施工管理の仕事は長時間労働や、土日出勤など、きついイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
一方で施工管理の仕事を10年以上続けているベテランも業界には多数おり、施工管理は楽しい!と思いながら仕事に取り組めている人も多いです。
この記事では、
- 施工管理の仕事を楽しいと言われている理由はなにか
- 「きつい」と言われる施工管理が意外と楽と考えている人はなぜそのように感じているのか
- 施工管理がきついと思ってしまう理由はなにか
- きつい職場と楽しい職場の見分け方
などについて解説していきます。
この記事は下記のような方にはおすすめの記事です。
・施工管理の仕事に就くかどうか悩んでいる方
・施工管理が楽しいと感じている方や、楽しいと感じたい方
施工管理が楽しいと言われている理由
施工管理の仕事は建物が建っていく過程に携わることが面白い
施工管理の仕事が楽しいと感じるポイントはなんといっても、建物が立っていく工程の一部始終に関わっていくことが出来る点です。
最初は更地だった場所に人が生活を営む空間を作っていくプロセスを楽しいと感じているは施工管理を長く続ける人の中でも多いです。
施工管理の仕事に就かなければ何気なく利用していた建物や、設備、道路などが出来上がる裏側の過程を見ることは普通に生活をしていると中々体験出来ることではありません。
苦労して建てた 建物に対して、施主から感謝の言葉をもらったり、Googleマップに自分の仕事が刻まれる経験も施工管理が楽しいと感じるポイントの一つです。
施工管理は作業員との連帯感が楽しい
作業員との信頼関係が築けていたり、プロジェクト毎で依頼出来る信頼出来る職人がいる人にとって施工管理の仕事は楽しい仕事だと言えるでしょう。
職人との信頼関係は施工管理にとっての生命線であり、職人との良い関係が構築されていれば仕事における連携がスムーズになり相互に良い影響を与えます。
施工管理士によっては、職人と飲みに行ったり、たばこを吸う人であれば一服休憩に一緒に行ったりと、公私共に職人と関係を築けている人も多いです。
また、若手の施工管理士であれば、自分よりも長く業界に携わっている職人に信頼されたり、褒められたりすることは嬉しいという人も多いです。
人との繋がりの楽しさを見出すことが出来る点も施工管理の魅力の一つです。
施工管理の仕事は奥が深い
建設の仕事は技術的なスキルや、人心掌握術など様々な角度からその奥深さに魅了される人が多く存在します。
気象条件によって予定が変わることも多々あり、梅雨時期では工程管理が特に大変です。
ですが、地域によっては雨でも雪でも大工を休まないこともあり雪が降っていても棟上げをすることもあります。
技術的な部分では、先人たちが古くから培ってきた工事の効率化の技術、建物の安定性を担保するための技術や、劣化防止の技術、建物の見栄えが良くするためのデザインなどを学び、実践に移すことが出来ます。
建設や設計、ものづくりが好きで、好奇心の強い人であれば奥深さを味わうことが出来ます。
また、施工管理としてのスキルにおいても、職人や、同僚の熟練度に応じてコミュニケーションの粒度を変えたり、工程に間に合わせる為の逆算をしたり、ビジネススキルを学ぶことが出来ます。
このような新しい知識を学ぶ事が好きな人にとって、施工管理は楽しい仕事であると言えるでしょう。
施工管理はスキルや資格に応じて給料が上がる
施工管理の仕事はスキルや資格に応じて、給料がしっかりと上がっていくケースが多いです。
施工管理の国家資格は、建築、土木、管工事、電気工事、電気通信、造園、建設機械の7種類が存在しており、かつそれぞれに1級と2級が存在しており、多用なキャリアの選択肢があります。
スキルの習得や資格の取得により、より年収の高い会社からの転職オファーが来たり、社内での昇進が出来たり、資格取得手当を受けることも可能です。
能力をつけるごとに着実にステップアップ出来る点が施工管理の魅力の一つだと言えるでしょう。
全国の美味しいものが食べられる
全ての会社とは言えないですが、施工管理の仕事は転勤が多い仕事です。そのため1~2年は地方を拠点に仕事をするということも少なくなく、いろんな地域での生活を楽しむことが出来ます。
食に興味が有る人であれば、地域ごとの美味しい料理を楽しんだり、文化に触れることも出来ます。
転勤をポジティブに考えられる人にとっては、施工管理は楽しい仕事であると言えるのではないでしょうか。
施工管理の中でも楽しい!と人気のプロジェクト
