施工管理は未経験者向けの求人も多数出ております。
一方で施工管理という仕事は、未経験の方にとって、普段の生活では接触する機会が少なく、イメージがつきにくいという方も多いのではないでしょうか。
しかし、未経験から施工管理になる上で、スキルの有無を訴求することが難しく人物像や志望動機が重要な役割を持ちます。
また建設業では、他の業界や職種に比べ物理的・社会的な影響力が大きいため、こうした部分を含めた志望動機を作成する必要があります。
この記事では志望動機を書く上での考え方や、志望動機の例文、採用担当者が採用したいと思う未経験者の特徴、未経験から施工管理になった後のキャリアプランや苦労することなどについて解説していきます。
建設業では責任感やチームワーク、安全意識・課題解決力が重視されるので、これらを盛り込む際の書き方もご紹介します。
志望動機はそもそも何のために作るのか?
志望動機は企業に自分の就職・転職の熱意を知ってもらい、志望動機を見た面接官が会社に入社した候補者とのミスマッチを防ぐ目的があります。
候補者目線では、志望動機を書きながら自分がなぜその会社を志望するのかを言葉に言語化していくことで自分自身を見つめ直す機会にもなります。
企業としては、出来るだけ働く熱意を持った社員を採用したいと考えています。
その上で、志望動機では候補者自身の人となりや、なぜその会社に入社したいと考えているのかなど、求職者の想いを知ることで、企業としては候補者の熱意を測ります。
誰でも同じようなことが言える月並みな内容だと、企業には自身のことを理解してもらいにくく、熱意も伝えることが出来ません。
志望動機を作る際のポイント
志望動機を作ろうと思い原稿と向き合ってもなかなか考えが思い浮かばない人も多いと思います。
また、建設業はプロジェクト単位で進行していくため締め切りや達成目標が明確で、期限内に高品質な成果を求められます。
さらに現場での長時間勤務や天候に左右される状況での働き方に対する理解を示す必要があるなど建設業に寄せた志望動機を伝えることが大切です。
ここでは、建設業への就職を考えている方で志望動機を書く際に考えるべきポイントを整理し、志望動機を用意するための土台となる要素を整理していきます。
まずは面接を受ける会社について詳しくなる
面接を受ける会社について詳しくなる上では、出来るだけ多くの会社情報に触れることが重要です。
見るべき箇所としては主に下記のような情報があげられます。
創業年度 | 新興のベンチャー企業なのか、歴史ある会社なのかを知るため |
従業員数 | 大きな組織で運営しているのか、少数精鋭の会社なのかを知っておくため |
過去のプロジェクト例 | 公共案件が多いのか、民間の案件が多いのか、大規模案件が多いのか、小規模案件が多いのか |
社員インタビュー |
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ミッション・ビジョン | どのような想いを持って事業を展開しているのかを知るため |
代表者挨拶 | 社長がどのような想いで創業をしていて、どのような会社にしていきたいかを知るため |
求人情報 | その会社がどのような人を採用したいと思っているのかを知るため |
現在別の仕事に在職中の場合、なかなか時間を作り続けることは難しいかもしれませんが、上記のような情報に触れることで、その会社の社風や、活躍しやすい人の特徴などの全体像を掴むことが出来ます。
このような情報は転職エージェントで取り扱っている場合も多いため、実際に相談してみて、公開されていない情報なども受け取りに行くと良いでしょう。
自己分析を行う
企業に関する理解が出来たら、次は自分自身を分析していきます。
志望動機の作成は、企業とご自身の共通項を探し、その企業で自分がどのような親和性を感じているのかを言葉にしていく作業とも言えます。
自己分析では様々なメソッドが存在していますが、下記のような観点から自分自身に問いかけていくと良いでしょう。
時系列 | 問いかけ |
過去(What) | これまでどのようなことに打ち込んできたか |
過去(When) | どのような時にモチベーションが上がるか |
現在 | 何をしていることが楽しいか |
現在 | 何が辛いと感じているか |
未来 | 将来何をしていきたいか |
