施工管理職は工事現場に合わせた勤務量が変動したり、プロジェクトによって勤務地が変動することが多いです。これにより、プライベートの時間が取りづらい場合があるため、ワークライフバランスの維持が課題となることがあります。

一方で2024年より、建設業界に置いても残業規制が適用される事になり、残業量を減らすために適切な工期の案件の受注を目指す企業が増えていくと見られます。また、会社によっては転勤が一切ない会社もあるため、ご自身のライフスタイルと照らし合わせながら勤務先を選ぶと良いでしょう。

まとめ

この記事では施工管理士の年収という切り口を皮切りに、施工管理士の働き方や転職のポイントを網羅的に説明してきました。

施工管理士の年収は、経験、スキル、所属する企業などによって異なりますが、一般的には他の多くの業界と比較して高い水準にあります。初任給から中堅、ベテランまでの各段階での年収も比較的高く、経験とともに随時上昇していくのが一般的です。

施工管理士がプロジェクトの進行、品質、安全など、建設プロジェクトの重要な側面を管理する役割を担っていることから、施工管理は高年収となるケースが多いです。