施工管理は土木・電気、建築など様々な専門性があり、取得する資格によって担当できるプロジェクトが変わります。
施工管理は、ものづくりに関わる仕事ですが目にみえるものを担当するのか、目に見えないけど生活に必要な支え役として活動するなど担当する業務によって変わります。
その中でも、施工管理者の方から「未経験の人にもおすすめしたい!」「経験者の方にもおすすめできる施工管理の種類」の特徴を教えてもらいました。
リフォーム施工管理
施工管理と聞くと、建築物やマンションのような大型建設・大型改修工事を創造する方も多いかもしれません。
建設業界では日々様々な物件を施工し、多くの大規模な工事が行われています。
ですが、全ての工事が大型改修・大型建築物の建設ではなく、建築物の中でも比較的小規模な改修を行うリフォーム施工管理という仕事もあります。
ハウスメーカー施工管理
施工管理職で比較した際、ハウスメーカー施工管理はゼネコンよりも楽と言われることがあります。
ゼネコンでは担当する建物一棟に対して複数のスタッフがつき、工事を進めていきます。
工程の前後には調整・仮説の架払い・搬入資材の置き場確保などやることが多く、規模が大きい分業務量も増え、やることが多く休む時間が少ない傾向にあります。
そのため、金額面でのストレスや多くの新しい関係者と関わる場面が比較的少なくなるためゼネコンよりも楽だと言われることがあります。
しかし、ハウスメーカーの施工管理では1人で7〜10棟を担当することが多く、毎日1〜1.5棟をみても1週間に一度しか現場で確認できず、その時間の中で職人・大工の方などの監理・手配・必要な資材の発注をすることになります。
マンション大規模修繕
大規模修繕工事の直接のお客様は管理組合の方ですが、その先にはマンションに入居し生活されている方がいます。
規模が大きいマンションでは数百戸の家族が生活し、暮らしている人は数千にも及びます。
施工管理は意外と楽と言われる理由
施工管理の仕事はきついという印象が有る一方、意外と楽という意見も少なくありません。
なぜこのような相反する意見が出てくるのかの理由に迫って行きましょう。
- 上司に監視されない
- 残業規制がかかり始めている
- 給料が良い
上司に監視されない
施工管理が意外と楽と言われる理由としては、上司に監視されない点が挙げられます。
会社にいると直属の上司に近くで監視されている感覚を覚える人もおりますが、施工管理の仕事は現場の職人との連携が多い為、会社や上司に監視されているという意識を強く持たずに業務に取りかかれる為、プレッシャー等を感じずに仕事がし易い環境があります。
残業規制がかかり始めている
施工管理の仕事は長年長時間労働が問題視されており、今なおこの問題は解決されているとは言えません。
一方で現在は国を上げて、国交省が建設業界の働き方改革を主導しています。週休二日制の導入や土日休み、残業時間の規制などを始め、働きやすい環境作りやDXの促進を進めています。
昔の建設業の3Kのイメージから徐々に脱却を測る為、様々な取り組みがなされている為、それらの恩恵を受けて、意外と楽だと感じている人が多いです。
他にも、近年では国内の全体的に働き方改革が進められてきましたが、一方で建設業、運送業などでは働き方改革の適用について猶予期間が設けられていました。しかし、2024年4月には猶予期間が終わり残業上限規制が実施されることになります。
そのため建設業界は今後より一層働きやすく変化していくといわれています。
給料が良い
施工管理が意外と楽と言われる理由として、給料の良さもあげられます。
日本の平均年収は443万円であるのに対し、施工管理技士の平均年収は620.4万円となっており、日本全体の平均年収に対し、約177万円高い水準となっております。
専門性を身に着け、現場での実務経験を積むことによって、給料の高い会社に転職する機会を作れたり、資格手当を受け取ることが出来るなど、給料を上げるための手段が多数存在しています。
このように年収を高め、生活面での余裕をもたらすことが出来る点も、施工管理が意外と楽と言われている理由となっております。
施工管理のきつい所
施工管理は楽しいと言われる一方できついこともたくさんあります。これから施工管理になろうと思っている人や、施工管理で今後長くキャリアを築いていく人にとっては、施工管理のネガティブな面もしっかりと理解した上でキャリアの選択をしていく必要があります。
残業と休日出勤が多い
施工管理の仕事はどうしても激務になりやすい構造があります。