このように過去・現在・未来という3つの軸で分析をしていくと、自分自身がどのような考えを持っていて、なぜその考えに至ったのかを言語化することに役立ちます。
人生の各フェーズごとに感じたことに対し、5W1H形式で問いかけを投げていくと更に様々な角度から自身の特性を言語化出来ます。
分類 | 問いかけ |
何を(What) | これまでどのようなことに打ち込んできたか |
いつ(When) | どのような時にモチベーションが上がるか |
なぜ(Why) | なぜあの時モチベーションが上がったか?(または下がったか) |
誰が(Who) | どのような人が周りにいたか |
どこで(Where) | その時どのような環境に居たか |
どのように(How) | どのようにその環境で振る舞ったか |
採用担当者からどう見られているのかを考える
志望動機を作る際の考え方として、自分自身が企業にどう見られているのかを考える必要があります。そのためには企業の人事側の立場に立った時に、どのような人を採用したいかという観点から考えてみると良いでしょう。
よくあるNG例として、志望動機が給与や福利厚生に関する内容ばかりケースです。このようなケースでは採用担当者は自社の事業や業務内容に惹かれているのではなく、待遇面だけが志望理由だと感じられ、意欲的でないと捉えられてしまうリスクがあります。
その他にも、前職に対するネガティブな内容が多いと、あまり良い印象を持たれないことが多いです。
どの会社でも辛いことや乗り越えなければ行けない壁はあります。自分ではどうしようもない理不尽や困難も多数ありますが、あまりにも前職を悪く言い過ぎてしまうと、何事も他人の責任にし、入社しても辞められてしまうリスクがあると思われてしまう可能性があります。
未経験で施工管理になるための志望動機の例文
ここからは未経験から施工管理になるための志望動機の例文をいくつか紹介していきます。それぞれ、過去に自分がやってきたことや感じてきたことと、面接を受ける会社の共通項に焦点を当てて文章を作成しています。
ご自身に近いバックグラウンドを持つ志望動機の例文をもとに、自分なりの文章を作ってみると良いでしょう。
新卒(建設関連学科以外)の場合の志望動機の例文
私は大学で経済学を専攻し、都市経済やインフラの発展が地域や国の経済成長にどれほど寄与するかを学びました。御社が手掛けた大規模プロジェクト「〇〇」のようなランドマークは、単なる建物以上の価値を持ち、地域の活性化や経済の発展に大きく寄与すると確信しています。
私は学生時代、野球部に所属しておりました。ある試合で、僅差の9回裏、私たちの守備が試される場面がありました。ピッチャーとキャッチャーの間の微妙なコミュニケーション、フィールダー同士の連携が求められる瞬間でした。そのプレイが成功し、試合に勝利したときの喜び、そしてチーム全員の絆の深さを実感した瞬間は、私にとって忘れられないものとなりました。それは、細部へのこだわりと全体の連携、そしてその結果としての達成感が、私のモチベーションの源となっています。
この経験から、大規模なプロジェクトにおいても、細部の管理とチームの連携が極めて重要であることを実感しています。御社での施工管理の仕事においても、私はその達成感を追い求め、高いモチベーションを保ちながら取り組むことができると確信しております。
御社の施工管理の仕事は、野球のように細部の管理と全体の連携が求められるものだと感じています。私の経済学的知識と野球で培ったチームワークの経験を活かし、御社の更なるプロジェクト成功に貢献したいと考えております。
建設関連の学部に所属していた実務未経験者の例文
大学の建築学部での学びを通じて、建築の設計や構造の重要性を深く学びました。貴社のHPを拝見し、〇〇年の実績と△△のパイオニアとしての地位に深く感銘を受けました。特に未経験でも技術者としての力を培える環境が整っていることに大きな魅力を感じています。
私自身、学生時代に建築学を学んできたはものの、建築現場での実務経験はまだありません。私は、このような環境での実務経験を通じて、これまで学んできたことを〇〇の社員として、業界の発展に貢献したいと強く思っています。
フリーターの方の志望動機の例文
高校卒業後、飲食店でのアルバイトを経験してきました。その中で、チームでの連携やお客様へのサービス提供の重要性を学びました。貴社のHPを拝見し、未経験からでも技術者として成長できる環境に強く魅力を感じました。
飲食店での経験は、細かな注意点や状況に応じた迅速な判断が求められるものでした。これらの経験は、施工管理の現場でも役立つと感じています。
飲食業界で培ったコミュニケーション能力や問題解決能力を活かし、〇〇での施工管理の仕事に挑戦したいと考えています。未経験からでも一人前の技術者として成長できる〇〇の環境で、新たなキャリアを築き上げていきたいと強く思っています。
第二新卒の場合の志望動機の例文
新卒で携帯販売会社に入社しましたが、1年で退職し、再びキャリアを模索する中で貴社を知りました。携帯ショップでの経験を通じて、顧客とのコミュニケーションや、急なトラブル対応の重要性を学びました。貴社のHPを拝見し、未経験からでも技術者として成長できる環境に、新たな挑戦としての可能性を感じました。
携帯ショップでの経験は、顧客のニーズを正確に把握し、それに応じた提案やサポートが求められるものでした。これらの経験は、施工管理の現場でのコミュニケーションや、現場の課題解決にも役立つと感じています。
携帯販売で培った顧客対応のスキルや問題解決能力を活かし、新たなキャリアとして、貴社での施工管理の仕事に挑戦したいと考えています。
採用担当者が採用したい!と思う候補者の特徴
採用担当者がどのような人物像を求めているのかを把握しておくことはとても重要です。ここからは採用担当者が、このような候補者であれば採用したい!と思える候補者がどのような人なのかを探っていけたらと思います。
学習意欲が高い人
施工管理の仕事は特に未経験では学習しなければならないことが多数あります。施工管理は四大管理と呼ばれる「品質管理」「工程管理」「原価管理」「安全管理」を行う必要があり、それぞれの流れをまずは理解する必要があります。
その他にも施工法や、工事に利用する材料選定なども常に情報がアップデートされ続けるため、意欲を持って学習し続けられるかどうかが非常に重要になります。
体力がある人
施工管理の仕事は労働時間が長くなりやすく、屋外での仕事も多いため、体力の必要な仕事です。基礎体力が高い人は施工管理として成功出来る可能性も高まります。
過去にアルバイトや部活などで体力を発揮した経験などが志望動機から伺えると採用担当者へのアピールポイントの一つになります。
メンタルが強い人
施工管理では様々な利害関係を持つ関係者との調整が発生し予期せぬ問題や緊急の判断を必要とする場面が日常的に発生します。
現場での突発的なトラブルや予定通りに進まない工程に直面したときでも、冷静に状況を判断し、適切な対応策を迅速に立てる能力を指します。また、失敗やミスから学び、それを次の成功へと繋げる前向きな姿勢も重要になります。
コミュニケーションが取りやすい人
施工管理の業務は、多岐にわたる関係者との連携が不可欠です。そのため、採用担当者はコミュニケーション能力も重視します。
コミュニケーション能力は、現場の作業員からの意見や要望をしっかりと受け止め、それを適切に上層部や関連部署に伝える能力、また逆に上層部の指示や方針を現場に明確に伝える能力を指します。
また、工事現場では、50代以上の職人も多くおり、職人との関係構築能力が現場を円滑に進める上で重要になります。
責任感が強い人
施工管理の仕事は、多くの人々の安全とプロジェクトの成功に直結しています。そのため、採用担当者としては責任感が強い人を採用したい傾向にあります。
施工管理者は、細部に気を配り、予定された工程や品質を確実に守る姿勢が必要となります。また、万が一のトラブルや問題が発生した際は解決のためのアクションを迅速に取る必要があります。
責任感の強さは、プロジェクトの進行をスムーズにするだけでなく、関わるスタッフや外部の業者からの信頼をもたらします。信頼される施工管理者は、現場のコミュニケーションが円滑になり、より良い結果を生むプロジェクトを実現する原動力となります。
未経験の施工管理も積極採用している求人企業
ここからは未経験の施工管理を積極的に採用している企業について紹介していきます。建設会社の中では、教育に労力を掛ける余裕が無く、有資格者をメインで採用し、未経験者は全く採用しないか、採用するとしても狭き門としているケースも多いです。