発注者としては当然コストを抑え、商業施設等であれば早めに建物を早めに稼働させ、売上を上げたいと考える為、工期は最短に設定したいと考えます。
そのため、施工管理はどうしてもタイトな工期に間に合わせる為に、短期間に濃縮された工期の中で、工程を完了させる必要があり、どうしても残業や土日出勤でカバーせざるを得なくなりやすいです。
一方先述の通り、現在は国交省が建設業の働き方改革を推進するために、発注者向けに工期に余裕をもたせるように促進をするなどの取り組みも行っております。
これによって今後の業務量が以前と比べて緩和されていく可能性は高いです。
朝が早い
施工管理の仕事は朝が早いです。建設現場では夜の作業よりも日中の方が外が明るく、作業がし易いという理由や、職人が1日に2つ以上の現場を回るというケースもあるため、現場の稼働が開始する時間が早いです。
夜間に騒音を伴う工事を行ってしまうと、苦情が発生する原因になりかねません。駅や繁華街以外の住宅街や住宅街周辺の建設現場の場合は、特に細心の注意を払う必要があります。
出勤時間で見ると7時~7時半に出勤するというケースが多く、朝が弱いという人や夜型の人は生活リズムの変更を余儀なくされる為、施工管理がきついと感じてしまう可能性が高いです。
人間関係のトラブルが多い
施工管理の仕事は様々な関係者との調整業務が中心となります。複数の関係者の利害を調整する業務になるため、ある人に取ってメリットのあることは、ある人にとってのデメリットになることも多いです。
施工管理は異なる利害を持つ人々が協力してプロジェクトを進めていかなければならず、こういった調整業務の過程で人間関係がこじれてしまうこともあります。
その他にも若手で経験値が浅い施工管理士であれば、業務の中で分からないことが出て来たり、職人の方が詳しいこともかなり多いです。
建設業界は高齢化が進み、若手や未経験の施工管理士がベテランの施工管理士と仕事をともに行う中で分からないことがあっても聞きにくい状況から挫折してしまい早期離職に繋がってしまうケースもあります。
業務を遂行するにあたって、分からないことを聞けない関係性だと、日々の仕事がきついと感じてしまう可能性があります。
施工管理が楽しいと感じる人の特徴
ここからは施工管理が楽しいと感じている人がどういう人なのか。施工管理を楽しめる人の特徴について解説していきます。
チームで活動するのが好きな人
施工管理が楽しいと感じる人の特徴として、チームで活動するのが好きであるという特徴があります。
施工管理の役割は職人を始めとする作業員と協力しながら、工程管理、原価管理、安全管理、品質管理という4つの管理を行う必要があります。
施工を進めていくプロセスの中で、職人との関係値を築き、チームワークを醸成出来るタイプの人であれば、施工管理を楽しむ素質があるといえるでしょう。
要領が良い人
施工管理の役割は主にプロジェクトの円滑な遂行です。
先述の通り、施工管理は四大管理が主な業務ですが、四大管理を遂行する上で、様々な問題やリスクが発生します。
このようなリスクが発生することを先回りし、リスクを潰していける能力を複数のタスクをこなしながら要領よく実施していける人にとって、施工管理はやりがいを感じ、楽しめる仕事だと言えます。
良い意味で細かい事を気にしすぎない人
施工管理の仕事では様々なトラブルが発生します。その中には自分のミスで起こってしまうこともあれば、自分がコントロール出来ない範囲で起きたミスを施工管理側でカバーする事もあります。
人間関係の面においても、ゼネコンや資材メーカー、図面屋、現場所長、職人など様々な人と関わることになるため、理不尽なことを言われたり、ミスを厳しく注意されることもあります。
ミスを引きずってしまって、その後のパフォーマンスに影響を与えたり、メンタル不調を起こしてしまうことが無いよう、良い意味で細かいことを気にしないおおらかな人は施工管理の資質があると言えます。
言いたいことをしっかりと言える人
施工管理士は無理な工程や、非合理的な設計などを突きつけられることもあります。
この時に全て聞き入れて泣き寝入りしてしまうと、自身のメンタルにも良くないですし、逆に後の肯定でミスが出たり、施工不良が起きるリスクも高まります。
自分の主張を強く打ち出し、自分や作業員が仕事をしやすい環境を作ってあげられることも施工管理の仕事を楽しんでいく素質の一つだと言えます。
楽しい現場とそうで無い現場の見分け方
施工管理を楽しいと思える職場で働くには、楽しい会社とそうでない会社の見分け方を理解しておく必要があります。
ここからは施工管理の仕事が楽しい職場をどのようにして見つけるかについて見ていきます。
会社の定着率を見る
楽しくない職場やきつい職場では人の入れ替わりが激しくなりやすいです。
転職サイト等で定着率や離職率が公開されているケースもあります。建設業の離職率の平均は9.3%と言われており、1年間の内に10人に1人が退職するというのが業界の相場感となっております。
離職率が9.3%を大幅に超えている職場では何かしら社内で問題が起こっている可能性があります。
このあたりの話も転職エージェントが情報を持っている可能性が有るため、エージェントに相談すると良いでしょう。
口コミサイトを読んでおく
企業の在職者や退職者の口コミが見れる転職サイトでは、企業の中の人が体験した生の声を見ることが出来ます。
自分自身がストレスに感じる点が口コミに記載されている場合、楽しいと感じられる職場でない可能性があります。
一方で口コミサイトには従業員側に非があって、会社にネガティブな感情を持っている人の偏った意見も多くあります。
100%鵜呑みにするのではなく、あくまで参考程度にとらえておく事で、自身の判断軸がぶれてしまうことを防ぐことが出来ます。
工事の規模が小さい会社
工事の規模が大きくなると、関係者が増え、トラブルが増えたり、激務になりやすい傾向にあります。
一方、工事の規模が小さいハウスメーカーなどの会社では比較的余裕を持って業務を行いやすい環境にあります。
工事の規模が小さいと、一人が担当する範囲が広がり特定の役割に限定されることなく多様な作業経験を身に着けることができます。
他にも、大規模な現場に比べると小規模な工事だとチーム内のコミュニケーションがより密接になり、チームの結束力が高まって楽しさを感じる方もいるとされています。
工事規模の大きさという側面から施工管理として楽しい仕事を探していくというのも一つのアプローチであると言えます。
修繕工事会社はホワイトで高収入な会社が多い
施工管理の業務の中でも修繕会社はホワイト企業が多い事で知られています。
修繕会社はマンションや住宅のメンテナンスの工事を行う会社です。そのため土日や夜の時間はそもそも稼働出来ないことが多く、残業が少ない点や、土日勤務が少ない点などが魅力となります。
一方で活用する建築技術の幅はそこまで広くなく、住宅の住民への挨拶まわりや関係構築も必要となる為、サービス業に近い要素も求められます。
建築技術を伸ばしていきたいという方や淡々と建築の業務をこなしていきたいという人にとっては楽しい現場とは言えない可能性があります。
給与の観点で見ると、修繕工事は利益率が高いこともあり、給料が他の施工管理会社よりも高い傾向にあります。
高収入な職場を目指す方にとっては、修繕工事の会社は魅力的な選択肢の一つとなるでしょう。
建設派遣会社はサービス残業が少ない
施工管理としてのキャリアの選択肢の一つに建設派遣会社があります。
建設派遣会社は派遣会社に正社員として雇用され、派遣会社から各建設会社に派遣されるという構造になっております。
建設派遣会社では、基本的に建設会社の派遣案件を派遣企業が獲得し、派遣社員ごとの1ヶ月の稼働単価を設定します。
また、請求額は提示内で勤務した場合の金額で提示されているため、残業が発生した場合は、派遣会社から建設会社向けに追加料金が請求され、その一部が派遣社員にも還元される様になっています。
残業代が発生しないサービス残業が発生しない構造となっている為、仕事で疲弊しているのに残業代に反映されないという精神的なストレスからも開放されることが出来ます。
また派遣会社では様々な種類の現場を経験することが出来るため、建設業界に対する知見を深めやすく、スキルアップに関心が有る方であれば、楽しいと思える環境でしょう。
まとめ
ここまで施工管理が楽しいと言われる理由や、施工管理が意外と楽と言われる理由、施工管理のきつい部分、施工管理が楽しいと思える人の特徴、楽しい会社とそうでない会社の見分け方などについて見てきました。
建設業界は非常に奥が深く、また建設業界への愛着が深い方も多いです。また建設の仕事は人々の生活を支えるインフラでもあり、地図に自分の仕事を刻むことが出来る社会的意義の大きな仕事です。
建設が好きで、施工管理に適性がある方であれば間違いなく楽しいと思える業界なので、建設業界に興味が有る方や、既に建設業界に居て、さらなるキャリアアップを目指している方は、楽しいと思える職場がどのような職場なのかも含め、エージェントや業界の先輩、有識者にも相談してみてはいかがでしょうか。