一方で未経験者を積極的に採用し、育成を積極的に行い、人手を確保するという戦略を取っている会社も少なくありません。
ここからは未経験の施工管理も積極的に採用している企業の特性を紹介していきます。
建設派遣会社
建設派遣会社では、自社で採用した社員を施工管理者やCADオペレーターとして、ゼネコンやサブコンなどといった建設会社に派遣しています。
派遣会社は自社で雇用した社員を育成し、スキルを伸ばしていくことで、企業側への派遣単価を挙げていくことが自社の利益に繋がるため、未経験からでも積極的に採用し、比較的難易度の低い業務に配属し、研修などを通してスキルアップを促します。
また派遣会社では派遣営業の担当者が未経験者のサポート役としてついてくれるため、未経験からでも安心して勤務出来ることが特徴となります。
地域や領域に特化したゼネコンやサブコン
案件数が多く、未経験者も積極的に現場スタッフとして採用しているサブコンも多数あります。五大ゼネコンと呼ばれる、大林組、竹中工務店、鹿島建設、清水建設、大成建設などの大手企業だと、なかなか実務経験なしでいきなり正社員になる上での難易度があります。
一方で地域に特化したゼネコンやサブコンは比較的未経験者であっても積極採用していく傾向があります。
こういった会社であれば、研修制度の充実度や、未経験から入った社員のインタビュー記事を読むことで、どのような会社かを理解することが出来ます。
未経験から入社した後のキャリアプラン
未経験から施工管理に入社した後のキャリアプランとしては下記のようなものが一般的です。
未経験から施工管理になる場合、基本的には資格を取得することで、キャリアの道を切り開いていくことになります。
未経験から施工管理に入社した後に苦労すること
未経験から施工管理者としてキャリアを形成していく上で、様々な壁に直面します。ここでは施工管理になってから後悔しないためにも、未経験から施工管理になった後で苦労することについて解説していきます。
新人の教育は放置されやすい
未経験から施工管理になった際に最も苦労することは、業界知識の習得です。施工管理の現場は日々慌ただしく動いているため、新人はどうしても背中を見て学ぶということになりやすいです。
また、建設会社においては、必ずしも直属の上司とだけ仕事をするわけではなく、協力会社の職人や、発注者とコミュニケーションを取ることも多いです。
特に職人は立場上施工管理が監督者で有るため、上位に位置しているものの、未経験の施工管理者の場合、経験値で職人に圧倒的に劣ることがほとんどです。
職人とのコミュニケーションに慣れること
先述の通り、施工管理者は自社の上司だけでなく、協力会社の職人と一緒に仕事をすることが多いです。本社には数ヶ月に一回しか戻らないという社員も少なくありません。
また、関係会社が複数社あるプロジェクトも多く、施工管理者は複数社の職人と関係を構築していく必要があります。
職人とのコミュニケーションに馴染んでいく必要が有ることは施工管理者として未経験から就職する際に頭に入れておくべきことの一つだと言えるでしょう。
長い労働時間
施工管理者はどうしても労働時間が長くなりやすいです。発注者は工事費を抑える為に、工期を短く設定する傾向があります。
現場は出来るだけ短い工期で完成させるために、スケジュールを切り詰めて行わざるを得ず、長時間労働になってしまいやすい傾向があります。
現在国交省が主導で建設業界の働き方改革を推進すべく、発注者の工期設定の合理化の推奨や、DXの推進、雇用主側への週休2日制の導入推進や、長時間労働の是正の推進を行っており、今後は労働時間が適正化されていく見立てが強いです。
まとめ
ここまで志望動機を作る際の考え方や志望動機の例文、採用担当者の視点で採用したいと思える社員の特徴や、未経験から入社し易い業種、未経験から施工管理担った際のキャリアプランなどについて紹介してきました。
未経験から施工管理になる上で、最も重要なことはスキルや優秀さよりも、未知の環境に飛び込んで成長していく覚悟と熱意が重要になります。
志望動機はそれらを採用担当者にアピールする為の重要な役割を果たします。この記事が、自分らしく、等身大で、採用担当者にも理解してもらえる志望動機を作る為の役に役に立てていれば幸いです。